2024年10月
映画を観た シビル・ウォー アメリカ最後の日

シビル・ウォー アメリカ最後の日を観た。10月11日、TOHOシネマズ立川立飛にて、IMAX字幕。

オススメ度★★☆☆☆

個人的には微妙で、退屈した。話が薄い。アメリカの内戦である意味を感じない。アメリカ人の分断を描いた映画にはなっていないと思う。
戦争のドンパチが好きな人はたまらないと思う。音も迫力があり、画面も没入感がある(ように感じた)ので、IMAXで見ることを強く勧めたい。自分も戦争シーン自体は楽しめた。
頻繁に挿入される挿入歌も曲調とシーンとのミスマッチをあえて狙っているように聞こえて面白い。
ジャンル的には、ポストアポカリプス、ロードムービー、戦争モノのミックスなので、それらにピンとくる人はどうぞ。
個人的には今年見た中だとフュリオサと同じくらいの面白さだったかな。
たくさん映画やってる中でどれか勧めるとしたらこれは選ばないかなという感じ。

作品全体として「戦争でこんなに悲惨な殺し合いの世界になりました」という描き方をしているのだけど、ポストアポカリプスで悲惨な世界と言われてもそれは映画ではよくある話。独自の味付けが欲しい。内戦や分断を味付けとして使うならそこを掘り下げて欲しい。
でも描かれるのは単調な残虐さだけ。同じ国の人々が意見や思想、地域、人種の対立で分断されているのではなく、単に銃を持った頭おかしい個人と話が通じないだけ。
そういう意味で一番期待感があった「どの種類のアメリカ人だ?」のシーンも、緊張感はたしかにあって凄いけど期待はずれ。予告編では一見人々の分断を表す象徴のようなシーンになっていたけど実際は……。

これ以上不満を書くのはネタバレになることを避けられないので以下ネタバレ。

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映画を観た ビートルジュース ビートルジュース

ビートルジュース ビートルジュースを観た。9月27日、立川シネマシティにて、字幕版、AMEOTO上映。

オススメ度★★★☆☆

面白かった。
前作から時が経ってもビートルジュースの外見的印象は変わらず流石。
キャラクターとしても、ビートルジュースのキャラクターをもっと掘り下げて描こうという意識が感じられ、遊園地のキャラとしても採用されたことを考えると、今後のコンテンツ展開を見据えているのかもしれない。善性の薄いジャック・スパロウみたいなキャラクターが確立しつつある。キャラとしてはジャック・スパロウの方が後なんだけど。
出来がどうなるかはともかくとして、3作目以降も十分あり。ぜひビートルジュース ビートルジュース ビートルジュースを作って欲しい。なにしろビートルジュースを呼ぶには三回唱える必要があるのだから。

前作同様コメディではあるのだけど、メートランド夫妻とディーツ一家がもめるのが主軸だった前作に比べると、今作はストーリーがややハード、ダークな感じで好みが分かれるかも。

ストップモーションなどでかなり意識してアナログ感を取り入れていて、現代のVFXに慣れていると違和感があるかもしれない。まあ予告編の目玉飛び出るシーンとか見れば、あんな感じのトーンだとわかると思う。途中で人物が静止するシーンがあるのだけど、どうもそこではCGとか俳優ではなく精巧な人形を置いているように見えた。上手くアラが見えないようにカメラワークがとられていたが、逆に手間がかかっているような気がする。もちろん見ていて泥臭さを感じる面は否めないのだけど、そこまでするならもう一本筋が通っていて天晴と思わざるを得ない。

以下ネタバレあり。

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映画を見た時の星付け

些細で個人的な話。
映画を観た時はここにメモがてら感想のようなものを書くことにしている。
その時、何かの参考になるかなと思って、星で五段階評価みたいなのをつけている。評価というか、自分がどれくらい楽しめたか、みたいな意味合いだ。★★☆☆☆なら最低限楽しめた、★★★★☆ならかなり楽しめた、くらい。
映画によっては感想がツッコミだらけになることがあり、パッと見で自分がその映画を貶しまくってて全然楽しめなかったように見えることに気づいたので、補足として付け始めたという経緯がある。

なんだけど、どうもこれもわかりにくく誤解を生むという気がしていた。
まず、上記の例だと、星2が最低限楽しめた判定とは読み取りづらい。つまらなかったんじゃないのという印象を受ける。個人的には、つまらなかったのを細分化する意味がないと思っているのでそういう判定にしたのだけど、自分の中だけでわかっていても仕方がない。星3が最低限楽しめた判定になるのも違うと思うし。
次に、どのくらい楽しめたかがそもそも自分の中で判断が難しい。書いたあとでなんか納得がいかなかったりするし、前に観たあの映画は星3なのにこの映画が星4なのはなんか違うなあ、なんてことも起こる。かと言って相対評価で星をつけ始めるとそれも趣旨とズレる。

というわけで、次から意味を変えることにした。楽しめた度ではなくて、オススメ度にする。
他人にどれだけオススメしたいかという指標にすることで、星2があまりオススメできないくらいの意味になり、本来の五段階の直観的な意味になってわかりやすい。
そして単に自分が面白く感じたという情報ではなく、なぜオススメできる(できない)か?という説明をすることで、映画を観ていない人にとってより有意義な情報になるかもしれない。まあ、ここの文章をどれだけの人が読むのかと考えたら無意味かもしれないけれど。あと、そんなに書く元気がないということもありえる。

次はビートルジュース ビートルジュースの感想を書く。もう観てから10日以上経ったので、詳しくは書けないと思うけど。

映画を観た AKIRA 4Kリマスターと機動警察パトレイバー 劇場版

映画を観た。9月24日。
AKIRA 4KリマスターをStranger(墨田)にて。
その後、機動警察パトレイバー 劇場版をグランドシネマサンシャイン池袋にて。
新作映画ではないのでまとめて書くし、ネタバレ配慮もしない。(まあ、新作映画でもないのに取り立てて内容について書くこともそんなにないけれど)

もともとはちょうど休みを取っていて、一日ゆっくり過ごす予定だったのだけど、前日になって急に劇場版パトレイバーを今上映中だということを知った。次に、劇場版パトレイバーの上映館を探しているうち、たまたまAKIRAの上映も今していることを知った。
劇場版パトレイバーは大好きな映画で、もともとは家の小さい画面で見たのだけど、映画館の大画面でやるならぜひ見たい。AKIRAは見たことがないけれどいつか見なければならない名作と思っていた。初見の機会をいつまでも逸していたのだけど、これも家の小さい画面で見るよりも、映画館で見る機会があるならそれに越したことはない。
ということで、無理をして遠出して映画を二本ハシゴすることにしたのだった。
けっこうバイタリティがあるように見えるかもしれないし自分でもそういう気がするが、映画なんて座り心地のいい椅子で2時間前後ボーッとしているだけなので、映画自体に使うエネルギーは多くない。たださすがに移動はかなりがんばった。せっかくの休日をこんなに移動して過ごすなんて、ちっとも疲れが癒されない。元気があって動くならいいのだけど、急に知って、今しか観れないと思い急いで出かけたので、半ば強迫観念にかられて無理をした感がある。
まあ何が言いたいのかというと、本当にしんどかった。

AKIRAについては、全体としては面白かった。面白かったのだけど、よくわからなかったというのが正直なところ。
まず、作中で起こっている出来事やキャラクターの整理が自分の中でうまくつかなかった。出来事が多く感じて混乱したような気がする。
特にケイ、リュウのゲリラ組織がよくわからなかったのだけど(金を袋詰めしてたロン毛チビ幹部の手駒?反政府なのに政府側なの?)、金田を捕らえて研究施設?に潜入して、以降は本筋に大して影響しなかったので一応問題なかったと思う。
あとは話してる内容がそもそも抽象的でよくわからないところがある。主に実験体三人組の言ってること。これはもうSF映画となると仕方がないのだろうか。とりあえず、AKIRAのような遥か先の進化にある巨大な力が今の人間に備わったらどうなるか、という話と、既に人類はケイをはじめとしてAKIRAのような力に目覚めつつある、という話だと理解したのだけど。
まあ、話についてはちょっとネットで解説でも見てみるか。それとも原作読んだらわかるところもあるのかな?というか原作のネタバレ踏みそうだから先に原作読んだ方がいいのか。
金田がバイクを横滑りさせて急停止する、よくオマージュされているシーンって、あんな序盤だったのか。なんかわりかしどうでもいいシーンだったな(かっこいいけど)。
「ドンッ」という大きな重低音が冒頭から終わりまでしばしば使われていて、異様な雰囲気を感じさせる一方で、無音のシーンも印象的だった。サウンドが上手い具合に気分を変えてくれるのは大音量の映画館ならではだろう。
ビジュアルに関してはさすがに今となっては真新しいところはないけれど、こういうのは既に普遍的な良さを獲得してるよなと思う。今見ても古臭くならない。個人的にはこういうサイバーパンクな世界観に作中の職業訓練校みたいなちょっと素朴な感じの風景が混じってるのも良いと思う。
4Kリマスターについては、少なくとも見ていて解像感の低さを感じるところはなかった。

劇場版パトレイバーについては既に見た事があるので特にこれといって書くことはないのだけど、解像感の低さは気になった。グラシネのスクリーンが大きめなのを差し引いても画面が粗く、当時のアニメ映画というのはこの前に見たAKIRAのようにリマスターしなければこんなものなのだろうか。とはいえ昔の映画なのでこういうものと思えばむしろ味わい深いものがある。
自分がこの映画で一番好きなのが、松井刑事が帆場の拠点を巡るシーンだ。開発された都市の裏側にぽつんと取り残されたような、古びて雑然とした寂しげな風景がいい。木造住宅、水の張った地面、ゴミの山……。これを大画面で見るために行ったようなものだ。刑事二人が缶ジュースを飲むシーンで、制作時はまだプルタブだったことも思い出す。松井さん、空き缶は持って帰ろうね。それとも当時はその辺にポイ捨てするのが普通だったのか?

(追記:この前見たラストマイルのことを考えてて思ったのだけど、ラストマイル、シン・ゴジラ、踊る大捜査線といった邦画のある意味転換点みたいな映画がこの劇場版パトレイバーの強い影響下にあるのは面白い。実は邦画史でかなり重要な作品なのかもしれない。アニメだけど)