109.0kg。

昨日からなんだかシャニマスのライブ関連で炎上していた。
今日はたまたま立川ステージガーデンを通りかかったのだけど、ちょうど上演前だったのか、シャニマスを見に来たと思われるおじさんたちが集まっていて、ああこれが炎上してた公演かと思ったものだ。

何で炎上したのか、端的に言うと、本公演はCGキャラの録画映像を上映するMRライブで、1日目夜公演にて出演キャラの一人(緋田美琴)を体調不良として途中退場させる演出がなされた(2日目では復活した)、という出来事があったらしい。該当ライブを見てないので間違ってたらごめん。
そのキャラ目当てで来た人からすれば推しの出番が削られて、何を見に来たのかよくわからなくなってしまうだろう。推しのキャラだけが貧乏くじを引かされて悲しいということもあるかもしれない。
まあ、該当キャラのこともシャニマスもほとんど知らない自分が、ファンの心情を想像してもしかたない。事実として、そのキャラ目当てで公演に参加した人のうち、非常に悲しんでいる人をTwitter上で複数人見かけたので、それが全てだと言える。そういう公演は良くない。

さて、当たり前なのだけど本公演はCG録画映像の上映に過ぎないので、リアルタイムで誰かが演じているわけではない。なので、体調不良というのもあくまで物語上の演出である。アイドルに与える試練という意味合いがあるのだろう。
これも当たり前なのだけど、通常のライブにはセトリこそあれ物語はほとんどない。劇の要素があるライブもあるが、ライブ自体は劇ではない。

しかし今回のシャニマス公演ではどうやら、アイドルライブという体のアニメ作品をやろうとしたような印象を受ける。ライブ自体が劇だから、物語がある。
ライブではなくアニメ作品なら、楽しみ方は変わってくる。アイドルライブであれば演者を応援しパフォーマンスを楽しむのが普通だが、アニメ作品なら、アニメを観る、物語を追うのが正しい楽しみ方だ。
にも関わらずあくまでライブイベントとして販売して、そこのところをぼんやりさせているから、前者のつもりで推しを見るために金と時間を払って来た人が悲しむ結果になる。

これが本当のライブで演者のアクシデントがあったなら、例えば他のライブでも実際演者の体調不良でライブに影響が出ることはあるが、突発的な不可抗力でしかたないということで受け入れて回復を祈るものだ。一方でこの公演は虚構のライブなので、体調不良は意図して作り出されたイベントで、それはしかたなくはないから、受け入れられない人もいるだろう。推しが十分に出演するという約束事があるものだと思って来たら、それを不穏な形で破られたわけだから。
ただ、それも今回の公演を「ライブ」と認識してそのつもりで鑑賞したから受け入れられないのであって、アニメ作品……映画のようなものとして通しで見るならば、体調不良演出を含めた物語がつまらないという感想こそ生まれる余地はあるが、騙されたということにはならないだろう。
まあ、ライブとして売っているわけだけど。しかも4公演分けて。

MRライブという形式は基本的に録画だと思うし、それが虚構であることは皆本来はわかっていると思うのだけど、それをどの程度まで「リアル」だと自己暗示をかけるかで捉え方は変わってくると思う。
本当のライブのように真剣に演者を応援するスタイルも良いし、録画だとわかっていながらも「本当の録画」だと思って楽しむのも良い。しかし今回の公演に適していたのは、全てが虚構の映像作品として楽しむスタイルだったのだろうと思う。自分がシャニマスのファンだったなら、今後シャニマスのコンテンツは全て「リアル」を期待せずに距離を置くことにするだろう。気持ちは地蔵である。

今回シャニマスで検索すると「実在性」というワードが頻出していて驚いた。どうやらファンにとってはそれがシャニマスの売りらしい。
しかし今回の演出はシャニマスの非実在性を強調してしまったように思う。
体調不良演出があって、ファンの反応はどうだったか?真剣にキャラの体調を心配したファンはどれだけいただろうか。それよりも運営の演出意図が気になったのでは?現実の人間が体調不良を起こした場合と比べて、同じような反応があったわけはないだろう。SNSを見れば一目瞭然だった。すぐに治って翌日には公演に復帰する非現実的展開を揶揄する声すらあった。
つまり、体調不良というセンシティブな問題を取り扱ってしまったことで、ファンの認識としての「実在」「非実在」が一気に「非実在」に寄った反応を呈してしまった。みんながシャニマスは、この公演は虚構だと元々認識していたということが浮き彫りになった。コンテンツのリアリティはファンの頭の中にあるものだから、今回の出来事はシャニマスの非実在性を改めて強調したということになる。
いや、非実在で当たり前なのだけど。

もちろん、アニメ映画の類として見るならば、虚構であることを認識して見るものなので、それでいい。
公演に参加することで虚構の世界のライブに入り込んだような気持ちになる人も多かっただろう。一種の遊園地的なアトラクションである。あるいはプリキュアのミラクルライトだとか、映画の4DX上映も一応それにあたるか。それがMRライブの売りなのかもしれない。
であれば、MRライブをライブと認識するのがやはりおかしいのかも。上述のとおりアトラクションなのでは。

Twitterで、シャニマスはフェイクドキュメンタリーをやっていくつもりか、という風な投稿を見かけた。言い得て妙だと思った。
フェイクライブ、と言うこともできる。ライブ風の映像で物語を紡ぐわけだ。
実際、今後のシャニマスのMRライブは全てフェイクライブだと認識して行くのが正しいだろう。その上で、推しの出番が突如なくなる可能性も考慮しなければならない。

ライブに関わる体調不良を演出に用い消費したことのグロテスクさを主張する人々もいた。正直けっこうその気持ちはわかる。
最近だと学園アイドルマスターの花海佑芽役の声優が体調不良で無期限活動休止になったために学マスライブから出番が急遽ごっそりなくなっている。アイマスだけでくくっても他に夢見りあむなど複数事例があるだろう。
またライブ中の体調不良として記憶に新しいのがBUCK-TICKの櫻井敦司の死去だ。結果が重大なため、BUCK-TICKファンで今回の公演に強い拒否反応を示した人も複数人見かけた。
今回の体調不良演出、単なるアニメ作品でやったならともかく、フェイクライブとして(一種のドッキリとして)やったのがグロテスクなところだと思う。

個人的には、実際の公演で観客に対してドッキリを仕掛けるのはどうかと思う。まあそれが音声トラブルとかなら可愛いものだが、体調不良となるとシャレになっていない。体調不良をドッキリにするのは、上述のとおりグロテスクな一面もある。
加えて、緋田美琴にこのような扱いをすることで、お金と時間を払って緋田美琴を見に来たのに悲しい思いをした客がいたことは歴然とした事実なので、それも良くないと思う。シンプルに客商売として良くない。事前の想定も容易なはずで、つまりわかっていて緋田美琴ファンを切り捨てたということである。

「予想は裏切っても期待を裏切ってはいけない」と言う人もTwitterで見かけた。しばしば使われる定型句だけれど、今回の出来事には非常に良くマッチしている。
上演するものがライブではない以上、ライブとして販売してライブという期待をさせるべきではなかった。
正直なところ、そんなに物語を紡ぎたいのならゲーム内のコミュでやればいいのでは?とは思うが、どうしてもライブという体のアトラクションをやりたかったのだろう。それはまあわかる。
体調不良演出も、ストーリー展開であると同時に、録画としての予定調和感を払拭する役割もあったのだろう。しかしそれこそ、予想を裏切るつもりだったのだろうと思うけれど、実際には期待を裏切るストーリー・演出だったと言える。

まあ、興味深い話題だったので色々と考えてしまった。
シャニマスファンが良いならそれで良いと思うけれど、明確に良くなかったシャニマスファンが複数いたので、まあ、優しいコンテンツであってあげて欲しいと他人事ながら思う。

MRライブ、学マスとかでやるなら一度行ってみたいとは思う。
自分はあまり声優が歌って踊ることに関心がなく、先日のデビュー公演で初めてその手のやつを観たのだけど、声優って大変だなあという感想しか出なかった。いや、良かったのだけど、キャラと声優は別なのに、フィクションのラインで現実の声優にパフォーマンスさせているので、見てて色んな意味でハラハラする。
なので、自分にとっては実際に(?)キャラが歌って踊るMRライブの方が関心が高い。CG録画なので非現実的な演出も可能だしアクシデントもなかろう。
……と思ったのだけど、それで今回のシャニマス公演みたいなことをされると困るなあ。そう考えると、今回のことで録画ライブへのある種の信用が毀損されたような気もする。