先日Twitterでフォロワーの人があるツイートをRTしているのを見かけました。私は普段自分のTLは全てRT非表示にしてるんですが、たまに気まぐれに見かけた人のホームに飛んでRTを見ることがあります。

そのツイートというのはウェディングドレスか何かのショップが、コロナ禍で閉店するのでウェディングドレスを買い取ってください、というものでした。

少し当該ツイートのリプライ欄を見ると、画像を盗用した詐欺アカウントであることがすぐに指摘されていました。拡散希望をしているツイートにはしばしばあることです。

これに限らず、たとえリプライで指摘されていなくても怪しい詐欺は横行しているでしょうし、詐欺でなくとも明らかなデマや詭弁で人を騙そうとしているツイートはよく見かけます。単に無知ででまかせを言っているツイートも当然よく見かけます。特に私が多少専門的に理解できたり一次情報に触れられる分野では一見してわかります。誰しもそういう経験はあるのではないでしょうか。

私はそうしたツイートをフォロワーがRTしているのを見る度にげんなりします。あなたが詐欺をRTしたことで、あなたのフォロワーがそれに引っかかったらどうするつもりなんでしょうか。知らなかったとはいえ、明らかに詐欺の片棒を担いでいます。深刻さは多少落ちますが、デマ等についても同じことです。

RTで名誉毀損が成立するかなど、拡散行為に対する法的責任を問う裁判はしばしばありますが、そうしたものを参照するまでもなく詐欺への誘導はよくない行為だとわかるでしょう。法的責任がどうかは知りませんが、あなたのRTのせいで詐欺に引っかかったなどと言われて責任や罪悪感を微塵も感じない人だとは思いません。助けてください拡散してくださいというツイートを何も疑わずに善意でRTしてしまうような人ですから。

常々、拡散行為(RTに限らず言及でも同様です)を軽くとらえている人があまりに多いように感じています。それは紛れもなくあなたが責任を負うあなた自身の発信です。繰り返しますが、それで責任を感じなかったり責任回避をするような人に向けて言っているわけではありません。ただ自分の行為が何をもたらすのかに極めて無自覚なだけの人に向けて言っています。

騙されるなと言われても真偽なんてわからないと思うかもしれません。なら拡散をやめてください。真実を見抜く必要なんてありません。そのうえで拡散したくなった時、わからないなりに判断する目安について以下に書きます。

まずは疑わないと何も始まりませんから、疑う材料についてです。

最も警戒すべきは拡散を希望しているツイートです。上述したような購入希望のツイートはいくらその人がかわいそうに思えてもまず疑ってください。詐欺等の犯罪行為が関連する場合があります。いかにも公益性のありそうな情報拡散ツイートも危険です。熊本地震でライオンが逃げたデマを思い出してください。

よくあるのは落とし物や盗難についてのツイートで、拡散希望系の中でRTを見る頻度も一番多いですが、これもあなたや私、および当の落とし主や被害者が想像もしないリスクをはらんでいる場合があります。例えば落とし物の詳細がツイートで明らかにされていると、その詳細を預かり元に回答することで落とし主になりすまし他人の落とし物を詐取することが可能な場合があります。そもそもツイート主が落とし主でない場合も考えられ、その場合果たしてその人に落とし物の情報が寄せられるのは適切でしょうか?

そのような可能性まで考慮して拡散しないのでは見つかるものも見つからないと思うかもしれません。別に承知の上で拡散するなら止めはしませんし、この情報なら拡散しても大丈夫だろうと吟味の上で行うならなおさら止める筋合いもありません。重要なのはあなた自身の行為が何をまねくか十分に考慮した上で自らの責任で発信することです。

次に警戒すべきなのは話題のトピックについてです。Twitterで言えばトレンドに載ってるようなものですね。話題のトピックというのは非常にでまかせのツイートが飛び交っています。今で言えばコロナの話題は全てそのようなトピックですし、少し前で言えば米大統領選挙もそうでした。有名人関連の話題についても、例えば訃報の場合はなんの根拠もなく自殺扱いしたりとか、有名人叩きの話題では過去の行動がねじ曲げられて流布されていたりしますね。以上は比較的ネガティブな話題ですが、ポジティブな話題でも同様です。

こうしたものについては注目を集める目的であえてデマや誇張を混ぜ込んだり話をずらしたりする人も大勢います。その最も典型的なものがまとめサイトや一部ニュース系メディアですが、それを個人化したような人はもう山ほどいます。というか無自覚なものも含めれば、私も含めて全員そうかもしれません。そこまで気にすると何も信用できないと思うかもしれませんが、その上で何を信用するか選ぶのが大事だと思います。

また、これにはもうひとつ警戒するべきシンプルな目安があります。バズっているツイートです。バズっているツイートというのは要するに衆目を集めることに成功したツイートなので、前述の「注目を集める目的で……」ということを考えれば、まず真っ先に疑ってよいと思います。マックの女子高生とか昔流行りましたね。嘘松というのはもはや死語でしょうか。たとえ事実に基づいていても、扇情的な内容にするための工夫が凝らされていることでしょう。これはTwitterならいいねやRTの数で表れるのでわかりやすい指標になります。少なくとも3ケタ以上RTがあるものはかなり警戒した方がいいかなと思います。

また、人は自分の正しさが保証されて安全に攻撃できるものを常に求めています(どんな穏健な人でも例外ではありません)。それに合致するようなトピック、つまるところ「何かを非難して物申せる」ような話題もまたバズりやすくねじ曲げられやすいです。これも拡散しただけで一歩間違えると単なる誹謗中傷の加害者になる、もしくは誹謗中傷を誘導してしまう可能性がありますから、触れ方には注意が必要です。辛い話題を見て、けしからんと思う義憤だったりわかる〜という共感だったりを単に表明するだけのことが、結果的にネットリンチへの加担になったりもします。後から話が変わってハシゴを外されることがあったらただの加害者に成り下がりはしませんか。例えそれがほんのわずかな加担に過ぎなくとも。

わかりやすくハシゴを外されたケースで言うと、最近だと大坂なおみの会見ボイコット叩きからのうつ病公表がまさにそれでした。さらに前だと、木村花の場合は自殺という結末により叩いてた側が完全にハシゴを外された結果、今度は叩いてた側が総叩きにあうという、悲劇から学んでるのか学んでないのかよくわからない事態になりましたね。それでも自分が正しくあいつが悪いと言い張れるなら止められませんが、後ろめたくなってしまいそうな人は、そういう「物申せそう」な話題には気をつけるべきでしょう。

簡単にまとめると、注意すべきは「拡散希望系」「トレンド・バズった話題」「非難・物申したくなる話題」の3つでしょうか(後ろ2つはほぼ同じな気もしますが)。もちろんこれらを絶対に拡散するな言及するなという話では全くなく、この3つ以外なら大丈夫というわけでもありませんが、いったん立ち止まってみるわかりやすい目安にはなるかなと思います。

ではこうしたポイントを踏まえていったん立ち止まったあと、明らかに問題がある内容かどうかある程度確認する方法について書いていきます。

Twitterであれば、まずはリプライ欄や引用RTの内容を参照しましょう。冒頭で書いた詐欺はリプ欄を見たおかげで信用に値しないことが判明しました。明らかな嘘や間違いであればだいたい自分のところに回ってくるまでに指摘されていますし、どちらが正しいのかわからない場合は、やはり拡散を避けた方が無難でしょう。この癖をつけておけば、パクツイや無断転載イラストなんかも基本的にわかります。

リプライがついていなかったり、これだけではまだ微妙かな、と思ったら、次にアカウント自体の精査をしましょう。アイコン、アカウント名、ID、プロフィール、前後や過去のツイート、フォロー・フォロワー数、知り合いのフォロワー、アカウント作成時期……こうしたものを総合的に考えてみます。別に隅々まで見る必要はありませんし、何を重視するかは自由でいいので、考えることが大事です。こういうアカウントはなんか信用できないな……という要素があるはずで、あなたもスパムアカウントを見かけた時なんかにはそのスキルが存分に発揮されているはずです。

私が見る部分を少し紹介します。

・アカウント作成時期が一ヶ月以内

・ツイート数が異様に少ない

・懸賞ツイートばかり

・前後のツイートやプロフィールとの整合性が取れない

・コミュニティ記号らしきものを含む→コミュニティによる。推しマとかならいいけど日の丸トランプの合わせ技とかはきつい

・フォロー・フォロワー数が1000人以上いる→特に比率が1:1に近い場合、アカウント売買されてたりする

・プロフ見ても何やってる誰なのか判然としないけどフォロワーが万単位いる→バズツイ製作して人気を得てるタイプの人が多い

・ほぼ同じ内容のツイートをbotのごとく連打している→パッと見普通でも「ツイートと返信」欄を見ると……だったりする(怖い)

……など。

当該ツイート主だけでなく、リプ欄や引用RTのアカウントも確認してみるといいのですが、これは少し手間かもしれません。詳しく確認するのは、デマ等の指摘をしているアカウントくらいでいいでしょう(指摘の信憑性は大事なので)。リプライの傾向から見て取れる文脈もあります。例えば別の話題を受けてのツイートだけれどもそれが明示されていないという場合、リプライした人が元の話題へ直接言及していたりします。また、不自然に同じ内容のリプライばかりなら、そのツイートは知らないコミュニティの内輪ネタかもしれません。リプ欄や引用RTの確認はこうした点でも重要です。

基本的にはこれだけですが、ニュースなどの記事を引いている場合、Twitter社が勧めるように記事本文の確認をするのもいいでしょう。とはいえ中身を読んだところで真偽等がわかるか、扇情的な内容に乗せられないかというとあくまで読み手次第なので、あまり重要ではないかなと思います。強いて言うなら、本文を読んで良い記事だと思ったなら、RTではなく自分のツイートで紹介した方がいいのではないかと思います。

この前「言葉はもはやWeapon」と言ってる人を見かけてその類まれなる言語センスに驚愕したんですが、もはや言葉である必要すらなく、ネット上での発信は全て加害のリスクがあります。自分の発信がどのように巡ってどうなる可能性があるのか、ただRTボタンを押すだけの行為がどのような事をまねくのか、想像してから発信することを心がけたいものです。ここまで書いておいて、私も十分できてるとは全く思いません。やさしい人でありたいね。