映画の感想とか、書くべきものが溜まっている。
学マスやブルアカのストーリーも読めていない。
未解決事件なんちゃらセンターなどやりたいゲームもある。
観たい映画もある。
買うべきものもある。
そもそも睡眠時間が足りない。
仕事を休む余裕はない。
時間が足りない。
ちょっと前にNHKでZINEが取り上げられたことをきっかけに、同人誌とZINEの違いは何かということが話題になっていた。
まず、同人誌もZINEも一般的に馴染みの薄い存在だが、どちらかというと日本では同人誌の方が有名だろうと思う。単に有名なでかいイベントとしてコミケがあるからだけど。メロンブックスなどに相当する大型のZINE特化書店もない(ZINEを取り揃える個人書店ならたくさんあるらしいが)。自分もZINEについてはイラストレーターの個展で売っているのを見たことしかない。もちろん、コミケやメロブでもZINEに該当する書籍は売っているとは思う。
同人誌とZINEの違いとして、定義や歴史について色々言われているが、一旦そこは無視していいだろう。もちろんそういったものは重要だが、違う歴史違う定義を持ったものが合流してひとつになることは往々にしてある。それに、由来や名前が違うから別のものだ、と言われても、今川焼きと大判焼きと回転焼きの何が違うのかという問いが力を失うわけではない。
重要なのは現状の実態として何が違うかで、そこを説明してくれる人は残念ながら少なかった。
個人的な実感を端的に言うと、同人誌と呼びたくない、非オタクカルチャーの自主制作書籍をZINEと呼んでいるように思う。
現状、同人誌というワードは「同人」という元々の意味を超えて、自主制作書籍全般を指す用語として使われている(というか同人という言葉が自主制作とほぼ同義になっている)。かたやZINEは今回の件で色々説明されたことを踏まえると、自主制作書籍といえども色々と定義に縛りがあるようで、実態は、個人によるオリジナルであることを前提として、文芸・評論・エッセイ、また非オタクカルチャーのイラスト・デザイン本、資料集などをZINEと呼んでいるように思われる。そうなると現状はZINEは同人誌に内含される概念だということになる。であればどちらを名乗ってもいいはずで、あえてZINEを選ぶのは裏を返せば同人誌と呼びたくないということになる。
同人誌はカバーする範囲が広いため、コミケが異常に有名なことなども含め、エロやオタクカルチャーの悪印象がけっこうついている。これらとの差別化ブランディングとして、オリジナル中心でオシャレ・文学的などのイメージを込めてZINEと呼べば、ジャンルとして住み分けできて社会的に堂々としていられるのはある。販売もしやすいだろう。
あとは、個人のレベルで言えば、どちらの言葉に先に触れて使い出したかというのもある。同人誌という単語を知らない人がZINEという言葉に先に触れて使い出すというのも、その逆もある。自分なんかはその逆の方で、今回の話で、これまで自分がコミティアで同人誌と名乗って出してきたものは一応ZINEにも該当するらしいとわかった(それとも漫画は除外されるのだろうか?)。まあ、自分についてはどちらでもいいのだけど、最初に触れた単語の方が馴染みがいいのは確かなので、ZINEに馴染んだ人は今更同人誌と呼びたくもないだろう。
というわけで、今回の自分の理解は、日本における実態としては、同人誌とZINEは同じとか違うとか以前に階層が違う概念であり、ZINEは同人誌に内含される、という感じになる。今川焼きと大判焼きという比較ではなくて、スマートフォンとiPhoneみたいな感じだ。
その上で、あえてZINEと呼称することは、同人誌に含まれるエロやオタクカルチャーのイメージを排するという点で意味がある。エロ漫画もZINEも同人誌という括りでは同じだが、エロ漫画と一緒にされては困るので、「同人誌とは別のものですよ」とあえて主張しておけば距離を置ける。NHKでも特集を組んでもらえた。
結果としてNHKがあたかも同人誌の存在を無視してZINEを「新発見」したように見え、加えてツイッターで実際にZINEの方が位が高いととれる説明をした人がいたので、オタクの反感を買って「同人誌もZINEも同じ自主制作なんじゃないのか」と話題になったのだと思う。まあ、その気持ちはわかる。
オタクはよく無根拠な被害者意識で物事を責め立て炎上させる攻撃性を持つが、この場合はZINEを知らない無知に端を発し、その疑問に対して、同人誌とZINEに実態として明確な違いがぱっと見当たらないのに、歴史や定義の説明ばかりされて、攻撃性と言うより戸惑っている印象を受けた。まあそれはそうだろうと思う。そうしてもやもやしていたところに明らかにZINEを同人誌の上位に置いて説明する人が出てきたので、怒りを覚えるのも、まあそれはそうだろう。
だいたいいつもはオタクが一方的に悪いことが多いのだけど、この話題では結構ZINE側の人も同人誌側のオタクも同じくらい見ていてキツイことを言っていたので、心の中でどうどうと唱えていた。
そこは結局自主制作というくくりで見れば同じことをやっているものなので、否定・排斥しあうのではなく尊重しあいたいものだ。同人誌のイメージを避けるのは理解できるし、かといってZINEは同人誌と別物というわけでもない。
自分の理解ではそのはず。