3月14日、ツイッター上で「深ぼって」という単語を見つけた。
あまりにも見慣れない単語なので気になって多少調べた。
その時ツイッターに書いたことを要約してまとめてみる。

まず単純に「深ぼって」は「深掘り」の誤った動詞化だと思った。
つまり「深ぼる」という動詞として扱っている。
でも実際のところ深掘りは「深掘り(を)する」という形で動詞化する。
例を挙げるなら「一人暮らし(を)する」といった形と同じ。

次にどうも意味合いとして「掘り下げ」のようなニュアンスを感じた。
つまり「深掘る」≒「掘り下げる」だ。
ニュアンスとしては「深く考える、詳細を明らかにする、追求する、煮詰める」。
一方原型と思われる「深掘り」はもう少し狭いニュアンス。
詳細や追求に焦点が絞られ、「穿つ」「深入り」のようなニュアンスも含む。
「穿った見方をする」を「深掘り」と言い換えるケースはよく見る。
この際「深く掘る」という言葉通りの意味は除いておこう。
もっとも個人的な感覚なのであまりアテにはならない。

そもそも「深掘り」という言葉をあまり使わない。
聞いたことこそあれ、自分で使った記憶はない。
これも個人的な感覚として、近年使われ始めた新語な気がする。
それはそれとして、「深ぼる」が奇妙な動詞化なのは変わらない。

こういう新語や誤用のようなものは検索エンジンにかけるのが一番。
Googleでフレーズ検索にかける(””で閉じて単語が分割されて検索されるのを防ぐ)。
ちなみに深掘りには深堀りという表記もあるので、深ぼるの比較にはそれも入れた。

「深ぼって」984件
「深掘って」2150件
「深堀って」1290件
計4424件

「深掘る」2810件
「深堀る」1710件
「深ぼる」375件
計4895件

参考
「掘り下げて」202万件(4424件)
「掘り下げる」102万件(4895件)
「掘り下げ」522万件

「深掘りして」16万件(4424件)
「深掘りする」83200件(4895件)
「深掘り」89万件

「深堀りして」94100件(4424件)
「深堀りする」27300件(4895件)
「深堀り」61万件

どう見ても「深ぼる」関連は一般的な言葉とは言いづらい。
かたや4000件超、掘り下げは数百万、深掘りも数十万レベル。
誤用として扱っていいと思う。使ってる人は「掘り下げる」に変えよう。

そしてついでに「深掘り」自体が新語かという点は、
検索結果を見ると「掘り下げ」とは見ての通りケタが違う。
意味がほぼ同じ単語でこれだけ差があるとやっぱり認知度の差が考えられる。
つまり簡単に考えて、深掘りは最近できたから認知度が低い、新語と考えられる。
また深掘りと深堀りの二通りの表記があり、どちらも一般化と見なせる検索量はある。
そして深掘りと比べて深堀りの検索件数が少ない。
以上から、深掘りはワープロの普及辺りかそれ以後に現れた言葉で、
二通りの表記についてはそのせいで誤変換が一般化したのではと考えられる。

もっとも完全な推測で調べるのも面倒なので、ここまでにしておく。
言葉の移り変わりは否定しないけど、ちゃんと意味が伝わるのが一番。