かがみの孤城をまた……また観た。5回目。

昨年観た映画ランキングではかなり上位にしたけど、別に自ずと何度も観に行きたくなるほどではなかった。個人的にはけっこう観ていてしんどいところもあり、少なくない時間と体力を費やすので、3回も4回も観に行くとなるとそのたび、わかりきった内容を思い出して、観る前に結構憂鬱になる。正直その毎度の憂鬱タイムまで含めてけっこう苦行である。
それなのになんで貴重な休みを潰してまで何度も見に行くのかといえば、入場特典がどんどん追加されるからだ。今度は第4弾特典。ちくしょう!特典商法は悪い文明!

そもそも最初の特典からして後日談ポストカードを2枚×3セットという鬼畜っぷりだったのだけど、それを後日談だからとついつい揃えてしまったがために、なんかその後の追加特典もコンプしとかないといけない気持ちになってしまった。第2弾以降は別に後日談とかではないし、SNSで誰かがアップしたのが見られるのだけど。
これが冊子とかならともかくポストカードというのが、そこまでして集めるほどかという感じではあるのだけど、コンプするって気分になっちゃったのだから仕方ない。
なんかこの調子だと特典目当てに円盤まで買っちゃいそうだな。そこまでハマってはないんですけどね!?

とはいえそろそろ上映も終わり。既に終わっている劇場も多く(ティーチインがあったシネマシティも終了済)、今日で終わりの劇場もけっこうあった。今日は新宿ピカデリーに行ったのだけど、新宿ピカデリーはまだ少し上映が続くようなので、まだ観ていない人や第4弾特典が欲しい人は駆け込みで行くのもいいだろう。
第4弾特典にはQRコードがついており、第1弾特典(上映後特別映像にもなった)の後日談画像を全種DLすることができる。
劇場で見られなくなることを悲しむ人もいるだろうけれど、個人的には、ひとまずこれ以上の入場特典はなさそうということでホッとした気持ちもある。いや特典の追加は供給という点で喜ばしいことでもあるのだけど……。

都合5度目の鑑賞ということで、特に新しい感想みたいなものはないのだけど、搾りカスのような感想を書きとめてみる。ネタバレあり。

何度も何度も見ていて思うのは、主人公の安西こころの可愛らしさでめちゃくちゃ持ってる映画だなと思う。グッドデザイン賞。声も最高。すぐ骨折しそうな儚げで暗めの雰囲気が良い。でも骨は強そう。あとどん臭そう。
こころの可愛らしさは正直最近見たコンテンツの中では群を抜いている。何度観ても飽きないくらい可愛らしくて、5度目の鑑賞でもこころは可愛いなあと思いながら観られた。癒し。

この映画で一番のピークだなと思うのはやはり冒頭。泥沼を歩いていてフリースクール到着で現実に戻る心理描写だとか、自分のいない学校をバックに語られるモノローグとか、こころの不登校描写や親との距離感のリアリティ、鏡に引きずり込まれたあとオオカミ様ととっ組み合うところまで、かなり見応えがある。作画もここまでが一番可愛いと思う。鏡に引きずり込まれるときに抵抗するこころは本当に可愛い。
このあたり、頭の悪い表現をすると、「映画を観ている感」がある。映画世界に引き込まれる感覚というのか、劇場で見る価値があると感じる。5回見ても満足度が高い。
映画としては7人揃ってからが本番なのだけど、個人的には揃うまでが一番いい。具体的に言うと城の扉が閉じるまで(城の扉が閉じる時のこころもかなり可愛いので)。そこからはずーっと淡々とした描写が続いて、映像作品としてはちょっと省エネお休みムードが漂う。

全体として見るとやっぱりバランスが悪くクオリティにもかなりムラがある。作画は安定しておらず作画量を絵コンテ段階でカバーしているし、話は説明不足で要素が噛み合ってないし、音楽は変なとこが多いし、音量が時々妙にデカいし……細かく一つ一つ挙げればいくらでも出てくると思う。
話の違和感で言えば、例えば願いのカギの謎解きがオオカミに食われる前提の作りに見えたり、子ヤギなのに赤ずきんで引っかけを作る意味がわからなかったり、細かいところだと喜多嶋先生が真田のことを知ってる描写がないのに突然萌に真田のことを教えてもらった話をしたり。多分この辺の説明は原作にはあったんだろう。

まあそういったいびつさを補って余りある魅力があるとも言えるんだけれど、じゃあその魅力がなんなのかと言われるとちょっと答えづらい。
おおむね話が良いというのとこころが可愛いというところに自分の感想はまとまるのだけど、話のまとまりはないのに話が良いというのも変な話。
話(と演出)については、全体としてはともかく部分部分のシーンが光っているということかもしれない。不登校児の機微は元不登校児から見てもよく描けているし。上述したとおり冒頭は凄かった。

こころのモノローグがわりと説明的で、なんとなく教育アニメ感がある。教育アニメなる概念がなんなのかは書いた自分もよくわからないけれど、なんかそれっぽい。「なんか、和む」とか、一部のモノローグはどうもすわりが悪い。
あとモノローグの音量がデカすぎる。

ミオは孤城に来ている時点ではまだ死んでいないので、リオンから「明日は姉ちゃんの命日」と言われた時はちょっと驚いたのではないかと思わなくもない。

この映画で一番涙腺に来るシーンは、エンドロール中のリオンとミオのカット。ここはわりとミオに感情移入してしまうので、ミオが消えて本来の現実になるのがいっそう泣ける。まあ5度目の今回は泣きはしなかったけれど。
しかしそれはそれとして、いつの間にか主人公がリオンに変わりかけてるー!?という違和感は拭えない。厳密に言うとミオの方か?

うーん観てる時はもう少し色々考えた気がするんだけどもう忘れた。なんにせよ一見の価値はある映画でした。五見の価値は……さすがに無理した感は否めない。もうちょっと間空けてたら良かったかも。