まーた選挙の話をする。こういう話しまくってるとめちゃくちゃ嫌われそうだけど、まあ今どき個人サイトを見る人もいないだろうしいいか……とも思いつつ、検索には普通に引っかかるし実際人も来るので、なんとも。とはいえまあ思いついたことは書いておきたい。

選挙の時、白票でもいいから投票しようという意見をたまに目にする。

私は選挙権を得た時からずっと、白票なんて無駄だろ、投票しない方がマシと思ってきたのだけど、特に深い考えがあったわけではない。結果に影響しないのにわざわざ労力を使って行く意味がわからないというくらいだった。しかしそれはちょっとアレなので、真面目に白票の意義について考えてみる。

白票が選挙でどういう意味を持つのか少し考えてみると、やはり投票率の上昇かなと思う。投票率が上昇するとどのような効果があるかということになる。

パッと思いつくのは、当選の正当性だ。投票率が高い選挙で当選すれば、真に信任を得たと主張しやすい。誰が当選しても確実に当選者にお墨付きを与えられるという効果が期待できる。

世代別の投票率が上がることで世代の存在感を増すという効果もあるだろう。若者の投票率が低く若者の声が政治に反映されにくいとよく言われているから、例えば若者の投票率が上がれば、当選者は若者の信任を得たと言うことができる。

一般に投票率が上がれば組織票の力が弱まると言われているので、白票で投票率を上げれば、組織票の力を維持しつつ投票率だけを上げることが可能だ。投票率が低いとまた組織票が……と話題になるが、投票率が上がればそれは避けやすくなる。

投票率の他に、白票数に意味があるという考え方もある。白票はふつう現政治や選挙そのものへの不満の表明を込めて入れられるものだから、白票数が多ければそれだけ政治家に圧力をかけられるというわけだ。

これは投票率を上げて政治家にお墨付きを与えるという考え方とは相反するように思えるが、白票の意図としてはこちらの効果を期待しているはずだ。

信任を表明しないという意味では白票も投票しないのも変わらないように思える。両者の違いは「投票行為をした」という主張の有無だろう。投票する層が白票を入れたということは、その層に支持されていないのだから、次の選挙ではその層が敵対候補に投票する可能性がある。そういった圧力を意図していると思う。

しかし、そもそも白票を投じる人は誰にも投票したくない(選挙自体に物申している)のだから、当選者からすれば敵にも投票しないと考えられるのではないか。当選者は確かに支持されなかったが、他の候補も支持されなかったわけで、単に投票所に行かなかった層(無投票層)と比べると主張がはっきりしている分ある意味安心ではないだろうか。

無投票層の中には「どうせ入れても負けるし」と思ってサボった人がいる可能性があり、そうした人は接戦っぽくなったらわりと投票に行くことが予想される。同様に、「どうせ行かなくても勝つし」という人もいると考えられるけれど。

また、白票を投じる人について確実に言えるのは、彼らは組織票ではなく浮動票なので一枚岩ではないということだ。白票がまとまって敵対候補に投じられるならともかく、そういうことは考えづらい。それに白票を投じた人は次は投票に来ない可能性も比較的高い。

こうして考えると、白票が有効な場面というのは候補者が一人しかいない選挙ということになるかと思うけれども、その場合は白票を投票する暇もなく無投票当選になるだろう。

しかし、投票率が上がっても白票が多かったなら、上がった分の信任は得ていないと考えるのが妥当とも思える。とはいえこのあたりは政治家お得意のチェリーピッキングでどうにでもなるし、単に相殺しているだけなのでなんの意味があるかはよくわからない。そもそもここまで話してきた根底をひっくり返すようだけども、投票率が上がったことでの信任とか白票数の意味とか、実際そこまで気にされてない気がする。

ちなみに白票が実際どのように扱われているのかはよく知らない。無効投票になるのは知っているけれども、白票だけ別で集計されたり世代別の数を発表したりするんだろうか。調べるのがめんどくさいからとりあえずそうだと仮定して(白票の意味を最大化して)書いているけど。

ここまでの私の考えとしては、白票は投票率を上げて政治家に信任のレトリックを与える可能性こそあれ、特に脅威や圧力にはならないのではないかと思う。こう考えると、やはり労力の分無駄では?と思ったりする。

とはいえこの文章は、冒頭書いた白票は無駄、投票に行かない方がマシという結論ありきで書いたような感覚があるので、まああまり他の人にとって意味のある内容ではないだろう。

私個人の考えとしては、白票を投じるくらいなら負ける候補(政党)に投票した方が良いと思う。対立候補の票数は確実に圧力になる(極めてわずかではあるけど)。次の選挙を見すえるなら、敵対勢力の支持が多いほど警戒する必要があり、あまり身勝手なことはできない。もっとも、あるいはより支持を固めようとして、支持層に過剰に媚びるかもしれない。

接戦であるほど対立候補の票数の効果は大きいが、接戦の状況下では負けると確信できない候補(政党)に投票するのははばかられることもある。まかり間違って勝ってしまうかもしれない。そうした場合はまあ、どうしても決めかねるなら、サボればいい。投票所まで行くのも面倒だし。そもそも接戦な時点でパワーバランスが取れているので、どちらも支持しない場合は投票は特段不要だ。本当はこのような場合は泡沫候補への投票を一番オススメしたいけれども(一定以上得票すると供託金が払い戻されるので)、いつでもどこにでも泡沫候補がいるわけではない。

負ける候補、政党というのはつまるところ野党勢力なので、少数派が確定しているとはいえ、野党に票を入れて勢力が拡大すると色んなところで邪魔されてスムーズな政治ができないのではないかと思う人もいるだろう。そもそもスムーズさ・迅速さを重視するなら独裁体制が最適で、民主主義とはある程度トレードオフの関係にあるので、まさに民主主義の根幹のひとつである選挙においてどのように行動するかは悩みどころだ。まあ、それなら普通に勝ち馬に乗ればいいと思うけれど、誰が勝ったりどこが最多数派になるかわからないこともある。その場合は結果に全く影響せず投票率だけ上げられる白票はたしかにオススメだ。

ここでは政策や公約、ひととなりなどについては判断基準として全く触れずに来た。そもそも特定候補への投票ができない人というのはそこで判断ができないのだから、公約を見て決めろとか、良い公約とは、どういう人が信頼できるか、などと言ってもしかたない。わからないことは無視してパワーバランスで決めよう、というのがここでの私の提案になる。どこも選びたくないというのはどこも勝たせたくないということだけど、結局誰かは勝ってしまうので、極力引き分けに近いところまで持っていけば結果としてはそれに近くなる。それでも絶対に誰にも投票したくない、投票したら自分が許せなくなる、という気持ちがあるなら、投票をサボればいい。勝ち馬に乗りたいがどこが勝つかわからないということなら、白票がいいと思う。

私の個人的な考えとしては野党が多い方がよいと思っているので(ねじれ国会とか最高だ)、そういう方向に持っていかせようとする文章になっているはずで、これに反感を抱く場合は白票や無投票を選ぶか、素直に内心の与党支持感情を認めて与党に投票するといい。

まあ、以上は私の考え方なので、当然白票を抗議の意図で投じてもいいのだけど、投じた側の意図というのはそれだけではわからないものだ。抗議なら抗議運動や陳情などといった具体的な政治活動、直接の問い合わせや苦情を言うなどしないとわからないと思う。

ちなみに余談だけども、議員は意外とこじんまりした相談とかを聞いてくれる。代わりに役所にかけ合ってくれたりするし、議員の問い合わせだと役所も管理職級が出ていって説明することが多い(気がする)。議員に相談すれば権力を使ってどうにかしてくれる、などということはないけれども、まあ一市民が直接やり取りするよりは俎上にのりやすい。別に見返りとしてその人に投票する必要はないが、親身になって対応してくれる議員だったら、ついほだされて投票したくなるかもしれない。そう言う動機で投票するのは悪くないというか、非常に真っ当だと思う。ちなみに私は議員に相談したことは一度もない。

投票しなかったことや白票を投じたこと、あるいはある特定の候補に投票したことを責める人もいるだろう。というか実際大勢いるけれども、そういう人たちは現実が自分の思いどおりにならない鬱憤をぶつけているだけなので、あまり気にしなくていい。敵を作らないと自分を保てないのだ。

ただ、投票しないという行為もまた投票行為の一つであり、そのつもりがなくともれっきとした政治的意思表示であることは確かだ(どう受け取られるかは置いておいて)。せっかく年にそう何回もない機会なので、よく分からない政策を吟味しろとは言わないが、その選挙における自らの投票行為の意味についてよく考えてみてはどうだろう。結果として投票に行かないにしろ、それが選択の忌避としてではなく能動的な選択になったなら、選挙や政治への見方も少し変わり、わずかでも関わった実感が持てるのではないか。

何も特定の候補を信任するだけが選挙ではないと私は思う。個人個人が色んな考え方で政治や選挙というシステムを捉えていい。投票にしろ無投票にしろ(白票にしろ)わずかでも結果を構成する以上、その行為に意味がないということは決してないのだから、自分にとってどういう意味があるか、どういう考え方なら意味を見出せるか考えてみてほしい。

でもやっぱ白票は労力考えると無駄だと思うなあ……。