9月9日に進行方向別通行区分の9thフルアルバム「スティーブン・せがれ」レコ発ライブ(対バン:パスピエ、DJ:スカート澤部)(@新宿BLAZE)に行った。
チケットはPeatixで99枚くらい先行販売?のあと別サービスで一般販売という形式で、自分はちょうどTwitterをぼんやり眺めてる時に告知ツイートが来たので、Peatixのかなり早い番号で買うことが出来た。
Peatix購入者には先着配布で特典が用意されており、それはヨッスステッカーだった。進行方向別通行区分に明るい人のツイートだと、これは2012年の「ヨッス!オラ長州ちから!」で配布されたものらしい。本当かは知らん。
告知時はそんなことは言ってなかったのだけど、開催少し前になって急に、今回のライブで進行方向別通行区分は解散であると発表された。田中と仲の良いジョニー大蔵大臣(水中、それは苦しい)の言によると、田中の事情により本当にラストライブになるかもしれないとのこと。
進行方向別通行区分は解散ライブを何回もしては再結成を繰り返しているバンドなので、解散とは?ラストライブとは?という感じではあるのだけど、どうも少なくとも当面、年単位でライブはなさそうな雰囲気ではあった。最近は活動が多かったので最近が異例だったとも言えなくもないのだけど、何にせよ一旦の活動の区切りではあろうということで、そういうつもりで見に行った。
一方のパスピエについては名前こそ昔から知っていたものの曲は一曲も聴いたことがなかったため、YouTubeに上がっている主要な音源を予習して行くことにした。
どうもポスト相対性理論扱いされていたことがあるらしく、であれば旧相対性理論の核だったと思われる真部との対バンは、ファンには感慨深いものがあるのかもしれない。ただ、個人的には音源を聞いてみたところ、高音の特徴的な女性ボーカルのポップ・ロックバンドという以外にあまり相対性理論っぽさは感じなかった。近年の音源は特にそうだ。強いて言えばとおりゃんせが少し相対性理論っぽい引用を感じるかもしれない。
ちなみに個人的には近年の音源の方が好きだった。
全体的な印象としては、どこかで聞いたことあるようなキャッチーなフレーズに捻りをきかせたものが多く、引用の多いバンドなのかなと感じた。ただその引き出しがとにかく多い。プログレに片足突っ込んでいる曲もある。これは音楽的な受け皿の広いファンであれば追っていて飽きないだろうなと思う。
さて、まずはパスピエのセットリスト。Twitterで見つけたやつ。
1.バジリコ
2.はいからさん
3.人間合格
4.夕焼けは命の海
5.まだら
6.発色
7.Q
8.真昼の夜
9.GOKKO
10.シネマ
最新?のバジリコから入ってくれたので気分が乗りやすかった。これ進研ゼミで最初にやったところだ!となれたので。
QとGOKKOはライブで聞きたかったので聞けて良かった。とくにQはあまりにもキャッチーで、これはライブ定番曲なのでは?と思う。知らんけど。
真昼の夜は個人的には好きなんだけど勝手な印象でこの曲ファン受け悪いんじゃないかなと思ってたけど、やってくれて良かった。
予習範囲外だったけれど人間合格とシネマはキャッチーで好きだった。
進行方向別通行区分のセットリスト。Twitterで見つけたやつ。
1.アーケードテンプテーション
2.池袋崩壊
3.ホワイI’m美人
4.サンキュメリカ
5.宇宙警察サクラ・ダーモン
6.鏡よ鏡よ、しお
7.リンとして電話
8.左ハンドル右折します(古都の夕べの曲)
9.オーストラリア
10.夏休み(古都の夕べの曲)
11.シャンプーシンドローム
12.ネギジャーノンに花束を
13.理論武装
14.夕暮れビーチ、駆け込みキッス
15.自分のこと猫ちゃんって呼ぶんだよ、おかしいね
16.井荻の中のマリオネット
17.ハッピーチューズデー
18.かほちゃん
19.世界は平和島
20.海の王者シャチ
21.独身ボクシング
22.梅を吸いすぎた男
23.森の妖精ペチャパウナー
24.ダイナマイト・卒業式
(アンコール)
1.自治会長鬼山
2.課長になった風鈴
3.白兵戦
4.バイバイ名古屋県
5.小さい先輩が大きい先輩にキュン
6.真・海の王者タコ
7.大塚娘
8.You say? 民営化
9.三千世界
これはどうでもいい話なのだけど、ライブ開場前に一回ライブハウスの外に出た田中らしき人物が、その後入場準備のため入口に鍵をかけられ締め出されていた。
ライブはいつものごとくとなりのトトロの風のとおり道から安心感のある導入。からの初っ端からアーケードテンプテーション、池袋崩壊といきなりのキラーチューン。進行方向別通行区分には、YouTubeに違法アップロードされていたこれらの音源から入ったという人も多いだろう。
アーケードテンプテーションは心なしかいつものライブよりテンポがゆっくりめで、いつもと違う……まさか……解散ライブ!?という気持ちになった。
解散ライブということもあってか、どうにも田中に目がいってしまう。どこだったか忘れたのだけど、真部が歌っているところで微笑んだり涙ぐんでいたように見えたのは気のせいだろうか。
またあるところでは田中の黒いストラトの弦が切れてしまうハプニング。弦が切れたままパワフルにストロークする姿に、やはり解散の二文字を感じざるを得ない。その後つなぎで手に取った水色のテレキャスはジョニー大蔵大臣からの借り物だったらしい。
梅を吸いすぎた男(真部の彼女43)ではいつもの真部ダンス。これを見に来ているまである。自分が行ったライブではだいたい真部ダンスしている気がするのだけど、やらないこともあるらしい。
そういえば、ライブの初めに「進行方向別通行区分です」と田中が言っていた気がする。いつもだいたい何も言わないので、珍しいことだ。やはり解散か。
また、どこかの曲の途中で真部だ田中だアンソニーだ西浦だ進行方向別通行区分だ、というような真部の叫びによるバンド紹介が挟まれた。熱い。やはり解散か。
そしてアンコールも終わった最後、メンバーがおもむろにスケッチブックを掲げてめくり始める。「20」「年」「間」「あ」「り」「が」「と」「う」「!」。やはり解散か。てことは2003年からやってたのか。
ステージの幕が閉じても鳴り止まないアンコールの拍手。普通は音楽が流れて明かりもついて終わりを悟るのだけど、中々流れない。
その時不意に流れ出す音声「サッチ!」。野村沙知代の「Such A Beautiful Lady」だ。何かが始まったことを察してアンコールの拍手も止んでいくが、あまりの突拍子の無さに新たな展開なのかこれで終わりなのか図りかねて身動きの取れない観客たち。ただ、進行方向別通行区分には、似合う。ラッパーの声も田中に似ているので、一瞬田中がラップしてるのかと思った。次第にジョン・ケージの変奏IIとも混ざり合い、奇妙な時空間が続いていく。
結局一通り流れ終わる頃には、これがスカート澤部のDJプレイであることにみんな気が付き、拍手で終わり、退場が始まった。良いプレイだった。
そうして自分のYouTube Musicプレイリストに「Such A Beautiful Lady」が加わったのであった。
物販の話をしよう。進行方向別通行区分は通販等をしないため現地物販でしかCDを買うことができない。なので転売屋の対象になっており、自分も10年前に進行方向別通行区分を知った時には、札幌在住だったこともあり、ヤフオクで旧譜を入手していた。
ただ、5月にあった渋谷での「flower。」レコ発ライブでは旧譜含めかなり潤沢に用意されていた。その前の「ムー大陸大好きでθ」レコ発の時は旧譜は全然足りておらず完売していたのだけど、flower。レコ発の時は余裕があった。
その在庫を引き継いでいたのかどうなのか、今回もかなり潤沢に用意されており、というか、かなり余っていた。
どうやら今回で売り切れという指令があったらしいのだけど(やはり解散か)、その指令は果たされず。自分も特に旧譜は買わずに帰ったのだけど、後で思えば、そもそも旧譜の半分くらいは転売で買ったものなのだし、餞というわけではないが、ごっそり買い替えても良かった気がする。ちなみに自分は転売はしない(面倒すぎてできない)ので、ただ同じアルバムの枚数が増えるだけなのだけど。布教とかしてもいいかもしれない。
売り切れと言った以上、ひょっとしたら余りは処分するのかもしれないが、できることなら、また再結成してライブをする時に持ってきて欲しい。その時は旧譜も買うから。