ヴェノム:ザ・ラストダンスを観た。11月2日、グランドシネマサンシャイン池袋にて。IMAXレーザーGT字幕版。

オススメ度★★☆☆☆

けっこう楽しめたけど人に勧められるかといったらちょっときついかな!
シリーズ作を把握しとかないとよくわからないかなと思うし、その上で無視できない不満点が結構多い、というか大きい。
予習なしで行くのは少しキツイというのと、不満点についてかなり好みが分かれそうなので、このくらいのオススメ度にしておく。

ヴェノムは結構好きなシリーズで、キャラクターの取り扱いが上手いと感じるし、SSU特有?の90年代00年代的なコンパクトな雰囲気も良い。シンビオートたちも見た目がかっこよくて、液体が絡みつくようなビジュアルとアクションも独自性があって良かった。
特に前作のレットゼアビーカーネイジなんかは昔のティム・バートン作品をオマージュしたような作品に仕上がっていて見所があった。

翻って今作はエディとヴェノム以外のキャラクターが立っていないし、敵クリーチャーのビジュアルも平凡、話のスケールが広がった代わりにポッと出感のある要素がとっちらかってまとまらない。原作のキャラを知らないと分からないのか?と思うことも多かった。
とはいえエディとヴェノムが仲良くしているのは尊いし(まあちょっとその要素も少なめだった気がして物足りないけれど)、手に汗握る場面もあって楽しめたから、それだけならオススメしづらいとかいうことはないのだけど、やっぱり一番の不満点がそれを躊躇わせる。

以下ネタバレあり。

この映画、締まりが悪すぎる。
一応話としては終わらせているのだけど、締め方が悪い。
過去作含めた思い出シーンをただリプレイするだけの陳腐な演出に加えて、忘れないよ……じゃないわ!それで済むシリーズだと思ってんのか!思ってるんでしょうね……。
まさか本当にきっちり終わらせるとは思ってなかったのでそこにまず驚き、その次に本当に終わっちゃうのお……?という寂しさが来て、最後に本当に終わるならこの終わらせ方は不満だよという気持ちが来る。
良くも悪くも前2作を見てないと感情が全然乗らないと思うしそれでも好みが別れそうなので、ちょっと人にはおすすめしづらいなという感じ。

普段入れるようなサプライズ目当てのポスクレより、こういう時にこそヴェノム実は生きてるんじゃね的なポスクレが要るのに、ポスクレじゃヌルが起きて、(ヌルのせいかわからんけど)哀れな店員のいた周辺が更地になってるし。ヌルがどうせ解放されるならエディとヴェノムが死に別れた意味はなんだったんだよ!あとヌルの言ってる失われた庇護者ってヴェノムのことなんですかね?

締め方以外は概ね良くて、前作前々作に比べて見所が減ったかなと思うところはあるものの、あのファミリーは好感が持てたし、シンビオート軍団なんかは結構面白かった。チェンさんとのラストダンスもハラハラしつつ見てて楽しかった。
シンビオート軍団が普通に良い奴ばかりでびっくりした。ヌルがそれだけヤバイということなのだろうけど。

話運びとかに違和感を感じる点もあった。これは自分が読み解けてないだけということもあるかと思うけど。
例えばエディが自分の手で兵士を殺したシーンは一見ショックを受けた風な演出をされるのだけど、その後脚本上で活かされる事はほぼない。普通はわざわざ取り上げるからには何らかの意味を持たせると思うのだけど。
雷の博士のエピソード全般とか、クリスマスワッペンの研究者がシンビオートと協力するのとか、正直一見して意味がよくわからなかった。クリスマスワッペンの人がそんな重要人物かも最後までよくわからなかった。
この辺、初見でうまくわからせて欲しいという気持ちがある。

まあそんな感じ。基本的には楽しめた。終わり方がなあ……死に別れにしてももう少しなんか見せ方あったと思うんだけど……。思い出リプレイでもいいけどもう少しなんかこう……。