2024年12月
241202雑感

先日、あらためて新宿マルイアネックスのWacomブランドストアまで行ってCintiq proの比較をしてみたのだけど、やっぱり、Cintiq pro27は値段も含めて特殊用途に見えるなあ、と思った。
作業領域の広さが拡大するというより、映せる大きさの問題……つまり、一定以上遠くから見る用途を想定してる気がする。具体的にどういう用途かあまり想像できないけれど。客や生徒にタブレットの画面を見せながらのライブペイントとか?それは別画面に映せば事足りるか……。
もちろん、それほどの大画面が作業領域として必要なケースもあるのだろうけど、机の前に座って絵や漫画を描きます、だと値段的にもサイズ的にも22までじゃないかと思う。現在のラインナップだと。

デスクトップPCの調子が悪く、症状のひとつに、デスクトップ上だけがフリーズする(タスクバーのアイコンや既に開いているウインドウなどは操作できる)、というのがあり、かなり頻度が高い症状なのだけど、ちょっとしたことがわかった。
どういったものかというと、デスクトップ上のアイコンが、カーソルを乗せてもクリックしても何も反応しない、右クリックしてもメニューが出ない、というものなのだけど、反応しないのは画面の左2/3くらいの範囲で、右1/3くらいの範囲は普通に反応する。デュアルモニターにしており、右にサブディスプレイを置いているので、メインディスプレイの話になるけれど。そういやサブの方は確かめてないな。
これを確かめたのも1回だけなので、次回フリーズした時はまた違うのかもしれないが、てっきり全範囲固まっているものだとばかり思っていたのでだいぶ驚いた。こういうことあるんだ。
まあ、だからどうしたという話ではあるのだけど。

そんなわけで、どういうわけかはともかく、Cintiq pro 22のスタンドセットを乗り換えキャンペーン価格で注文した。462,990円。24回分割払い手数料なし。
ローンの審査結果は明日以降になるのだけど、とりあえず注文したという結果は残った。
今までした買い物で一番デカい気がする。

241201雑感・ネットde真実の年代差

Twitterで気になるツイートを見つけた。
https://x.com/rindoh/status/1862126394500845993?t=63zWWUvqeThokZJfqBIYNA&s=19
引用「インターネットある程度やってきた人間であれば、ネットで蔓延るデマが既存メディアどころでないレベルになってきたことは体感的に理解できてるはずで、今は高齢者の方が(ネット経験が少ない分)ネットDE真実のメインになっている…という逆転現象が起きてることを強く認識させられた選挙戦だったな」

このアカウントの人については概ね好意的に受け止めてフォローもしているのだけど、このツイートを見て、ちょっとこれについては意見が違うな、と思った。
ちなみに、ここでの選挙戦というのはおそらく兵庫知事選が念頭に置かれていると思う(それを前提に話していくので、違ったらごめんなさい)。あと、この人は高齢のご両親がネットde真実にかぶれているのを度々話に出しており(今回も続くツイートで母親を引き合いに出している)、その身近な印象もあっての感想なのかもしれない。

ツイートについて、まず、インターネットをやってきた人間を過大評価しすぎだと思う。
体感的に理解……できてないと思う。インターネットをやってきた人達の多くが。たとえインターネットにデマが蔓延っていることは認識していても(認識・意識すらしていない人もけっこう多いと思う)、それでも既存メディアの偏向報道よりマシだと断ずる人だったり、そもそもデマの認識が違っていたりする(事実をデマと認識しデマを真実と認識している)。そこにインターネットをやってきた経歴はさほど関係ない。自分はリテラシーが高いんだぞ、なんて顔をしながら長いことインターネットをしているのに、最近ポッと出たクルド人差別にまんまと引っかかって乗っかっている、みたいな人だって普通にありふれている(まあクルド人差別は既存メディアの一つたる産経新聞も煽っているのだけど)。
これも結局は自分の体感に過ぎないのだけど、一旦反対意見を出してみたというところで、脇に置いておく。

次に、ネットde真実(以下、ここでは「ネットの情報に強く影響を受けること」と定義する)の主要年代層について。こっちをメインで語りたい。ネットde真実を強く印象づけられた点に選挙戦を挙げられているので、その選挙……兵庫知事選について簡単に。
兵庫知事選ではネット(YouTubeやSNSなど)の情報を大きく味方につけることで斎藤知事が当選したと言われている。なので、今回のネットde真実の主要層は斎藤知事に投票した割合を見れば簡単にわかると思われる。そこで以下の記事だ。
60代以下、斎藤氏が上回る 告発文書問題「重視」9%(共同通信)
https://news.yahoo.co.jp/articles/bbeb37823a07de890ac89e5e785280aff73d9a3b
斎藤知事への投票率は70代が最も低く次に80代以上。一方で一番投票率が高いのは、10代か30代、それに続いて20代といった感じ。傾向を見れば明らかなのだけど、高齢者層ほど斎藤知事に投票せず、年代が若くなるにつれ斎藤知事への投票数が多くなっている。
今回の選挙戦からネットde真実の構成層を考えるなら、むしろ30代以下の若年層がメインになっていると考える方が自然ではなかろうか。
ちなみに高齢者層の投票率が低いのは、ツイート主の意見とは逆に、ネットの影響を受けにくかったからだと思われる。ネットに触れていない、ネットに触れても情報の取捨選択基準が若年層と異なる、ネットの情報にかぶれてはいるけど投票行動には影響しない……などが考えられる。最後のは直観的に想像しにくいかもしれないが、世代によって投票行動への考え方も結構違ったりする。

兵庫知事選以前の選挙にも、ネットを味方につけたと言われる候補があった。都知事選の石丸氏と、衆院選の国民民主党だ。年代別の投票率グラフ、検索して出てきたページを以下に。
東京都知事選挙 2024 勝因と敗因 小池百合子氏 石丸伸二氏 蓮舫氏 多くの支持を得た自治体は
https://www.nhk.or.jp/shutoken/articles/101/008/25/
若年層支持、比例は大幅増 国民民主、朝日新聞社出口調査 衆院選
https://www.asahi.com/articles/DA3S16070872.html
いずれも若年層ほど支持が多い。国民民主は特に30代以下での支持が多く、石丸氏は30代以下においては小池知事を上回る支持率になっている。
これらの候補に投票した人がインターネットの情報だけを真に受けてそれだけを判断基準にして投票行動を行った、などと言うつもりはないし、仮にそうだったとしてもインターネットの情報が全て間違っていたと言うつもりもないが、個人的には、インターネットに影響されやすい世代なのかな、と思ってしまう。ネットde真実という言葉で表現してしまうとアレだけれど。

なんにせよ、現状、ネットde真実の主要層は高齢者層だ、ということは今度の選挙戦からは判断できない、ということが言えるのではないだろうか。
兵庫知事選に関しては他にも、ネットの情報にかぶれて斎藤知事を支持する高齢者を映したテレビ画像を指して、高齢者が若者と社会秩序の邪魔をしている、というふうなことをツイートする反斎藤の人も以前見受けられたけれども、その理屈で言うなら、実際には邪魔をしているのは30代以下の若年層である。そう、俺たちの世代なんだよなあ……。とはいえ一部を取り上げて全体化するのはあまり良くないことが多い。ましてテレビに映った一人の老人を取り上げて高齢者一般を語るのはちょっと行き過ぎだと思う。
個人的な印象としては、結局、ネットに触れることの多い世代がネットにかぶれやすく、ネットに触れることの少ない世代がネットに影響されづらく、つまりネットをある程度やってきたからと言ってネットの情報に耐性がつくわけではない、というシンプルな話な気がする。逆転も何もない。
先述のツイートはこれを書いてる時点で58RT119いいねと、バズるとまでは言わないがそこそこ多くのリアクションを得ており、一定数の共感を呼んだと思われる。結局のところインターネットはまだまだ若年層のものであり、高齢者批判の文脈に乗るとウケがいいのだろうと、自分は思ってしまう。

余談になるが、自分は子供時代ネット右翼にかぶれていたのだけど、あれが今のネット世論に与えた影響は大きいと思っている。反・既存メディアの色が濃かったので。反・自虐史観、反・日教組、反・野党、反・既存メディアといった感じ。日本においてネットの胡乱な情報が受け入れられる大きな流れは、既存メディアへの反発を強調したネット右翼から大きく広がったという印象を持っている。
あの頃ネット右翼仕草をしていた主に当時20代以上のネット利用層は、現在40代以上になっている。高齢化しているわけだ。
普通に考えれば、若い頃にネットにかぶれた人がそのままかぶれ続けて、40代以上がネットde真実のボリュームゾーンになっているはずだ。だが実際は30代以下のデジタルネイティブ世代がボリュームゾーンになっていそうなことが選挙結果から見て取れる。上の世代の一部が作って広めた環境に、下の世代がまるっと影響されている、ということだろうか。
まあ、あるいは選挙結果については、40代以上は昔ながらのネット右翼が多くて、今回流布された流言飛語とは思想的に合わなかったというだけかもしれない。ネット右翼……今は略されてネトウヨ……もなかなかおじさんと老人の思想になりつつあるから(もう既に?)、最新の流行にはついていけないこともあるだろう。
つか、それを言い出したらネットde真実も死語みたいなもんな気がする。代替語に何があるか知らないけれど。

あと、ネット右翼だった当時の自分からして、既存メディアはおじさんや老人向けの古い体質のメディアで、インターネットの方がいくらかまともという認識だった。別に何に影響されたというわけでもなかったうちから、元々新聞やテレビニュースはそんなイメージだったので、デジタルネイティブの今の若年層から見ても、既存メディアはそういう印象があるのかもしれない。既存メディアの何がそう感じさせるのか。
でも結局インターネットの情報も既存メディアがソースか、無根拠のデマかの二択みたいなものなので、インターネットの方がまともと感じるのも滑稽な話だったなと、子供時代の自分を振り返るといつも思う。

とりあえずこの文章で考えて言いたかったことは以下。
・インターネット経験と情報リテラシーは比例しない
・ネットの情報に影響される主要年代層は高齢者層だとは言い切れない
・30代以下の若年層がネットの情報に強く影響を受けて投票行動を行っていることが推測できる

また、次のようにも考えられるかもしれない。
いずれの選挙のグラフも、デジタルネイティブ世代の30代以下が同一傾向にあるため、今後の世代も同様の傾向を示すかもしれない、ということ。
だとすれば今後ますますネット(YouTube・SNSなど)戦略が選挙において力を発揮していくことになるだろう。
今回の兵庫知事選の有様を見た上で、それが明るい未来だとは到底思えない。早急に対策が必要だと思う。

以上の文章で30代以下の若年層を批判しているように見えるかもしれないが、上述のとおり、自分も若年層の1人である。若年層と自称することにいささかの抵抗はあるけれど、世間的には30代以下は若年層らしい。
なので、若年層が憎くてこのようなことを言っているわけではない。結局、ネットに触れただけネットの影響を受けるのなら、世代よりシステムの方に問題がある。良い影響ならば別に問題ないわけだから。
そういうことを考えるに、やはりインターネットに胡乱な情報や虚偽の画像を撒くことで収益を得られるモデルは社会的に有害だなと思う。YouTubeやTwitter(X)などで直接的に収益を得るのもそうだし。今現在は端的に言って、嘘をつく方が得なのだと思う。しかしその仕組みをどうやったら変えられるのか想像はつかない。
ネットに影響されることはしかたがない、ネットに有害な情報があふれるのも変えられない、ではちょっと悲観的すぎるか。

ということで、話は終わり。
ツイートを見た時に「あれ?若年層の投票率の方が高かったんじゃなかったっけ?」と思ったので、取り留めもなく書いてみた。ツイートの意図を履き違えている可能性があるので、そうだったらごめんなさい。