3月2日、TOHOシネマズ府中で字幕版を鑑賞。

まあまあ面白かった。
特筆すべきところは見当たらないけれど、映画館で飲み物を飲み干すのを忘れるくらいには没頭できる。
ただ、SSUのこれまでの作品(ヴェノム、ヴェノム2、モービウス)はキャラクターの関係性についてけっこう特筆すべき点があったのと比較してみると、そういう尖ったところがあまりない点でやや見劣りすると言えるかもしれない。
SSUに限らないマーベル映画作品としても、まあ特に良くも悪くもない印象。決してつまらない方の作品ではないと思うけれど、オススメできるほど面白いかというと、それも違う。
見て感じ入るところも心に残るものも特になくて、このキャラにハマったとかストーリーのここが面白かったとかそういうところもないのだけど、でもそこそこ楽しめる軽い映画という感じ。

以下ネタバレありで語る。

冒頭、いきなり身重で密林探索をするキャシー母から入ったところでは、この作品大丈夫か?と思った。あまりに無理があるが、アメコミ映画でこの程度の無理は珍しくもないかと思い直す。
後半でそこまでして密林探索をした理由が明かされるも、まあ、キャシーが五体満足で生まれたという一点だけを見れば結果オーライだけどさあ……とやっぱり引いてしまう。ついでにキャシーの母への恨みも解けて、それは別に不自然ではないのだけど、明確に恨んでいたシーンがなかったように見えたので、唐突に明かされた感が否めなかった。

そんな無謀な母とそれを連れ去り出産させるラス・アラニャスでいきなり「この映画では無茶します!」と宣言されてしまったので、こちらとしてもそうなんですかと受け入れながら見ることになった。

エゼキエルに狙われて自分も手配されてる状況でベンおじに三人娘を預けて一人ペルー旅行に行くのも、まああの親にしてこの子ありといったところか……と受け入れざるを得ない。
そういやペルー旅行に行った成果って、ラス・アラニャスに会って過去の母と和解して能力開花したくらいかな。当初どういう見込みでペルーに発ったのかよく覚えていない。まあある程度は未来視で成果を予知した結果の決断だったかもしれない。

無茶と言えばエゼキエルの部下の女性が一人で監視網を全て掌握してるのもさすがに無理があるだろうと一瞬思ったけれど、まあそれもすぐに受け入れてしまった。

冒頭でもうひとつわかるのは、この映画のVFXはあまり出来が良くなさそうだというところだ。ラス・アラニャスがキャシー母を運んで枝の上を飛んでいくシーンは重量感みたいなものが感じられず、手で人形をぴょんぴょん動かしているかのようだった。そこだけかなと思ったら、その後のエゼキエルのアクションなんかでもやはり違和感があり、この映画はこんな感じかと思った。実際エゼキエルと未来の三人娘くらいで、超人的なアクションシーンは少なめ。
この映画の売り文句としてマーベル初の?サスペンスというのがあったと思うけれど、サスペンス映画と言うには緊迫感と謎が足りなくて、ヒーロー映画に求められがちな超人アクションが少ない言い訳のように感じられる。まあ別に少なくても楽しめたからいいのだけど。

エゼキエルから何とかして逃げるシークエンスが何度かあるけれど、それらは基本的に見ててそこそこ緊迫感があり楽しかった。ただ、駅のホームのエゼキエルとかは明らかに足が遅いわどうでもいい警官をしばくわで舐めプ状態だったなと思う。

基本的に監視網を掌握して超人能力で追っかけてくるエゼキエルが圧倒的優位なのを、予知によって、エゼキエルに居場所がバレた!殺される!この未来を避けなければ!という感じでなんとか張り合うのは、繰り返し同じパターンを見せられてるのだけど、そんなに飽きがこなかった。

ここまであまりストーリーやキャラクターに触れてないのだけど、本当に特に語ることがない気がする。

ネグレクト三人娘は一人でよかったのではと思うのだけど、なにか原作でマダムウェブの弟子が3人いるとかなのだろうか。3人いたことでキャシーとの関係性がブレた気がするし、3人で森を脱走してダイナーで調子乗って踊ってるのもまあ楽しかったけれど、あんまり要らなかったなと思う。それとも、同時に複数の場所に存在して助ける能力をやりたかったのかしら。
まあ、微妙映画なら三人娘がキャシーを信用出来ないとか実質誘拐犯だとかいう面白くない部分を引き伸ばしそうなところを、話の流れを邪魔せずサクッと処理して信頼関係につなげていたので、そこはスムーズで良かった。

しかし三人娘が未来でスパイダーマンみたいなのになる説明が一切なかったと思うのだけど、この話の根幹になる未来なのにそうなる未来をほとんど感じさせないのは引っかかった。

ちなみに自分は未来予知だのパラレルワールドだのタイムパラドックスだのの話はいい加減でいいと思っているので(真剣に突き詰める作品には当然意義があるけれど)、そのあたりの瑕疵はとくに気になったりはしなかった。

この話のキーワードは「親と子供」「未来」だというのは誰でもわかると思うのだけど、それらのキーワードについて考えが湧くようなストーリーではなかったなと思う。

あとこんだけスパイダーマンのにおわせするならピーターの一言くらいは言っても良かったのでは。
そういえばポスクレもなかったな。モービウスみたいにあればあったで揉めることもあるけれど、アメコミ映画好きはポスクレジャンキー的なところがあるので、そのあたりガッカリした人は多そう。個人的にも少し肩透かしだった。

そのくらいかな。
星は★★★☆☆(そこそこ面白い)といったところ。
個人的にはSSUには期待しているので、もう少し踏み込んで欲しさはある。作風の話。今回はちょっと当たり障りなさすぎた。パンチ効いたのが欲しい。