敵を観た。1月25日、TOHOシネマズシャンテにて。

オススメ度★★☆☆☆

正直に言って面白さが分からなかった!
映画としてはきちんとしているから、観てはいられたのだけど。
老人の丁寧な暮らしを描いている部分が一番楽しめたかなと思う。

以下ネタバレあり。

老いを描いた作品なのだとは思うのだけど、難解というか、とくに(主人公の頭の中以外)何事も起こらずに終わってしまうから、何かが起こることを期待して観に行ったのが良くなかったのだとは思う。
原作未読だけれど、多分原作からしてそうなのだろう。

学生に向ける劣情について、全く共感なりなんなり反応できなかったのも痛かった。結構作中では主人公の尊厳に関わる問題として描かれているのだけど、自分は恋人でもなんでもない相手に劣情を抱くことがないので(まあ恋人がいたこともないのであれだけど)、しょーもなと思うしかなかった。

一方で、若い子に金を渡すのが老いの表れとして描かれているのは切なかった。
今作の場合は若干の下心を感じてしまうが、老いたら若い子と仲良くしたいと思ってはいけないのだろうか。
自分自身そういう価値観を多少持っているのだけど(老人が若い子と仲良くなりたいと思ってはいけないとまでは考えていないが、少なくとも美徳ではない)、いざ老人がそうしているのを見ると、やっぱり老人にも救いがあって欲しいなとは思う。

敵については、今作においては狭い意味では北から来ると噂の敵を指すのだけれど、最近のSNSでの排外主義的なデマを連想してしまった。
原作は1998年の作らしいが、現代に通じる描写があるということは、きっとメインテーマの「老い」だけではなく他にも普遍的な要素が多分に含まれているのだろう。

細かく挙げればきっと素晴らしい点はたくさんあると思うのだけど、総合して観た時にそれらが面白かったかと言うとそうではなかった。

あ、せっかく掘り直した井戸に死体をぶち込まれる教え子の悲しそうな演技は面白かった。一番面白かったかもしれない。
他にも、劇場がクスッと笑うシーンはしばしばあった。その多くは個人的には笑うというより引いてしまったけれど。その辺の感じ方の違いもあるか。