かがみの孤城 ティーチイン上映第3回(2023/1/27)を新宿ピカデリーで観た。
もうこれで4回目の鑑賞になるのだけど、特典目当てというのもあり、さすがに短期間で4回も同じ映画を観るのはしんどい。毎回観方を変えないと。同じ映画を3回も4回も劇場に見に行くのはこれが初めてだと思う。
第2・3弾特典はSNS共有可なので無理して見ずとも検索すればいいのだけど、第1弾を実物でコンプしたせいか、全部揃えて持っておきたい気になったので、わざわざ第2・3弾特典目当てで見に行き、せっかくなのでティーチイン上映を選んだという感じ。

今回は自然に目がいかない背景や、違和感のあった作画、ティーチインで言及のあった点などに注目して観た。特に大きく印象は変わらなかったが、子供がぞうさん遊びをしているシーンは意識して初めて確認できた。
あと何度観ても音がやっぱりでかい。音楽もそうだけれど、こころのモノローグもやや音量が大きいので、劇場の音響で聴くと身構えてしまう。もう4回目ともなると次にでかい音が来るというのがわかっているので。

第1回もあわせて、挙手制になるとクセの強い人が多いなと思った。みんな質問以外に言いたいことがたくさんあるようで。まあ、自分はティーチイン上映というのはかがみの孤城が初めてなので、質疑応答というよりは、指名された人が監督たちとトークする趣旨のイベントなのかもしれない。

以下、ティーチイン上映トーク部分のメモ。
第1回の時よりも言葉のペースが早くメモしにくかったので、よけいに断片的にしかメモできなかった。きわめて不完全でニュアンスも取りこぼしているのだけど、一応メモしたので載せるだけ載せておく。ちゃんとしたレポートは誰か他の人が書いてくれるはずなので、見つけたらリンクを張る。
あと要修正点とか追加とかあったらTwitterとかでご指摘ご連絡お願いします。

『かがみの孤城』ティーチインに原恵一監督&原作者・辻村深月が登壇(CINEMA Life!):http://www.cinema-life.net/p230127_kgea/
映画『かがみの孤城』 原作者・辻村深月が思い語る 「何年先にも残るアニメーション」(日テレNEWS):https://news.ntv.co.jp/category/culture/fe7478c2200e4ed8a15487941bf916fc
『かがみの孤城』原恵一監督×辻村深月さん ティーチイン上映@新宿ピカデリー(原恵一監督を応援するブログ):https://harakeiichi-fan.seesaa.net/article/497871197.html


(場内が)あったかい。見た人の熱気かしら。

Mc
原作ファンの方からも原作のイメージ思った通りだと


そういうコメントをもらえてることはうれしい。
何よりも辻村さんから思ったとおりだと言われてうれしかった。
辻村
映画完成前に何度か対談して、映画完成後に、私の思った通りのこころと7人がいたというコメントを出した
こころが大人になったアキと出会ったように、自分も大人になって原さんとお仕事ができてうれしい。

QAコーナー(挙手制)

(QA前に)アフレコ台本を持参している。映してもらうので見ていただければ(スクリーンに上映)。直前までオフで赤字を入れている。
辻村
エンドロールでミオが生きていたらというのも聞かされていなかったアイデアで、完成間近で聞かされてうれしかった。
原作通りももちろんだが、原監督が原作を超えたものを作ってくれたのが、監督の監督性が出ていた。

エンドロールの件は脚本の丸尾のアイデア。結果的に本編が終わっても別のストーリーが続くエンドになったのでよかった。

Q.自分も当事者で、こころが母親にフリースクールに行けないとなかなか言えなかったり、心の教室で目を合わせられなかったりするシーンなど、共感が多かった。不登校の子供を微細に描かれていて、どう意識されたか。
辻村
不登校新聞さんから取材を受けたことがある。
辻村さんは実は不登校の経験があるんですよね?と聞かれてうれしかった。
不登校では無いがズル休みの経験はあり、ズル休みと言われるのも癪という気持ち。
こころが見舞われたような出来事が自分にあった訳では無いが、学校が楽しかったというわけでもない。
好きではない学校を作品の舞台にすることが多く、やり残したことがあるという感覚があるからだと思う。

原作ではもう少し細かいやり取りをしている。
(原作の説明:ウレシノが何もしたくないと言うあたり)
こうした子に接する大人の態度として正しい。何もしたくないと言われたら今は何もしない時なんだねと言える大人や友達がいると救われる。ヒーローになる必要はない。僕らは傍観者。いじめられている人からすると傍観者はその他の悪になる。少しだけ寄り添ってあげることもできるのでは。僕らは映画、辻村さんは本でおすそ分けをしているので、受けとって貰えたら嬉しい。
辻村
お話の登場人物の心情について質問された時に原監督の答える内容が自分の考えと一致している。

Q.細かい質問だが、ふうかのバッカみたいというセリフと真田のバッカみたい、東條さんのバカみたいだよねというのが、こころに影響を与える同じ言葉なのに意味合いが変わっていてゾッとした。

これは原作のまま。
辻村
原作だともっと詳しく出ている。最初集まったからと言って仲良く出来る訳では無い。中学生を集めたら起こりそうなセリフを考えた。
響き合わせたつもりは無いがその観点は面白い。東條さんのセリフは書きながら驚いた。自分が中学生だったら言えない。そういう外側の視点がある子のセリフをかけたのはすごく良かった。

東條さんとこころのシーンは気に入っている。東條さんのセリフが子供たちに届けば。学校を出てからの方が長いので、学校で辛いことがあっても、学校に行かなくてもいいし、学校で学んだことを使わないこともある。
スタッフたちの話を聞くとかつて不登校だった人たちがすごく多い。彼らも今は普通に仕事したり家庭を持ったりしているので、どうにかなる。

Q.原作は伏線やエピソードがたくさんあり、どういうふうに拾ってつなげていくのか気を配られたか
また、はじめピンクの靴で泥を歩いていく、ストーリーの途中で白い靴になり、最後にまたピンクの靴という演出についても聞きたい

コナンの真似は後付けだが伏線にした。
マサムネくんが渾身のシナリオを書いて演説して決めゼリフをつけたらスバルに通じないという
辻村
試写会の時に知って、何があったんだろうと思った

靴の対比は狙いすました。
暗闇をぬかるみを歩くような気持ちのシーンと同じアングルでラスト歩いていく、対比で観た人に伝われば。

Q.原作、リオンくんがオオカミさまに渡したプレゼントはなにか
辻村
これまでに何度か同じ質問をいただいたが、リオンの家の秘密なんだろうと思う。お母さんはミオが居なくなってからもミオを忘れるのが怖いと思う。一方で元気でいるリオンを見ると辛い。そんな中でリオンにケーキを作ったように、毎年クリスマスに水守家で兄弟両方に用意していたものがあったんじゃないか。

QAおわり

辻村
何度観ても驚きがある、何年先も残るようなアニメーションにしてもらえてよかった。

(スクリーンのアフレコ台本を指して)「善処する」のセリフをミオにしてもらった。
辻村さんも若い人から言われていると思うが、公共の商業作品だが観る人にとっては個人的な体験
サリンジャー(ライ麦畑)も若い世代に「なぜあなたは僕のことを知ってるのか」と聞かれた
(話が変わって)ネタバレは初見だけのことなので大したことはない気がする
帝国の逆襲を朝イチで見て友達の家に走っていき、ダースベイダーのネタバレを大声でしたことがある
辻村
それなのにこんな伏線だらけの作品を……

あまりミステリーやファンタジーは興味が無い(SFは好き)
シャレードというミステリー映画は好き、今見ても面白い
犬神家の一族は絶対パクリだと思う(笑)
辻村
こころが初回靴下で吸い込まれるが2回目から靴を用意していく。ドラえもんでどっかの世界に行く時必ずやるルーティン。原恵一ぬかりない。
ハケンアニメを書く時色んなアニメの関係者とお友達になり、原さんに憧れて業界入りした人もいるが、新しい発見感想が届く。
城の設計からして、どのシーンで光をどの窓から当てるか完璧に設計されているというのもあった。

ドラえもんのテレビの時は靴問題はわりとごまかしていた。
エスパー魔美をやった時に誤魔化さないようにしようとしてみた。家の中で靴履いてテレポート。けっこう大変
辻村
小説書く時に靴のことを考えたことがない

ラストでこころの靴の場所がわかり、そこにあったのかと

おわり

トーク終わりは時間過ぎてるところをまくし立てる感じで無理やりトーク延長していた。
第1回では撮影タイムがあったが今回はなかった。