侍タイムスリッパーを観た。9月5日、池袋シネマ・ロサにて。
★★★★☆
面白かった。涙腺が緩むところもありつつ、笑いが堪えられないところもありつつ。笑えるシーンでも緊張感のあるシーンでもたっぷりチャンバラを魅せてくれる。映画愛、時代劇愛に満ちた良作。
突飛な設定のコメディながら、主人公の新左衛門の心の動きに案外無理がなく、スッと物語に入り込める。斬られ役に行き着くまでけっこう無理のある展開になるのかと思っていたけれどそうではなかった。
上映劇場も拡大したので、ぜひ見に行くことをおすすめしたい。楽しい映画で見て損はしないと思う。
声を上げて笑う場面もあったし、頑張る新左衛門を見てしんみりしたりした。
以下ネタバレ含む。
子供と大人で俳優が違うのは当然受け入れているのだけど(「フュリオサ」のAI合成はちょっと受け入れられない)、大人と大人で俳優が違うとさすがに面食らう。たとえ20歳が50になろうともそこまで顔は変わらんだろう。
関係ないが、上映前の別映画予告でも冨家ノリマサ氏が登場していた。「最後の乗客」という映画だった。人気の俳優さんなのだろうか。
ラストの真剣勝負の緊迫感がすごくて、手に汗を握った。それまで竹光でずっとやってきた安心感がある分真剣が恐ろしく感じる。
実際にはあれも殺陣ではあるのだけど、あくまで芝居の殺陣でこんなに怖いものを作れるんだということを作品自体が示している。
それまで作中では芝居で殺陣をやっていたのが、ここに来て恐ろしい真剣のガチ勝負になるけれど、メタ的には真剣のガチ勝負に見せることこそ殺陣の醍醐味、到達点のひとつという、二重に折り重ねてやっぱり最後でも殺陣の魅力を描いている構造が良かった。
新左衛門が心を寄せるヒロインの優子が、なんだかぼんやりした存在でつかみどころがなかったのが気になった。セリフの問題か演技の問題か、なんだか脚本の力で喋らされているような気がした。「新左衛門が心を寄せる相手」という役割でしかないような。なので真剣勝負後の平手打ちも機械的にヒロインをこなしてるように見えてしまった。