土曜に見てきたので適当に感想書きます。

めちゃくちゃ長くなったし、めちゃくちゃ読みづらいし、めちゃくちゃネタバレしてます。

あと、前作も含めてですが、そんなにしっかり見てなくて自信の無いところもありますので、ご容赦ください。劇場で一回ずつ見ただけですから。

端的に言うと、消化不良な映画でした。

キャラクターの描写はとても良いです。

前作でも魅力的だったスティーブは今作でも魅力的。前作では人間世界を案内したスティーブが今度は案内されるという対比によって、スティーブの懐の深さがよく表されています。前作のダイアナと違って適応力がめちゃくちゃ高いんですね。新世界に目をキラキラさせている。そして最後にはダイアナに現実と使命を諭して別れを促す現実的な側面も見せる。「さよならなんて言えない」に対して「さよならはもう言った」と返す、優しい突き放し方に色んな含みがあってたまりませんね。ダイアナにとって欠点を補ってくれるベストパートナーであり導き役でもあるというのが、完全な対比で強調されているような気がします。

そう考えると、スティーブの復活によってダイアナが弱くなってしまうのは、願いの代償という以上に、秘めていた弱さ、心の穴が顕になったという比喩なんでしょう。スティーブによって穴を埋められることで、逆にダイアナは自分の弱さを意識することになるし、スティーブがいる限りは弱い自分でいられる、という側面もあるかも。ダイアナがスティーブと別れ一人で空を飛べるようになるシーンは、スティーブとの決別、自立、内面化を象徴しているんですね(ダイアナはそれまで飛行能力がなかったはず、多分)。ここで初めてダイアナはヒーローになったという、ある種のオリジンパート2なのかもしれません。ユニバース的には過去の話ですし。

一方ヴィランであるバーバラとマックス、この二人も弱さと疎外感を抱えてそのために道を踏み外していくキャラクターで、その悲愴さを描くことにかなり意識を割いているように見えます。ダブルヴィランを掘り下げていくアメコミ映画というのはバットマン・リターンズに端を発すると思いますが、今作はかなりバットマン・リターンズを彷彿とさせる組み合わせになっています。キャットウーマンとペンギンですよ。どちらも弱さと疎外感を抱えながら愛されたいと願っています。猫の怪人と虚構の有力者、チーターとマックス、モチーフ的にもかなり被ると思いませんか。ただし、バットマンは彼らと同類の怪人ですが、ワンダーウーマンは弱さこそフィーチャーされたもののお天道様に顔向けできるヒーローなので、その点でかなり違う味付け。でもこの二人のヴィランに対して、特に弱さについて、愛着を持って作られた作品なのかなというところは共通しているように思います。

ただ、キャラクターの内面に注目して作られたのかこちらが注目して見過ぎたのかわかりませんが、そのせいでストーリーとしてはなんとなくこじんまりした印象でした。こういうのって下手に舞台や事件のスケールだけデカくすると、個人の内面で展開されるストーリーとのギャップで物足りなさが出てくるんですよね。エジプト行ったり核ミサイルどっかんどっかんしたりといった国際スケールより、バットマンやスパイダーマンくらいの街スケールがこの手の話には合っている気がします。マックスはただただ個人的な心の穴を埋めるために暴走してるだけなので、それで核ミサイルがやばい米ソ戦争とかよりも、市民の願望が暴走して街の治安がめちゃくちゃになってるだけでよかったんじゃないかな。範囲もアメリカだけで。チーターに至ってはもっと個人的で世の中になんら影響を及ぼす意図がないし。そのくらいの方が話としてビシッと締まったと思う。でも超大作ワンダーウーマンとしてはスケールデカくあるべきなんでしょうね。

ストーリーの骨子自体についても消化不良、物足りなさが残ります。まず全体的に猿の手以上の話になっていない。まあそれだけ猿の手がテーマとして完成されているということでもあるのかなと思います。一応猿の手とは別の軸として真実と嘘というテーマがあるんですが、猿の手とあまり噛み合っておらず、無理やり関連づけているような印象を持ちました。

このへんは世相もあるんでしょう。フェイクニュースが話題な上、マックスはある程度トランプイメージだろうし。そう考えるとアメリカ人にとってトランプはこのあたりのちょっと昔の時代感なのかもしれませんね。ちょっと後ですが80末〜00年くらいまで映画やらドラマに出てたし。だからメイクアメリカグレートアゲインが響いたのかしら。と思ってトランプの出演作品についてWikipediaを見たら、バットマン・リターンズの第三の悪役である実業家マックス・シュレックはbased mostly on trumpと書いてありました。ほんと〜?今作のマックスはペンギンとマックス・シュレックを合わせたような立ち位置でもあるし、よけいにバットマン・リターンズと関連付けたくなるな〜。まあいくらなんでも私がバットマン・リターンズか好きなあまりにこじつけすぎなんでしょうね。

また、展開が完全に予想通りというか王道すぎて驚きがない。外せばいいというものでもないですが。スティーブが生き返った?過去の死を受け入れて別れるパターンですねとか、マックスの子供?絶対ラストは親子愛で改心して解決するでしょとか、観客の九割は予想すると思います。全体的にあまりにも驚きがないまま進むので起伏に乏しい印象を持ってしまいました。

前者はいいんですが、後者は処理の仕方に不満がありました。この流れなら、息子(アリスタ)の「パパに帰ってきて欲しい」という願いが叶えられてしまい、かつその願いの代償がアリスタに降りかかってしまうため計画頓挫、というのが今作の設定だと私的には王道の流れかと思うのですが、今回はなぜかアリスタの願いがいったんシカトされて、世界の治安が悪化したためアリスタが死にそうだから頓挫というなんとも遠回しな経路を辿ります。加えてアリスタが願ったという事実があるために、最後のマックス帰還がマジックストーンによるものなのかマックスの自由意思によるものなのかがやや曖昧になってしまってるところも気になります。まあマジックストーン解除した後の帰還だし、マックス自身は後者だとセリフで言ってたと思いますが。それでも結構ややこしかったというか無用なひっかかりがあったので、私としてはやっぱり、アリスタの願い叶ってマックス召喚→計画の邪魔だし代償あるから願いを取り下げろとアリスタを説得する→アリスタの意思は固い(アリスタから愛されている)ことを悟ったマックスはマジックストーンと野望よりアリスタを選ぶ、という流れの方がキレイだったんじゃないかなあと思います。ダイアナの出番が少し少なくなりますが、それは世界の人々を説得するだけで十分なんじゃないかと。とはいえあくまでプロセスが多少違うだけで着地点は同じなので、そこまで不満ということではありません。

ダイアナが人々に語りかけるシーンはまさにフェイク入り交じる現実の世相に向けたものだと思うんですが、やっぱりなんか猿の手ストーリーから浮いてしまってるなあと思います。やろうとしていることはわかるんですが、代償システムがない方がそのテーマとは合うんじゃないかなと。叶えられた願いは代償がなくても虚飾だし、無理に叶えた以上誰かに割を食わせるものですから。スティーブが名もないエンジニアの人生を奪ってしまっているように。DC市民は民度が高いのできちんとワンウーの説得内容を理解し真実を受け入れる選択をして願いを取り下げたんだと思いますが、単に「代償が嫌だからやっぱ取り下げました」に見えなくもなくて、それだとフェイク絡みのテーマからはブレてしまうなあという。でも市民は代償システム知らなかった気がするから問題ないのか。世界を混乱させてるのは代償より願いそのものですもんね。

こう考えていると、マジックストーンの代償システムがちょっと異物なのかなとも思います。猿の手も代償システムがあるわけではなくて「願いは叶うけど都合よく思った通りの叶い方するわけないよね」という話なんですよね。猿の手の性格がめちゃくちゃ悪いだけで。なので、猿の手そのままの方がテーマの親和性は高かったかもしれません。ただマックスの力が代償システムによる搾取なので悩みどころ。とはいえマックスの手口として「口車に乗せてマックスに都合のいい願いをさせる」「願いを叶える代償としてマックスの欲しいものをもらう」の二つが作中にあって、これ前者だけに絞ればそこは代償システム抜きで問題なかったんじゃね?とも思います。

あと問題になるのはダイアナの弱体化とバーバラの人間性喪失でしょうか。後者は別に代償の理由付け要らないと思いますが、ダイアナの弱体化は、スティーブに別れを告げて本来の力を取り戻し飛行能力を得るという上述した美しいシーンにつながるので、スティーブの代償でなくてはならず、惜しいんですよね。

また、これはどうでもいいんですが、代償システムなかったら上述の「ぼくの考えたアリスタとマックスの親子愛」シーンが成り立ちませんね。こういうことを考え出すといつも、たくさんの横槍が入る中でたくさんの要素を詰め込みながら脚本をうまくまとめあげるのは大変だろうなあと思います。

あと、大規模に願いを叶えまくると当然相反する願いがかち合うと思うんですが、その辺の描写もなかったですね。まあめんどくさいしテーマがブレて余計な尺を食うからいらないかなとも思うけど、一言都合のいいセリフは欲しかったかも。これ大丈夫なのかな……って疑問に思ったまま話が進んでいっちゃうので。結局アリスタがマックスの野望の邪魔になる願いをしてますし。なんかシカトされてたけど……。

こういうどうでもいいけどけっこうひっかかって頭にはりついて集中できなくなるような要素がちょいちょいありました。全部覚えてはいないですが、花火の中飛ぶの危ない危ない!とか。特にこれはみんな思うでしょう、そのスティーブとセックスしていいの!?って。まあ避妊さえしていればいいのか……?

まあそういう細かいところは抜きにしても、なんかテーマがうまくまとまらずに何の話かぼんやりしてしまったなという印象です。

もう一点消化不良だなと思ったのはバーバラの扱いですね。

まず、もう少し時間をかけてダイアナと関係を深めた方が良かったと思います(作中時間でも出会ったその日の晩に願い叶えて翌日豹変してたような…)。まあ短い割に関係性はしっかりしてましたが、もう少しプロセスを見たかったところです。

あとはラスト、あの後バーバラはどうなったのか。願いが解かれてチーターではなくなったのか。その辺なんにもないですよね。あまりになんにもないのでエンドロール後の追加シーンで出てくるのかと思ってワクワクしてたら知らないおばさんが出てきてビビりました。

過去のドラマ版ワンダーウーマンの女優さんらしいので、伝説の英雄役としてエンドロール後に出てくるのは大変なファンサービスだとは思うんですが、別にアメコミコンテンツのファンでもない私は、フード脱いだらクリステン・ウィグの顔が出てくることを期待していたので、ズコーっとなりました。まあ腕の金属とか見えてたからアマゾネスだろうなとは薄々思いましたが、私は本当にあの人が誰か知らないので、老後のダイアナ!?とすら一瞬思いました。ファンサービスってファン以外に伝えるの難しいですね。

それは置いといて、結局バーバラはどうなったんでしょうか……。マックスがストーン解除したら自動的に願いは取り消しになるんでしょうか。市民がいちいち取り消してたのでよくわかりません。これ自体は市民の良識・改心を表したシーンなので別にいいんですが、バーバラは多分自分では取り消してないだろうし。マックスをどうにかすれば全部解決するって感じだったけど、どういう説明だったかあまり覚えていません。

全体的な印象としては、前半わりと退屈なシーンが多かったです。間延びして見えるというか。それはそれで意図されているのかもしれないですが。特に私は冒頭の幼年時代の競技シーンまるまるいらないと思います。アクションシーンのわりにめちゃくちゃ退屈、率直に言って苦痛でしたし、ストーリー的にもなんの意味もないように見えました。

ショッピングモールでの対強盗シーンは、強盗のキャラとか諸々がなんとなく80〜90年代のお気楽娯楽映画みたいな雰囲気でなかなか面白かったです。そのあたりの映画の雰囲気を意識しているのかな?と感じるシーンは他にもちょいちょいありました。

最後のクリスマスシーンとか、公開延期しまくった結果図らずも季節に合ってしまった感じでしたが、あのころの映画ってこんな感じの特別なクリスマス感があった気がします。現代設定でクリスマスシーンを描いても多分こうはならない。ちなみにそういうので私の頭に真っ先に出てくるのはホーム・アローン2ですが、ホーム・アローン2にはトランプがカメオ出演しています。今作の84年は少し古いかもですが、やっぱりアメリカ人の中ではあの辺の時代観にトランプ的な人物像がぴったりハマるのかもしれないですね。

アクションシーンは多分評判良くないだろうなと思います。途中ダイアナ弱体化してますし、ラストは暗いですからね。暗い中での戦闘はウケ悪いですよね。私は暗い中での戦闘は別に嫌いではないしけっこう見応えあったと思うんですが(鎧バキバキ破壊されるシーンとか好き)、チーターを倒した決め手の電撃については何が起こったのかよく見えずわかりませんでした。電線が水について感電した?ダイアナは無事だけど。それとも直接当てられた?

あと音楽は微妙でした。そもそもワンダーウーマンの音楽、BvS初出のあれが狂おしいほど好きなだけなんですが、あれハンス・ジマーというよりジャンキーXLの色合いが強くないですか?私はハンス・ジマーあんまり好きじゃないんですよね。嫌いでもないので耳障りとかは思わないですが、琴線に触れず印象に残らない作品が多くて、今作もそうでした。前作はわりと良かったと思うんだけどな〜と思って調べたら前作はハンス・ジマーじゃなくその弟子みたいな人でした。

まあこんな感じでしょうか。総合すると、なんか消化不良感のあるそこそこの作品、といった感じです。前作の方がやや消化不良感がなく盛り上がりもあったかもしれませんね(ややトンチキなストーリーでしたが)。ただ、どちらが好きかと言われると私は今作の方がやや好きな気がします。80年代感が思ったより少なかったのは少し残念でしたが、このへんは私の80年代に対する解像度が低いせいな気もします。かなりステレオタイプな描写を連発されないと満足できないのかも。

最後に最大の不満点を言うと、本編にもエンドロールにも微塵もブルーマンデー流れませんでしたね。ニューオーダーのブルーマンデーです。予告編で流れてたやつです。選曲も含め、あまりにも予告編の出来が良すぎた。以下に張るので見てない人はどうぞ。この予告編に本編が勝てたかどうかと言うと、まあなんとか勝ててるとは思いますが、このブルーマンデーが流れてたら完勝でしたね。惜しい。

https://youtu.be/aLbz0m_5YO8

そういやマックスがめちゃくちゃビオチン推してたのなんだったの?🤔