ドリーム・シナリオを観た。11月23日、kino cinema 立川高島屋 S.C.館にて。字幕版(字幕版しかないのかな?)。

オススメ度★★☆☆☆

面白かったけど、オススメ度が低いのはつまらなかったからではなくて、見てて楽しい気分にはならないから。
そんなこと言ったらスリラー・ホラー映画は全部オススメ度低くなるやんと思うけど、今作は個人的にはけっこう見てて与えられるストレスが強めで、ストレスを超えてオススメできるものはなかったという感じ。全体的に淡々としていて感情の起伏がなかったのも理由かもしれない。

ニコラス・ケイジの挙動不審な演技がぴったりハマっていてとても良かったと思う。なるほどこういうタイプの人ならこういう行動をするかもなと言う納得感があった。
ただ演技のおかげもあり、このポールというキャラクターにイライラする面はあった。

以下ネタバレあり。

見てる間、この前見た邦画のCloudを思い出していた。Cloudは転売屋がネットで叩かれて……という当初の期待とは違うあらぬ方向に話が進んでそれが面白いのだけど、今作はCloudに当初期待していた路線に近い気がする。
ネットでバズったことがどう現実の生活に影響を及ぼしていくのか?バズが一転して群衆の悪意に変わった時どうなるのか?というところを真正面から描いている、ように思えた。
夢というよりはバズの話で、夢は群衆をコントロールする要素の一つとして使われている。なので夢の謎については特に掘り下げられないばかりか、夢に入る技術が商品化までされてしまう。そんな仕組みなんてどうでもいいんですよ、この作品のキーではないんですよ、という製作者のメッセージが伝わってくるようだ。
そもそも夢でバズるのも、バズの理由なんてどうでもいいことなんですよ、という話かもしれない。

見ていてとにかくポールにイライラしながらも、ポールが可哀想という気持ちもずっとあり、その気持ちのやり場がないので辛いところがある。
バズって調子に乗った代償というにはけっこう重い気がするが、しかし世の中が公正にできているわけでもなく、バズというのはそんなものかもしれない。

当初は何もなくても多くの人の夢に現れていたポールが、最終的には自分自身の力ではなく他人が商品化した夢に入る技術を使って、一番自分のことを夢に見て欲しかった相手の夢に入るというのは、切ないラストで良かったと思う。

ラスト、フランスでの仕事を手配してくれてるのは代理店Thoughts?のあいつだと思うのだけど、あんなに信用できない感じでスプライト勧めながら出てきたのに、旬をとうに過ぎたポールに小さな仕事でもしっかり付き合ってくれてて、真面目な良い奴やな!と思った。