ブルアカをゆるゆると遊んでいる。
ゆるゆるなのであんまり真剣には遊んでいない。日課を最低限こなしつつイベントシナリオを読むくらいだ。
ブルアカの一番の魅力を上げるなら多くの人はキャラとシナリオを挙げると思う。
自分もまあ、ブルアカのシナリオはソシャゲとしては面白い部類だと思うのだけど、自信満々にシナリオが良いとは言えない。なんだかんだで結構読む側の譲歩が必要だったりするし。
とはいえ、それが一番の魅力と感じて遊んでいるのは事実だ。(訂正:いや一番の魅力と感じてたのは音楽だったわ)

最近はアビドス3章がようやく完結して、個人的にはブルアカのメインストーリーで一番良かったのだけど、よくできたシナリオだったかと言うと、お世辞にもそうとは言えない。
ユメ先輩の謎でひっぱる構成と、シナリオ更新のライブ感はとても良かった。ブルアカはシナリオ更新や新キャラ実装の発表があった時の盛り上がりこそが本番みたいなところがあり、アビドス3章はそこがかなりハマっていたと思う。
一方で、読んだ人みんなが疑問に思うであろうスオウの扱いを始めとして、なんだか雑な展開が多い印象も受けた。

先日シナリオディレクターのisakusanが退社したことが発表され、シナリオを重視しているプレイヤーとしてはかなりの不安を抱いた。
isakusanでないと不安だ、というわけではない。そもそも個人的にちょっと微妙だと思っているアビドス1・2章も最終編もisakusanだったので、isakusanだから絶対安心という話でもなかった。
そうではなくて、世界観やキャラクターの設定、ストーリーの伏線などがちゃんと引き継がれて共有されていくのかが不安なのだ。他のゲームを引き合いに出すのはあまり良くないが、グランブルーファンタジーなんかはとにかく露骨な後付けの山でシナリオもキャラクターも右往左往するわけのわからない状態が常態化している。そうはなってほしくない。

現在、イベント「月華夢騒」が開催中であり、通常はイベントシナリオはコミカルな内容が多いところ、今回はメインストーリーばりのシリアス展開で話題を呼んだ。
個人的には、まあ、けっこう良かったと思う。
以下はネタバレありで書くけれど、レッドウインター勢はシリアス展開の中でも役割と見せ場を持っていたし、山海経のキサキ・ミナ・サヤもグッとキャラの掘り下げが進んだ。七囚人のカイは知謀と話術で人を操る悪辣さを見せ、悪役としてバッチリだ(七囚人でここまで悪に振り切るとは思っていなかったけれど)。
ただ、今回の敵であるカグヤについてはちょっと理解が及ばないまま放り投げられた感があり、そこがかなりモヤモヤした感じで残ってしまっている。

というのも、カグヤが伝統を重視するかなり極端な排外主義者というキャラクターで、排外主張を君主に受け入れさせるために君主と学外要人を武力制圧し大衆を扇動するという、尊皇攘夷も真っ青な右翼っぷりを見せるからだ。おまけに重大犯罪者であるカイとがっつり手を組んでの行動であり、それを「忠義による諫言」と頑なに言い張って正当化する姿はあまりにも言行不一致で理解に苦しむものだった。
その言い分は完全な確信犯であり、こういうタイプのキャラは話が通じないというか頭がおかしく見えてしまうので、それがネームドの、将来プレイアブル化あるかも?と思っていたキャラで出てくるのはかなりびっくりした。

それだけでなく極端な前例踏襲主義者でもあり、キサキが過去に治安対応として超法規的(或いは新たな法手続や解釈変更?)に行ったカイの退学処分を不当として、カイの復学および慣例通りの手続きでの退学を主張する。まあ極端な考え方として理解できなくもないが、復学退学コンボは端的に言って不毛なことに愚鈍に執着しているという印象を拭えない。やるなら退学処分の取り消しだけに主張を絞るのが本来スジの通った有意義な主張だと思う。
復学には門主の強権を利用することを仄めかしており、どうやら最終的に慣例通りの手続きにつなげるためならその過程で強権による例外的手続きも辞さないようだ。どうにもこのあたり、自分が門主を利用して恣意的な手続きをするのは許される、という認識を感じざるを得ない。
慣例を守るためなら犠牲者がいくら出てもやむを得ないという立場も表明してしまう。ここではアリスを殺害しようとしたリオを想起したが、リオでもより多くの人命を守るためという大義名分があったのに対し、カグヤは人命より慣例と主張したに等しく、メインストーリーのヴィランよりも限度を超えていると言えなくもない。
まああと、退学になってもおかしくないと言われ牢屋に入れられている以上、カグヤは本件で何らかの法を犯した可能性が高いので、それで慣例・法律を守れと叫ぶのはダブスタと言うことができなくもない。
そしてこれらの主張が変わることも、行動を反省することもなくストーリーが終わってしまう。

まあ、インターネットを軽く見まわしても、カグヤの思想が極端すぎて困惑する人が多い。ジョーク的に、極右と呼ばれたりしている。まあたしかに「排外主義でデモを行ったあと要人を武力制圧」という点だけ見ると、ちょっと……いやだいぶ極右かもしれない。
余談だが、現実の日本でも最近は排外主義の高まりで外国人への暴力も辞さないと主張する自警団が発生してきているらしい。世も末だ。
「人命より法」についても、現実でも超法規的措置が行われることは稀にあるので、カグヤほどガチガチな思想の人はそう多くないだろうと思われ、そこも少し引かれているのかもしれない。

で、シナリオの話に戻るけれど、とにかくカグヤだけがやたらアクの強いキャラクターになっていて、かなりノイズだった。
これがただ単にカイのシンパなだけのモブキャラであればシンプルな話になったと思うのだけど、あえてこういうキャラにされたのだろうと思う。作中でも他キャラに突っ込ませていたので、意図的なキャラ造形なんだろう。なんとなく、プレイアブル化はなさそうな気がする。
次回の山海経イベントはこの続きになるようだけれど、正直、もうあまりカグヤは見たくないという気持ちが強い。話がとっちらかる気しかしないので。キサキとカイの話に集中して欲しい。

ブルアカは少し前まで、ネームド固有グラだったりSDがあるキャラは実装される可能性が高いと考えられていたけれど、どうも最近はそうではないような気がしている。
今回のカイやカグヤ、ちょっと前のアケミやニヤニヤ教授など、今後のシナリオではプレイアブル化しなそうな悪役キャラもどんどん出てくるのかもしれない。
個人的にはせっかく描き下ろされたのだからプレイアブルでシャーレに置きたいという気持ちもあるのだけど、しかたないかもしれない。そのままだとシナリオに幅が出せなくなるのかも。

ちなみに思想が強いとよく言われるレッドウインターのミノリはかなり好きなキャラで、デスク上にアクスタも飾っている。
ミノリとカグヤの違いが何かと冷静に考えると、正直よくわからないのだけど……忠義とか言わないところかな。あと多分人命軽視しないところ。なんにしても今回のカグヤと比べたら行動にスジは通っている方だと思う。デモは趣味だし。