参議院選挙があった。
結果は参政党大躍進という惨憺たるものだったけれども、まあしかたない。
どこに投票したとしても、投票に行かなかったとしても、その責任は国民全体で負っていかなければならない。
当然、投票しなかった人が責められるべきではなく、投票しなかった人は今後の政治を批判してはいけない、というはずもない。そういう論調の人がやけにいるのだけど、自分はそれは全くの間違いだと思う。

大事なことはこれから始まることにいかに対処するかと、有権者の良識をいかに育てるかというところだと思う。
今回はだめだったけど次の選挙でがんばればいいや、というのでは間に合わない。これから次の選挙までに起こることで、取り返しのつくことなどないのだから。
自分のように社会的弱者に片足突っ込んだものにとっても、厳しい時代が来るだろうと思う。
有権者の良識については、さすがに、ヘイトと嘘に振り回されるようでは、日本の民主主義も危ういと考えざるを得ない。民意あっての民主主義なので。
どうやったらそのあたりが改善するかは全く検討もつかないけれど。

投票率は5ポイントほど上がったらしい。かなり上がった。しかし、世間ではとにかく投票率を上げよう、みんなが投票に行けば政治は変わる、と言われて久しいが、しかして投票率が上がった結果がこれだ。確かに変わった。だけれどこれでは……。
むやみにゼロから投票を煽るのではなく、まずは有権者の政治への関心・リテラシー・良識を社会全体で育て、投票率はそれに伴って自然と後から上がるのが望ましい姿ではなかったか。投票率の上がった、石丸2位の都知事選でも、斎藤再選の兵庫県知事選でも、参政躍進の都議選でも、何が投票率を高め何をもたらしたのかを考え直す必要がある。
昨日、開票速報配信を見ていたら、チャット欄に老人票を憎むコメントが大量に流れていた。むやみに若年層の投票率を上げるために「投票しないと若者の意見が反映されず老人のための政治になる」と盛んに言われていたのが世代間対立を煽って、今の若年層に老人ヘイトとして残っているのではないかとちょっと思った。
実際、年代別に割合を見ると参政党に投票したのは年代が若くなるほど多く、20〜30代あたりが最も多い。氷河期世代が一番多いという報道もあるが、それは氷河期世代の人口が多いから絶対数が増えたのだろう。若年層になるほど参政党に惹かれるというのは興味深いが、国民民主も同様の傾向なので、単に新興政党に惹かれているだけなのかもしれない。国民民主を参政党と並べるのは失礼だとは思うけれど。
投票率が上がるのは悪いことではないが、やり方と中身が問題なのだろうと思う。ヘイトを煽るようなやり方で投票率を上げても仕方がないし、本当に何もわかってない人を投票に行かせても仕方がない。

まあしかし、ヘイトと嘘に煽られた結果とはいえ、投票率は上がり、既存の汚職政党は衰退し、新興政党が躍進し、まさに政治が変わるのが決定的になったという書き方をすれば、これまで日本を憂いていた人の望みどおりには見える。本当にそれでよかったんですか?

自分の投票行動としては、今回は選挙区も比例も、「自分が入れなくても議席を得そうな党」と「当落線上の候補」の二択に落ち着き、後者に入れた結果、選挙区も比例も落選した。
しかし、前者の方は予測どおり議席を取ったので、当落線を適切に見定めて行動できたという点において、投票行動としては結構いい感じだったのではなかろうか。

まあ、思うところは色々あるけれど、とりあえずはこんな感じで。