2024年10月
映画連休 今上映してる映画のネタバレなし感想まとめ

この連休期間中、映画をめちゃくちゃ観た気がする。5本か。
まだ「室井慎次 敗れざる者」「ぼくが生きてる、ふたつの世界」とかも観たいところではあったけどこれが限界か。
連休中に観た映画を含め、今上映してる中で観たことある映画をネタバレ抜きで改めてまとめて紹介する。何回感想書くねんという話だけど。書きたいから書く。

・シビル・ウォー アメリカ最後の日
ポストアポカリプス・戦争・ロードムービー。
あんま楽しめなかった。
内戦である意味が全然なく、普通の戦争でも変わらない。個人的には平凡な戦場ジャーナリストものにポストアポカリプス・ロードムービーを組み合わせただけに感じる。人々の分断が描写されないので、ロードムービーで出会う相手も銃を持った他人以上のものではない。
主軸となるジャーナリストたちのストーリーが薄く退屈。主役の一人であるジェシーが好きになれない。
平坦・単調で露悪的な不快感を誘う描写や、リアルかどうかはともかく異様に迫力ある銃火器音から、戦争の現実、アメリカの現実を感じとれるかが楽しめるかどうかのカギ。自分はフィクションだなと思った。

・ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ
ラブロマンスと法廷劇。
楽しめたけどオススメはしづらい。スケールが小さく陰鬱としていてエンタメ度が低いから。でも前作と絡めたメッセージ?を伝えきっていることは天晴。
歌のシーンが多く、そこがどうしても退屈。
相手役のリーというキャラが嫌いだったので結構イラッとしながら見ていた。
ジョーカー1を観た人には絶対観てほしい気持ちはあるけれど、エンタメ度が低いのでオススメはできないのが悩みどころ。

・トランスフォーマーONE
大人が観てもちゃんと楽しめる王道のCGアクションアニメ。
オリジンストーリーなのでトランスフォーマーの知識がなくても大丈夫。自分もなかった。乗り物に変身する機械生命体というところだけのみ込めれば。
CG表現のクオリティも高く、冒頭映る街並みで既に圧倒された。
アドベンチャーとして楽しめる展開が詰め込まれていて飽きずに楽しめる。
人間ドラマも主人公のオライオンパックスとD-16の友情を軸に楽しめ、他のキャラクターもさすがに歴史あるIPなだけあってバラエティ豊かで魅力的。
固有名詞と聞き取りづらい名前が多く、吹替で見たのだけど情報を追うのがなかなか間に合わなかったので、字幕の方がいいかもしれない。

・あの人が消えた
ネタバレ絶対NG系映画。一応ミステリーか。個人的には今年ベスト級。
小説家になろう協賛でなろう小説を扱っているのでオタク向けな面があり、オタクにもオススメしたい。
主人公のコンプラ意識がめちゃめちゃなことを我慢できるかどうかで分かれそう。
あと主人公の先輩がわりと邦画っぽいギャグとばしたりするので、陰鬱でミステリアスなトーンの映画を期待すると、ん?と思うかも。
とまあ、結構見る側の譲歩は要るかもしれないけれど、とにかく前知識ゼロで行った自分はラストでめちゃめちゃになったので、オススメ。

・Cloud
面白かったけど、これもまあ一応ネタバレNG系かも。予告観たらバレるけど。前知識ゼロで見て、なんか思てたんと違うなとなった。
しかし怖い雰囲気、嫌な雰囲気を味わいたければまず間違いない。画作り、見せ方が上手くてまんまと怖がらせられる。ジャンプスケアが一回だけあるので注意。
登場人物もいい感じに嫌な奴ばかりでじんわり嫌な気分にさせられる。
ただやっぱり思てたんと違うなとはなるので、そういうの許せる人向け。許せるなら予告は観ない方がいい。

以下、連休中に見たわけではないけど今上映してるのを確認できた映画。こちらは簡単に。

・ビートルジュース ビートルジュース
愉快なコメディ。死の世界を扱っているのでそういう意味でちょっとブラック。
前作を見て期待したものが大体そのまま出てくる。ティム・バートンらしさを近年感じていなかった人もこれなら楽しめそう。
これなんだったの?みたいに思うところがちょこちょこあるかもだけど、まあコメディなのである程度は……ね……。

・ラストマイル
サスペンス。というか、要するに踊る大捜査線THE MOVIE的な感じ。
今年を代表する大作邦画の1つとして相応しく、しっかりと楽しめる。
主人公にちょっとクセがあるのと、ちょっと小っ恥ずかしい英語が出てくるので、そこは我慢。
アンナチュラルやMIU404のキャラがどかっと出てくるので、ドラマ見ろとまでは行かずともキャラや設定の予習必須。

・侍タイムスリッパー
笑いあり涙ありの時代劇制作コメディ。
今年を代表するインディーズ邦画。自分個人としても面白かったし、個人の感想を除いても、1館上映から口コミで全国シネコンまで上映館数拡大し続けてるのが面白くないわけがない。オススメ。
終盤の展開に賛否は分かれるかもだけれど、個人的にはそこで鮮烈な映画体験をさせてくれたので、賛。

・きみの色
バンドものアニメ、と言うには大分ほんわかふわふわしている。かわいい作品。
けっこう楽しめた。基本的には主役三人の関係性をニコニコしながら眺める感じの楽しみ方。
ここで挙げてる中では一番ストレスなしでほんわか楽しめるので、癒されたい人にオススメ。

・鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎
今やってるのは真生版でそっちは見た事ないのだけど、まあ元々のやつと大筋にそう変わりはないだろうと決めつけ。
元々のやつは面白かった。横溝正史と妖怪とバトルアクションのミックスといった感じ。人間の醜さを描くダークな作風と、サービス精神のあるエンタメが共存している。
ある登場人物が一番シリアスな場面でやたらコミカルな振る舞いをしていて、そこは違和感があってもったいなかった。ねずみ小僧ではない。

・ルックバック
クリエイター賛歌の感動アニメ。ボロボロ泣けるはず。オススメ。
……と一応言っておくけど、素直に言うと、個人的には楽しめなかった。映像も音楽も合わず。特に音楽はない方が良かった。当然泣けもしてない。ストーリーは原作漫画そのままなので特にプラス要素なし(変な改変されても困るので別にいいのだけど)。
でもどうせ自分以外のみんなは楽しめるんでしょ、というひねくれた根性で、激推ししておく。

映画を観た Cloud

Cloudを観た。10月14日、立川シネマシティにて。

オススメ度★★★☆☆

ダレ気味だったけど面白かった。
転売屋の主人公がどことなく不穏な状況に置かれてたり、追い詰められていくシーンなどは、さすが黒沢清監督と言うだけあって、イヤ〜な雰囲気が画作りから何からにじみ出ていてとても良かった。そのパートを退屈と感じる人もいるかもしれないが、個人的にはこの嫌な雰囲気が満ちているうちは緊張感があって全く退屈しなかった。
この感じは先日見た黒沢清監督の傑作Chimeにもあって、とにかく映像や音、出来事全てで不穏や緊張感が積み重なっていって怖さの予感になり、緊張感が持続し、怖い出来事が余計に怖くなるという良さがある。

予告編は見てはいたのだけど内容をほぼ忘れていたため、思ってたジャンルと少し違うな……?となった。ただ逆に忘れていたために、緊張感を持って映画を観られた面もあるかもしれない。そういう展開になるんでしょ、という予測を抜きにして、どうなるか分からないという状態になったから。
そういう展開の部分は個人的には結構ダレたかな〜と思う。

そういえば、今作にも登場している吉岡睦雄氏は最近観た映画だとChime主演の他にも化け猫あんずちゃんにも出演していて、今年観た映画で3作も目にしたことになる。あんまり同じ人を何度も見るということもないのでちょっと面白い。

以下ネタバレあり。

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映画を観た あの人が消えた

あの人が消えたを観た。10月13日、TOHOシネマズ立川立飛にて。

オススメ度★★★★★

めちゃくちゃ面白かった。
日曜日の昼間に時間を持て余してしまったので、本当はCloudとかベイビーわるきゅーれとかを観たかったものの、たまたま時間が合ってて少しでも興味あるのがこれしかなかったという理由で映画をチョイス。結果は大正解。
個人的にはChimeや侍タイムスリッパーに並ぶレベル。なんかここ1ヶ月ちょいで良い邦画たくさん見たな。ラストマイルも間違いなく今年を代表する邦画として頑張ってたし。

今作はライトな作品なので作品の出来が実際どう見えるかは人によると思うし、あくまで自分の好みに刺さっただけな可能性も大いにあるのだけど、個人的な気持ちとしてはとにかく是非とも観てみてほしい。
他の観客の評価を盗み聞きしても「とても面白かった」との声が聞こえたし。若いカップルから。デートにどう?

小説家になろう協賛で、なろう小説投稿者を軸に話が進むので、異世界転生ものというジャンルについて知っておくとベターだと思う。あとできれば令嬢ものも。別に話の本筋に関わる部分ではないのだけど。
簡単にざっくり説明すると、現実世界で死んだ不幸な人が異世界で生まれ直して(あるいは直接召喚されて)、与えられたスキルを使い冒険したりスローライフしたりと幸せにセカンドライフを過ごすのが異世界転生もの。
不幸な目にあっていた令嬢が自らの工夫や機転、そしてイケメンたちの助けによって令嬢として成功していくのが令嬢もの(シンデレラみたいなもん)。その悪役版が悪役令嬢(シンデレラの姉みたいな)。立ち位置が悪者なだけでやることは令嬢ものと同じで、悪役は破滅するという物語上の運命に抗って成功していくという感じ。悪役令嬢もので代表的なのがなろう小説の「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」で、これは異世界転生も混ざっている。
大体こんな理解でそれほど間違ってはいないと思う。

今作、一応標榜されてるジャンルとしてはミステリーなのだけど、あまりジャンルでくくりたくない(観たら多分わかると思う)。トリックもあるのだけど、非常に親切でわかりやすい作りの作品なので安心して引っかかって欲しいと思う。ただごく簡単なありふれたトリックをわかりやすく披露してくるので、見抜けてしまうとだいぶ虚無になる気がする。自分は見抜けませんでした。というか見抜く気もなかったのだけど。だから観る人は見抜こうとせずに観てほしい。伏線も細かすぎるものはない(と思う)のでいちいち気にしなくていい。
作中のトーンが一貫していない部分が多いので、絶えず楽しめるというわけではないし人を選ぶと思うのだけど、最後まで見て全て許せるかどうかがこの映画の評価を分ける気がする。

以下ネタバレ。

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最近観た映画オススメ度

なんの区切りでもないけれども、ランキングっぽいことをしようと思う。
星評価をオススメ度に変えたのもあるので、今年これまで観た映画をオススメ度でまとめてみる。
星三は多いので最近のやつだけ。
あと、オススメ度と自分が面白いと感じたかは別。あくまで人に勧めるならという感じ。

★★★★★ 観れたら絶対観てほしい
ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリデイ
Chime(映画館で)
侍タイムスリッパー(観ておく価値がある)
(10月15日追記:あの人が消えたもココ)

★★★★☆ オススメなに?と聞かれたらこれ
関心領域
オッペンハイマー
ルックバック(自分はあまり楽しめなかったけど他人は楽しめそう)

★★★☆☆ 殊更オススメはしないけど止めもしない
ビートルジュース ビートルジュース
ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ(前作観ている人)
トランスフォーマーONE
ラストマイル
きみの色
化け猫あんずちゃん
デッドプール&ウルヴァリン
密輸1970
その他
(10月15日追記:Cloudもココ)

★★☆☆☆ ちょっと止めるかも
シビル・ウォー アメリカ最後の日
DUNE 砂の惑星 PART2

★☆☆☆☆ 悪いことは言わないからやめよう
ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ(前作観てない人)

映画を観た トランスフォーマーONE

トランスフォーマーONEを観た。10月12日、立川シネマシティ、吹替版。

オススメ度★★★☆☆

面白かった。映画選びで迷うならこれ選んどけば無難。
めちゃくちゃ面白かったというわけでも自分に刺さったというわけでもないんだけども、この手のやつに期待するものが過不足なく詰まっていて無難に楽しめる。話運びも上手で飽きずにテンポよく観ることができる。CGアニメとしての映像のクオリティというか見栄えもすごい。
トランスフォーマーが全然わからなくても序盤で説明のある用語を把握できればなんとかイケる。えーと、プライム、エネルゴン、コグ、マトリクス、クインテット星人(間違い)……もう忘れつつあるけど。とにかくイケたんだよ!

過去のトランスフォーマー映画もわりと観たこと自体はあるんだけど、なんというか、よく知らんロボたちがよく知らん関係性でよく知らん戦いをしている!という感じだった。
そこのところこの映画は、よく知らんロボたちのよく知らん関係性をスタートから説明してくれるオリジン映画なので、初めて話についていけた感があった。

そう言えば主役二人の名前、最終的にオプティマス・プライムとメガトロンになることの印象が強く、劇中ほとんどの間、この二人なんて名前だっけ……何回聞いても覚えられないな……と思いながら見ていた。
このあたり、吹替版だから聞き取りづらくて良くなかったのかもしれない。自分には目で見れる字幕が合うのかも。

映画を観た ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥを観た。10月12日、立川シネマシティにて、字幕版、極上音響上映。
知らなかったのだけどこの映画IMAX画角らしいので、これから観る人はIMAXで観た方がいいかもしれない。自分は普通の画角で観ました。

オススメ度★★★☆☆

面白かったは面白かったのだけど、人を選ぶと思う。
ジョーカー1を観たことがない人にはむしろ観るなと言いたいし、観たことがある人にも手放しにオススメはできないものの、しかしジョーカー1を観て好きだったならここまで観るべきだろうという気もする。
(追記:反面、1を嫌いだったとしても今作も合わないとは限らないので、興味があればどうぞ。)

ジョーカー1は絶対に観た上で今作を観た方がいい。そもそもジョーカー1の話を大前提にした話なので、単独作として観るのは厳しい。

自分の印象を端的に言うと、「ジョーカー1を好きなあなたは、アーサーとジョーカーどっちが好きなの?」とずっと観客に問うてくる映画だなと思った。
その問いかけに意味があるのかという気はするけれど、とにかくやりたいことはそれなんだろうと解釈した。

登場人物については、相方となるレディーガガ演じるリーが魅力的なキャラじゃなくて困ってしまったところはある。なんだこいつと思いながら見ていた。
人によるとは思うけれど、個人的にはこのキャラがこの映画の最も大きな欠点だと思っている。

軽いネタバレだけど人によっては必要な情報だと思うので書いておくと、この映画はかなりのミュージカル映画で、とにかく歌いまくってその中で現実と虚構も混ざりあって話が進んでいく。
(追記:語弊があったというか、自分の理解が浅いのだと思うのだけれど、この映画はミュージカルじゃないと言う人も多いので、そこは追記しておきたい。ただ何にしても、歌うシーンはかなり多い)
心の準備ができてなかったのか鑑賞後に戸惑っている観客が劇場におり(こんなミュージカルって知ってた?いや……なんて会話をカップルがしていた)、知らずに見て戸惑いばかりで鑑賞体験が終わるのもアレだと思うので、一応書いておく。
自分はうっすら前情報で知っていたし、別に知らずに見てもミュージカルだったくらいなら鑑賞姿勢を修正可能なので、特に問題はなかった。
ただ、どの歌も意味がよくわからなかったなとは思う。色々なニュアンスの込められた複雑な歌詞を全部汲み取るのは自分には無理。結果、歌のシーンの多くがあんまり飲み込めず、なおかつその度にストーリーが止まるので、全体としてテンポが悪く感じたというのはある。

以下は重めのネタバレ含む。

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