先日ブルアカのシナリオについてちょっと思うところを漫然と書いたばかりなのだけど、プロジェクトKVという新作ゲームプロジェクトの発表があった。
とくに改めて詳しく説明する気もないけれども、ブルアカの元シナリオ担当であるisakusan(以下敬称略)、その他ブルアカの看板だったクリエイター(DoReMi、Mx2J、ミツキヨ、純粋な不純物など)が参加しているようで、ニュースサイトなんかでも「ブルアカ開発者が送る新作」という扱いになっている。

まず、このプロジェクトは(自分が調べた限り)Dynamis Oneという会社のIPであり、NEXONとかYostarとは何の関係も示されていない。
なので、プロジェクトKVでブルアカとのつながりやブルアカの背景設定が示されるということは極めて考えづらい。

〇 とはいえ似すぎている
キャラクターの頭上に浮かぶ光輪(ヘイロー)
空にうっすらと引かれる線(円?)
刀(銃火器)を携帯する少女たち
数百の寮(学園)が集まる学寮都市(学園都市)という舞台
主人公(ユーザー)と思われる人物の手にポータブルゲーム機(タブレット端末)
主人公(ユーザー)の立ち位置がおそらく師(先生)
(追記:似てる点ではないけどイメージカラーが赤(青)、季節が秋(春)というのは連想させる対比と言えるかもしれない)

それぞれ一つ一つの要素ならまああるとは思うけれど、全て合わさった上で、制作陣がブルアカの元スタッフとなると、どうしても「ブルアカの意図的な焼き直し」という印象が拭えない。
率直に言って、ブルアカの人気にフリーライドする企画というふうに見える。ブルアカのストーリーの中枢にいたisakusanが移っているので、「これが本物のブルアカです」と言われても即座に否定はできない。

〇 何かをにおわせるような文言が目につく
「プロジェクトKV」
→プロジェクトカピラヴァストゥだと思うのだけど、あまりにもキヴォトスを連想しやすい。これのおかげでプロジェクトキヴォトスでブルアカの関連作だと思い込んでる人が多い。
「僕らがもう知っている慣れ親しんだ物語」
「子供たちはついに辿り着くべき場所へ」
→プロジェクトKV以前に子供たちにまつわる慣れ親しんだ物語があった?その辿り着くべき場所がプロジェクトKV?
「その「光輪」はお主の無知であり、お主の迷いであること。そして、その全てを悟り、砕き、突き進められる、お主の可能性であることを。」
→光輪について、砕くべきものとして述べている(比喩だろうと思う)。ブルアカでは砕くと死ぬ。
サークル名「黒ネズミたちのパトス的弁証法」
→黒ネズミには「主家の金品をごまかしたり、主家に害を与えたりする雇い人。」という意味がある。NEXONとの関係について穿った見方をすることもできなくはない。
→パトス的弁証法はわからん。

まあ、黒ネズミは置いておくとしても、どうも僕らがもう知っている〜あたりからは「あなたたちもよくご存知の!」と言いたげな雰囲気が漂っており、そこに「あなたたちもよくご存知の!ブルーアーカイブの!精神的続編です!」みたいに続いたとしても、これもまた即座に否定しがたい。

まあまあ、仮にプロジェクトKVが、ブルアカの主要スタッフを引っこ抜いて、それでブルアカの和風焼き直しIPを作って、ブルアカの人気にフリーライドしようとしていても、それは直ちに問題になるかというとそうではない。できることは全部するのが当たり前だ。
聞くところによると韓国では不義理とか色々言われて炎上しているらしいが、まあそれもしかたのないことだろう。元ブルアカスタッフということを利用しているのだから、ブルアカNEXONに対する仁義はどうなんだと言われることもあるだろうし、むしろそのような炎上を込みでマーケティングしているのではないか。つまりは炎上商法というやつだ。知名度アップこそ最大の課題、ブルアカを利用した炎上商法で広く知られてしまえばこちらのものだ。まあ、あるいは本当に意図してなかったのかもしれないが。
ちなみに韓国で騒がれているという醜聞に関しては考慮しない。ソースらしいソースにたどりつけなかったので。ハングル読めないし。まあ、醜聞があろうとなかろうと、プロジェクトKVにブルアカの(元)主要スタッフが主要ポジションで参加しているという事実だけで十分だろう。((元)と括弧付きにしたのは、ブルアカから離れたのがisakusanしか確認できなかったから)

ここまで読んで雰囲気でわかると思うのだけど、個人的にはあまり良い目で見てはいない。仁義がどうとかは知らないが、ブルアカを抜けて作るのがブルアカの焼き直しにしか見えないというのが、どうも印象が悪い。せめて光輪くらいなしにできなかったのか。コンテンツの根幹から、ブルアカの人気に徹底的にフリーライドしようとしているという印象が拭えない。
ブルーアーカイブというのは個人の所有物ではなくNEXONという会社のIPであって、別会社なのにあまりにも設定からスタッフまでそれに寄せるというのは、結構NEXONに対して含むところがあったという印象を受ける。なにしろブルーアーカイブは現在進行形で運営中のゲームだから、当てこすりと受け取れなくもない。別にNEXONの肩を持ちたいわけでもないのだけど、仮にNEXON及びブルーアーカイブに対して敵対意識があった場合、例えばisakusanの円満退社を心から祝福した気持ち、ひいては彼らの作ったブルーアーカイブというゲームを心から楽しんだ気持ちのやり場はどこに行くのだろう、という気にもなるのだった。
そのあたりで、醜聞というわかりやすい解答に飛びついて気持ちを収める人がいるのだろうと思う。結果怒りが燃え上がるとしても。
そんなに悪し様にとらえなくとも、あるいはisakusanの引き出しがそれしかなかったのかもしれないし、どういう理屈でそうなるかは分からないがNEXONとは円満な関係の中で制作しているのかもしれない。

考え方は色々だけれど、どちらかと言うと個人的には、「で、ここまでやってブルーアーカイブはどうなるの?」という不安の方が強い。
isakusan以外のスタッフは引き抜かれたの?それともまだブルアカの仕事はするの?仮に引き抜かれたとしたら他にどれくらいの規模で引き抜かれたの?それでブルアカはやっていけるの?
とまあ、プロジェクトKVの印象がどうというよりは、ブルアカに対する心配の方が大きい。

プロジェクトKV自体については、今のところ特に楽しみな情報はない。というか何もわからん。
先日ブルアカのシナリオについてぐちぐち書いた時も触れたのだけど、isakusanのシナリオが特に優れていると感じてはいなかったので、ブルアカからisakusanが抜けたところで(設定面の引き継ぎはともかく)さして不安はなかったし、同じ理由でプロジェクトKVのシナリオについて特に期待できるところはない。isakusanのシナリオはけっこう読む側の譲歩が要る。
なんなら、刀で戦う世界観ということで、余計に世界観への譲歩が必要になる気さえする。銃火器はギャグ漫画の文脈で受け入れられたが、刀で斬るのはちょっと話が違う気がする。
ティーザーPVの感じだと、ちょっと音楽も好みとは違うかもしれない。
絵がいいのは言ってしまえばどのソシャゲも同じではあるし、プロジェクトKVは特にピンときたわけではない。ただ個人的には糸此上かおるのビジュアルが良いなと思った。多分Mx2Jだろうと思う。最近ブルアカでは書き込みが少なくパキッとした画風だったが、ブルアカでは省エネだったのかもしれない。違ってたらごめん。
そういえばブルアカでは極めて上質なローカライズが重要だったけれど、そんなアテはあるのだろうか。

韓国で炎上しているというのは懸念点だ。日本向けに作られて日本人が遊ぶゲームだからといっても、結局韓国のゲームであることに変わりはないので。

まあそんなもんにょりした感想を持ったので、取り留めもなく書き留めてみた。

実際お前は遊ぶのか、と言われたら、うーん。
ブルアカは日課が軽めでいざとなればログイン勢になっても続けられるから続いてるところがあるので、その辺がよほど緩くないと、娯楽の選択肢には入ってこない……というか入ってもすぐ抜けてしまうと思う。そもそもソシャゲを増やしたくない。
個人的には、プロジェクトKVはソシャゲでなければいいのになと思うのだけど、どうやらソシャゲなのは確定らしい。うーん。
まあ、なんにしろ何年か先の話だろうと思うので、当面は様子見ということで。