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2025年上半期に観た新作映画マイランキング

もう6月も終わり、一年の半分も終わり。
ということで今年も、2025年上半期に観た新作映画で、どれが自分にとってより面白かったか、楽しめたか、順位付けして遊ぶ。
ネタバレは極力抜きで簡単なコメント付き。

2024年のマイランキングはこちら。
https://nisezo.com/archives/7540

以下、観た2025年上半期公開映画とそれを観た時期一覧。

1月
ビーキーパー
機動戦士ガンダムGQuuuuuuX Beginning

ミッシング・チャイルド・ビデオテープ

2月
キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド

3月
トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦
アプレンティス ドナルド・トランプの創り方
ウィキッド ふたりの魔女
教皇選挙
Flow
映画ドラえもん のび太の絵世界物語

5月
サンダーボルツ*

6月
サブスタンス
たべっ子どうぶつ THE MOVIE
罪人たち

15作。今年はまた環境の変化もあり、なかなか映画をたくさんは観られなかった。環境の変化がない年なんかあるのか?という話だけど。
しかし3月にこんなに見てたのは驚き。思い返すと、仕事的にしんどい時期だったはずなのにあまり苦しんだ記憶はなく、調子が良かったのかもしれない。

1位 サブスタンス
ホラー。グロや痛そうなのが無理な人は無理。自分も苦手だけど特段覚悟せずに観に行ったので体を強ばらせながら観る羽目になった。
エイジズムやルッキズムを中心としたテーマ性に富んでいて、それらが荒唐無稽なエンタメと強く結びついている。これはどういう作品だったんだろう、と考える甲斐のある、1粒で何重にも楽しめる傑作。
デミ・ムーアの演技もすばらしい。

2位 罪人たち
ホラー。今年はホラーが豊作なのか?怖さ的には普通からやや弱め。
黒人の自由と音楽の力をフィーチャーしていてその点での爽快さもあるし、敵のキャラ造形も複雑でいい。
事前にアメリカ・黒人差別の歴史やアイルランド移民の背景などについての教養が必要そうだったけれど、自分は持たずに行ったので、正直汲み取りきれなかった部分が多い。

3位 ウィキッド ふたりの魔女
以前から見てみたかったミュージカルの実写化。期待に違わず面白い。歌もいい。キャラも魅力的。映像的にも豪華で見栄えがする。清々しいほどのエンタメ。
オズの魔法使いは履修した方がいいかも。映画と原作、どちらの要素もある(らしい。原作は読んでない)。
二部作の一作目なのも注意。とはいえ今作だけで不満になることはないと思う。
視覚的に世界観がややちんまりしてるかなというところは気になった。あえてなのかもしれないけれど。

4位 教皇選挙
枢機卿たちのキャラが立っていて、誰が教皇になるのか、ローレンスは事態を収拾できるのか、と適度にハラハラでき、驚きもしっかりあるサスペンス。
作中で保守リベラルの対立がありつつややリベラル的な作品なので、保守っぽい人は不愉快になるかも。自分はそういう意味での保守ではないので全然OKでした。

5位 トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦
かっこよくて多彩なキャラ、荒唐無稽なアクション、少年漫画的な熱いストーリー、魅力的な舞台。
痛そうなシーンがあることを除けば、誰にでも勧められる良作。減点要素が特になかった。

6位 機動戦士ガンダムGQuuuuuuX Beginning
TVアニメの先行上映。ガンダムは初見だけど面白かった。
その後放送されたアニメとは構成が違うけれど、自分はこのBeginningの構成の方が好き。
TVアニメのテンポは苦手なのだけど、本作は絵的にも話的にも常に動きがあって退屈しなかった。
これも自分の中では特に減点がなかったタイプの作品。他の作品でもそうだけど、自分にはわからない部分がある、というのはマイナスとはとらえていない。

7位 アプレンティス ドナルド・トランプの創り方
トランプパートはそこまで目を引くところはなく(セバスチャン・スタンの演技は素晴らしいけれど)、淡々とした気持ちで観ていた。トランプという人間の良い魅力も悪い魅力もあまり感じず、ただ低俗な人間として表現しているようにも見える。あるいは、トランプの現在表に出てる面だけだとこれが限界なのか。
しかしジェレミー・ストロングのロイ・コーンが良かった。ロイ・コーンで大幅加点。

8位 サンダーボルツ*
MCUの集合系お祭り映画……と呼ぶにはだいぶ地味なメンツ。映画としても割と地味。目を引くアクションも少なめ。
しかし面白さはフェーズ4以降のMCUの中ではかなり上位かなと思う。
過去作も最低限「ブラック・ウィドウ」さえ見ておけばだいたい話もわかる。というか、ブラック・ウィドウ2だよなこれ。
絶対に許せないポイントがひとつあるのが欠点。

9位 たべっ子どうぶつ THE MOVIE
丁寧なストーリーとキャラ立てで、海外製3DCGアニメ映画にも引けを取らない満足感のある子供向け3DCGアニメ。
馴染みのあるお菓子が登場する嬉しさもある。
外国の話っぽいのに日本文化を押してくるのがちょっと、いやだいぶ気になったけれど、まあ日本の菓子の映画だしきっと日本文化が浸透してる世界なんだろうと好意的に受け止めておく。

10位 映画ドラえもん のび太の絵世界物語
ゲストヒロインが異常にかわいいので、そのキャラだけでもオススメ。
話は目を引くところもあるけれど、敵役に難ありかも。あまり話が広がらないというか。面白いけれど。

11位 Flow
動物たちが漂流するだけの映画。
よくわからないけど見ているだけで楽しめる。
映像も独特でキレイ。
カピバラが好き。

12位 キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド
これは予告編が悪いのだけど、大筋の話が見る前からわかってるのが良くない。運良く予告編を見てない人は見ないままでいてほしい。
それをさっぴけば、普通に面白いMCU映画だった。翼と子機?を持つ新生キャプテン・アメリカのアクションも楽しい。
事前に「インクレディブル・ハルク」は観ておこう。観なくても楽しめるけれど。

13位 ビーキーパー
ジェイソン・ステイサムのアクション映画。普通に面白いので見て損することはない。
ただ、アクション映画として特筆すべきことはないような気がする。強いて言えば敵の設定が面白かった。

14位 ミッシング・チャイルド・ビデオテープ
じんわり怖いタイプのホラー。ジャンプスケアがないと評判だったけれど、それに近いビックリさせられるシーンはあったので注意。
個人的にはあんまり怖くなかったし、びっくりはたしかに少なめではあるので、ホラーは苦手だけどホラーで怖がってみたいという人にはおすすめ。話は面白い。

15位 敵
よくできた上質な映画だとは思うのだけど、個人的にはあまり楽しめなかった。
老人の丁寧な暮らしを描いてるあたりは面白いし、単発で面白いシーンはそこそこあるし、振り返ってみるとストーリーも面白いとは思うのだけど、じゃあ実際観ていて楽しめたかと言うと、つまらなくはなかったと思うけど……。
多分自分が実態とは異なるストーリーを期待しすぎてしまい、期待外れになってしまったのだと思う。

といった感じ。どれも面白かったと思うけれど(敵も一応……)、サンダーボルツとたべっ子どうぶつ、ミッシング・チャイルド・ビデオテープと敵、の間に壁はあるかな。
上半期中にあと国宝、ドールハウス、見える子ちゃん、あたりは観ておきたかった。F1もIMAXで見たら楽しそうかも?そういえばコナンも観てないな。

250629 罪人たちを観た

罪人たちを観た。6月29日、立川シネマシティにて、字幕版。雨音-AMEOTO。

オススメ度★★★☆☆

内容的にはいいのだけど、ホラーでけっこう血も出るのでオススメ度としては星3。
見て損はしないけどキツイシーンもあるので気をつけて!くらいの意。以下ネタバレあり。

ありきたりな言い方をすれば、黒人(ひいては全ての人間)の自由とか、音楽の力みたいなとこにフィーチャーした作品だったなと思う。
サミーが最も自由だったと述べた、あの過去現在未来が入り交じるあのシークエンスは素晴らしかったと思う。

しかし、ただ黒人の自由とか音楽の力について語るなら、吸血鬼ホラーにする必要はないわけで、そこの意図が個人的には映画を見ただけでは読み解けなかった。
吸血鬼をKKKのメタファーと言う人も見かけたけれど、KKKはちゃんとメタファーじゃないそのものがラストでめちゃめちゃにしばかれてたわけで、あえて被せる必要がない。
そして音楽の力を語るこの映画において、ブルースと同じくらいに印象的に奏でられるアイルランドの音楽とダンスを、KKKのメタファーに託すはずがない。
この映画にとって吸血鬼とは一筋縄に悪役と切り捨てられる存在ではないということだろう。その複雑な造形が何を示しているのかが、自分の理解力と教養レベルではわからなかった。

あと、キャラクターが良かった。ヴァンパイアのボス、レミックが特に良かったかなあ。

250625 機動戦士ガンダムGQuuuuuuXを見終わった(ガンダム初見)

機動戦士ガンダムGQuuuuuuX、最終回まで見終わった。

一言で言うと、とても楽しい作品だったなと思う。

自分は機動戦士ガンダムシリーズを一切見ていなかった。ガンダムの見た目とか、シャアというキャラの存在とか、そういうのは知っていたけれど。あと、なんかニュータイプが超能力者?的な感じの存在だとか。
このレベルだったので、どういう話かも世界観も全然知らない、ガンダム初見の人間だ。

そんな自分がジークアクスには興味を持った。というか、やたら話題だったのと、ネタバレがネットに氾濫する類の作品になることが目に見えていたうえ、先行上映の劇場版Beginningもネタバレ厳禁みたいな感じだったので、ネタバレ踏む前に行ったるか!みたいな気持ちだったと思う。
こういうネタバレ厳禁系にちょっと弱いところがある。
劇場版を見に行った時の感想は以下リンク先。
https://nisezo.com/archives/7759
この時に期待していた内容とは違ったけれど、十分楽しめたなあと思う。

まず、そもそも自分はTVアニメが不慣れなのだけど、その立場から言うと、視覚的に退屈しないのがとても良かった。作画がずっと良いし、よく動く。見ていて楽しい。ガンダムのデザインなどが良く言えば情報量が多く悪く言えばゴチャゴチャしているのだけど、その情報量の多さも個人的には良かった。
Beginningのクオリティは劇場版だからと思っていたけれど、そのクオリティがずっと続いてくれたのが嬉しい。
アニメファンからすると今更なことかもしれないが、たまにTVアニメを見かけたとき、絵が崩れているなあとか、絵が動かないなあとか思ってしまうことがある。それを許容できることもあるけれど、TVアニメに不慣れな身にとっては特に思い入れがないとスパッと離れてしまうかなり大きい要因なので、大事なところ。今期だとヴィジランテも(原作が好きだから)視聴しているけれど、そちらも作画と動きがいいから見ていられている。
あとガンダムをはじめとするロボのビジュアルが普通にいい。ロボじゃなくてモビルスーツだっけ。違いがよくわからないけど。最初はガンダム以外は旧作の感じなのかなと思っていたけど、旧作っぽいロボや戦艦にも見てるうちに味わいを感じてきて良かった。

音楽も非常に気分を盛り上げてくれてよかった。
とにかくTVアニメ不慣れマンとしては、「退屈しない」のが大事なので、絵と音楽が最高なら全然問題ない。

この辺、上述の劇場版を見た時によぎった、懐古作品なのでは?→スタジオカラー作品→シン仮面ライダーみたいになってしまうのでは?という懸念はハズレとなった。ジークアクス、懐古作品というのはどうやらそういう一面もある作品だったようだけれど、映像作品としてクオリティがかなり高かったし、話も楽しかったので、懐古要素があること以外全然シン仮面ライダーとは真逆の作品だなと思った。シン仮面ライダー好きな人には引き合いに出してけなしてごめんだけど。でもBeginning見たらシン仮面ライダー連想しちゃうのしょうがなくない?

以下、ネタバレ込みでざっくりと。

ストーリーについて、はじめの方の展開は正直あまり良くなかった。というか、Beginningの構成がかなり良かったので、比較すると見劣りした。
過去のエピソード、赤いガンダムにまつわるものが事前に提示されていないと、1話の展開はピースが欠けたように感じてやや物足りなく感じた。
ただまあBeginningを観ていたので、本番は4話からと割り切れた。

全体的にはストーリーは結構駆け足な感じで物足りなく感じた。これは「描写が足りずつまらなかった」ではなくて、「楽しくて魅力的なのでもっと見たかった」という意味。視聴直後の感想として、要素が足りず未完成だとはあまり思わないけれど、付け足せる要素はたくさんあると思う。例えばマチュ・ニャアン・シュウジが3人でいる描写はもっと見たかったし、クラバももっと見たかったし、サイコガンダムの出番も、キシリアニャアンも、なんかその他にもいろいろ。
あとは謎というか、一見してわからない考察要素もあるんだろう。というか、ガンダム初見の自分は汲み取れていないところがかなり多いと思う。
クランバトルが前半までで終わってしまったのはちょっと惜しかったけれど、まあ確かにあのままクラバを続けてもガンダムという兵器の作品としては話の広がりがあまりない気もするので、仕方ないのかなと思う。
それよりもサイコガンダム以降のガラガラと雪崩を打つような毎話先の読めない展開は意外と心地よかったし、最終的な顛末も満足のいくものだった。

話のテーマみたいなところはさすがに汲み取れないのでそこは勘弁して欲しい。(他の作品にも言えることだけど、自分は頭が良くなく、テーマを拾い上げるのがうまくない)
終盤ではニュータイプとはどういう存在か、みたいなことが語られていて、おそらくそこがひとつのテーマだと思うけど、まずガンダムにおけるニュータイプの位置づけみたいなものがよくわからない。シャリア・ブルとかが、ニュータイプがニュータイプとして生きられる世界、というのを目指していたり、ニュータイプなんていないとか言われたり、ジークアクス世界においては、あまり良い扱いは受けていないようだけれど。
この辺はたぶん、ガンダムシリーズを通じてニュータイプ(人類の進化形?)とは何かという問いみたいなのがあり、それに各作品答えていて、ジークアクスでもジークアクスとしての論を出したということなのだろう(違ったらごめん)。だからニュータイプについていちいち説明がないのかもしれない。(実際本作は過去作共通用語っぽいものはほとんど説明なしで出してきていたような気がする。スパイダーマンのリブートの度にベンおじさん死なすのどうなのみたいな感じで、うんざりされるからか?)
で、それについては最終話のマチュのセリフが全てなのかなと思う。ニュータイプは進化だから、進化し続けるもの、今日より明日強くなる者こそがニュータイプだということなのか。シャリア・ブルの言う自由のために傷つく者というのは、守られない自由を求める者ということ?それは確かに、1話から閉塞した現状からの自由を求めていたマチュを表す言葉ではあるように思う。

あとはまあ、なんかフンワリ流されていた、ニュータイプのために地球人皆殺しみたいな話も、シャリア・ブルがキッチリ否定してくれたので良かった。そらそうよ。

キャラクターについてはさすがに必要最低限という感じで、もっと見たいというところも多いけれど、マチュとニャアン、シャリア・ブル、シャア、エグザべのあたりはひとまず最低限満足かな。マチュはしっかり主人公になったし、ニャアンはマチュとマブになった時の笑顔が本当に幼くて良かった。
ひとつ不満点としては、シュウジはそもそもが不思議系のつかみどころのないキャラだったので、終盤になってやっと色々明かされてわかりかけたら終わってしまった。もう少し内心が明らかになっていたら良かったなと思うけど、マチュにキスされた時の赤面は年相応の素のシュウジという感じがして良かった。

ラスト2話のあれらはさすがにガンダム未見の自分でもわかる衝撃的シーンで、正直に言ってめちゃくちゃ笑ってしまった。
とくに11話のガンダム登場ラストは、ここまでの世界観はこのネタのためのフリだったってこと!?と衝撃を受けた。このガンダム……おれでも知ってる〜〜!!
まあでもBeginningでいきなりシャアを出してきていたので、ネタ的には、それをもう一回やったようなものかもしれない。
12話の巨大化は、なんだったのかよくわからないが、異世界物体だから自由自在みたいな話なのか?とにかくめちゃくちゃ面白かったけれど……。
あと、ジークアクスの声は初見だとわからなかったけど、2回目でわかった。安室透の声じゃん!てことはアムロかよお前!

あと人の感想を見かけた中にあった、シュウジ=富野由悠季説も笑ってしまった。なんかセリフと自伝タイトルが同じとか、割と納得できそうなのが可笑しい。富野由悠季へのラブレターかな?

ガンダム有識者や考察勢にとっては、色々な方向からの掘り下げができて味わい深いんだろうなあ。と思う。
ガンダム初見の自分としては、過去作も見てみたいなと思える出来だった。