雑記
COMITIA145に申し込みました

COMITIA145に申し込みました。
抽選はないようなので、私の書類不備がなければ参加は確定です。
コミティアには申し込みだけして都度諸事情で参加できないのが続いているんですが、作品も全然描き進められず破棄しているため、ストックがない状態です。
まあ要するに何もしていないのですが、さすがに今度はちゃんと参加して何か出さないとなと思っています。
今の生活を始めて4年目になり、仕事以外の時間がどんどん取れなくなる中、ひょっとするとこの生活を死ぬまで続けるのかと考えた時、何も描いていないのは辛すぎると思いました。
きっと面白くないものができると思いますが、よければスペースに来てください。

ちなみに最近は諸事情で無料頒布にしていましたが、さすがに無料は印象が悪いのと、普通に金銭的に極めて苦しいので、たぶん今度からはお金をいただきます。
きっちり記録しておけば大丈夫なはずだと信じて。
ちゃんと赤字の価格設定にしておくので、安いと思います。
本当はお金儲けしたいんですが、上記の諸事情で絶対無理なので、せめてエクスキューズは用意しつついくらかの制作費補填だけでも試みる次第です。

今回はサークル名を変えてみました。「2号はもう死んだ!」というサークル名です。
別にサークルとして何か変わるわけではなく、私一人の何のコンセプトもないサークルのままです。
これまでは自分の名前「ニセゾー」をそのままサークル名にしていました。
どうせ自分一人なのだからサークル名も同じ名前の方がわかりやすかろうという趣旨でそうしていたのですが、別にその必要もないんじゃないかとふと思い直しました。
そして自分の気持ち的に、名前を看板にするのはちょっと気が引けてしまうようになっていました。
ろくに活動できていないし、あまり表に出られる人間じゃないような気がして…。
なのでちょっと、ツイッターでも告知せず、サークル名を変えてこっそりサークル参加しようと思ったわけでした。
何の意味もないんですけどね。
今後は人目を避けながら誰にも見られないようにこそこそと活動するのがいいのかも…なんて。
その考え方がおかしいのはわかっているんですが、まあそういう思考に取りつかれているのが今の自分なので、やりやすいようにやれる形が一番いいのかもと思います。
何かを負担に感じて何も描けない、途中で破棄する、というのをしばしばやらかしているので。
まあ、ここでは告知します。ここは自分だけのアジトなので…。

「2号はもう死んだ!」は昔から使っているTwitterのサブアカウントの名前です。
今は絵とかの作品掲示用アカウントにしています。
名前の由来はしょうもない話で、サブアカの名前がもともと「シックスクンニセクロス2号」だったのを、その名前が嫌になったので、2号を殺したわけですね。
だから2号はもう死んだ。あと、コピペの「あいつはもう消した!」が好きなのでちょっとインスパイアされています。
なので本当しょうもないんですが、なぜか気に入っています。
ニセゾーのニも2みたいなもんだし。

ちなみにサークルカットの子は最近ずっとよく描いているオリキャラです。
一応、宇宙森アキラという名前を考えてあります。
単に描きやすいからカットに描いただけで、頒布物に出すかは、あやしいところ。

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースを観た

スパイダーバース2を昨日観たのでネタバレあり感想。1のイントゥ・ザ・スパイダーバースを未見だったので、予めそちらを観てから。最初はネタバレなし。

この前観たザ・フラッシュが年間ベスト級の快作だったのだけど、このスパイダーバース2も年間ベスト級で、後で上半期ランキングでも作ろうと思っている身としては困ったなという感じ。マルチバースを扱ったアメコミ映画でこれだけの作品が、日本ではどちらも同日公開というのも、贅沢というか、すごい。
アメコミマルチバース映画はザ・フラッシュとスパイダーバース三部作でもう打ち止めでいいと思えるほどの満足感で、もうこの二つだけでマルチバースの面白みは大体やりきってしまってるのではないか。
おまけに両方観た人ならわかるが、ストーリーが好対照になっており、それぞれ似たような題材の異なる方向性でエモーショナルに仕上げているのが面白い。(スパイダーバースはまだ途中だけれど、今作に限って言えば)。もっとも、ザ・フラッシュは過去が変わるタイムトラベルものである点がスパイダーバースとは決定的に異なるため、比較するとスパイダーバースの方が王道なつくりではある。

今作は三部作の二作目とはいえ、前後編の前編のような扱いになっているので、また三作目のビヨンド・ザ・スパイダーバースが控えているわけだけれども、この調子ならそちらの出来も安心だろう。なにしろ映像がすごすぎてそれだけで満足できる。
もちろん前作でも映像の凄さは感じたのだけど、スクリーンで見るとやはり迫力が違うし、個人的な印象では前作よりグレードアップしている気がする。細かく違いを言い表すことはできないけれど。例えばそれぞれのアースごとのアートワークの違いがすごく明確だったり、特にグウェンのアースでは、グウェンの感情に背景が対応して抽象化するような表現があるように、表現手法の多彩さも増している気がする。
そしてこの超クオリティの映像がいつまで経っても終わらない。いい意味で、この映画いつまで続くんだろうと思ってしまった。映像体験の密度が凄まじい。実際前作より結構時間が伸びているようで、だいぶ贅沢な作品だと思う。
あまりにも凄いので息付く暇もなく、映画館で買ったフライドポテトの存在を忘れてほとんど食べ損ねてしまった(退場時にあわてて口にかきこむはめになった)。

以下ネタバレあり。

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リバー、流れないでよを観た

リバー、流れないでよを6月25日(日)に観た。あまりこの手のスケールの映画は観ないのだけど、2分のタイムループというアイデアがとにかく面白くて、観ることにした。
2分の繰り返しで何ができるんだ!?ストーリーを紡げるのか!?という疑問がそのまま観る動機になる。
ちなみにヨーロッパ企画の作品は名前こそよく聞くものの自分自身は一度も見た事がないので、そういう意味でもちょっと楽しみだった。
そんなわけで簡単にネタバレあり感想を書いてみる。
初めはネタバレなし感想。

2分ループというワンアイデアでひたすら回すという感じで面白かった。
ループ中はとにかく2分間をワンカットで回し続けるので、ワンカット2分間ずっと演技し続ける役者の凄さみたいなものも感じる。観ていてその一芸に感心しきりだった。
また、ストーリーの時間感覚がリアルタイムと一致しているので、逆に言うと時間を操作して作品のリズムを弄るということが出来ない制約の中で、飽きないように不自然にならないようにストーリーの起伏を作るというのもすごく良くできていた。

で、まあつまるところこれって映画で舞台演劇をやっているようなものなんだと思う。舞台の上では場面転換が起こるまでワンカットで演じ続けることになり、そのワンカットの中で起こるドタバタの中に面白さがある。要するに2分間ごとに場面転換が起こる舞台のような感じだ。
そう思って観れば役者の演技の方向性もコメディ系の演劇を観ているかのようだ。ラストに出てくる小道具?も舞台セットみたいな質感だ。
鑑賞中の早い段階で「あ、これ舞台だな」とわかったので、そういう風なバイアスをかけながら観ていた。そのバイアスがないと前述の小道具?が出てきた時にがっかりしたかもしれない。
なので、前述のとおりワンカットの演技に感心したりストーリーの構成に感心したりしたけれど、もともと舞台が主戦場のヨーロッパ企画からすればお手の物だったのかもしれない。
思えば、イニャリトゥ監督のバードマンなんかは全編ワンカット風の撮影でアカデミー賞を取ったけれど、あれは舞台演劇の話だった。そういうことだったのか。ひょっとして。

ただしいくら2分ループが舞台っぽく見えるからといっても、このアイデアは舞台では実現できない。場面転換のたびに初期位置に戻ってそこから限られた時間で行動しなければならない面白さは舞台では演出できないと思うし、2分という絶妙な細かさだから面白いのだけど、舞台でやるには2分は短すぎると思う。仮に2分ごとに暗転して初期位置に戻っていたら、見てる側としてはけっこうタルくなりそうなものだ。
まあ、寡聞にして知らないだけで、舞台が先にあったりしたらごめんなさいなのだけど……。ヨーロッパ企画だと、確か曲がれ!スプーンとかは舞台劇が先にあってその後映画化してた気がする。

曲がれ!スプーンと言えば舞台音楽が元たまの滝本晃司さんだったのだけど、今作の音楽聴いてて滝本さんっぽいなあと思っていたら、やっぱり滝本さんだった。滝本さん、映画の音楽は初めてなのでは?違ったらごめん。

以下ネタバレあり。

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怪物を観た

映画「怪物」を観た。手短にネタバレあり感想(最初はネタバレなし)。

ジャンル的には、ミステリー映画でいいのだろうか(そうでもない?)。主人公の子供を中心に不可解な出来事が次々に起こり、その謎が解き明かされていく作品、と言えなくもない。ミスリーディングを誘う仕掛けもある。とくべつトリックというようなものは無いのだけど、謎に振り回されるストーリーが好きならおすすめと言えるかもしれない。個人的にはかなり楽しめた。

とはいえ結局は関係性のヒューマンドラマに帰結する。その面でも十分楽しめたし味わい深い作品だと思ったので、そういうのが好きな人にも良いかもしれない。ただし全編暗いトーンで話が進むのでそこは注意。まあ予告編を見て明るい映画と思う人もいまいとは思うけれど。
あと結構ドラマ的に脚本が難解で理解できてない部分が多々あると思うので、そこも注意して観てほしいかな。

映画の構成的にネタバレ抜きで語れることがあまりないので、以下ネタバレありで語る。

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ザ・フラッシュを観た

映画フラッシュを観てきた。前半ネタバレ無し後半ネタバレありで感想を書く。(予告編程度の内容はネタバレなしとする)

この映画のことは楽しみ半分不安半分で公開を待っていた。

楽しみなのは、これまでのエズラ・ミラーのフラッシュが魅力的だったのと、大好きなマイケル・キートンのバットマン再演、ベン・アフレックのバットマン再演、といったコラボレーション要素だ。

不安なのは、DC映画群の右往左往のちょうど交差点とも言える位置にある映画であるため、映画自体の扱いが微妙なところと、コラボ要素やタイムトラベル・マルチバースの世界観をきちんと処理できるのか、という、要するに期待の裏腹である。これまでが魅力的だったから、コラボも魅力的だから、実際それらがどう処理されるのかが不安になる。後者に至ってはあれだけ手を広げたMCUですらだいぶ持て余して単独作の質に影響している印象で、一方で最近単品では快作続きとはいえ依然としてユニバース展開にゴタゴタして一旦のリセットまで決まったDCでは、なおのこと心配だ。

つまりはそのいくつかのキーポイントで期待に応えてくれるか期待外れか、二つに一つ。快作か凡作か。愛してやまないキートンバットマンまでひっぱり出しておいて凡作では納得できない。

その不安は完全に杞憂として消し飛んだ。文句なしの快作だ。アメコミヒーロー映画に求めてたものが全部あると言っても過言ではない。
コラボ・マルチバースの処理も見事。華やかなお祭り感がありつつ、シナリオ上の扱いも過不足なく鼻につかない。
コラボに注力すると単独作としての完成度に欠けがちで、キャラクターの掘り下げがおざなりになりがちだけれども、今作はフラッシュという一ヒーローの作品として全く申し分ないストーリーに仕上がっている。そもそもフラッシュが時間遡行できるのがキーになっているストーリーなので、常にフラッシュ自身の変化や選択がストーリーの軸にあるため、話がブレていかない。
マルチバース・クロスオーバーものとしては一つの到達点と言える完成度だと思う。今後これ以上のもの出るのかしら……。

作品のトーンも多彩で、重ためのストーリーを軸にしながらも細かいユーモアとアクションの爽快な演出でいい気持ちにさせてくれる。まあ、統一感がないということもできるし、めちゃくちゃ深刻なシーンでギャグ系の小ネタぶちこんできて感情が少し迷子になったけれど。

音楽も最近観た映画の中では群を抜いて良い。かなり印象的でエモーショナルな曲の数々、おなじみのテーマや洒落た歌モノなど、サービス満点で気分を盛り上げてくれる(楽しい方にも緊迫感のある方にも)。縁の下の力持ち的に音楽を使う映画もいいけれど、アメコミ映画、お祭り映画ではこのくらい前に出て気持ちを引っ張ってくれてもいい。
メインテーマらしい印象のあるものはAre you actively eating that candy bar?という曲とRunという曲で、公式動画で上がってるので聞いてみて欲しい。後者は時間遡行を連想させる印象的なピアノリフがとにかくエモーショナルで感動的だ。前者はダニー・エルフマンみを感じる素早いストリングスから、後半になるとフラッシュらしい電子音が展開する。両方ともとても今作らしい曲だ。
おなじみのテーマなら、バットマンのテーマ(I am Batmanという曲名)が公式動画で上がっている。本当にバットマンとかスパイダーマンあたりのダニー・エルフマン風味を出すのが上手いし、それでいてオリジナリティをきっちり入れてるのが良い。ちなみにBatdoneonという曲がこれをベースに疾走感のあるアレンジになっていて、ゲーム好きの琴線に触れそうなトーンの曲になっている。
YouTubeプレミアムに入っているから映画のサントラの類をすぐに聞けるのがありがたい。(大概の洋画サントラは公開前に既に公式アップされている)と思ったらフラッシュはプレミアム入ってなくても全曲?公式動画でアップされてた。

以下ネタバレありで語っていく(グラデーションはつける)。
ちなみにややこしいので、元々のバリーをバリー1、2人目の若いバリーをバリー2とする。

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かがみの孤城 再開城記念舞台挨拶(7回目鑑賞)

(追記:公式のレポートが出ました https://movies.shochiku.co.jp/kagaminokojo/news/230526report/

6回も7回も同じ映画を劇場に見に行ったことはいまだかつてない。多くて2回までだった。3回見たことも一度くらいはあったかもしれないが、自分の意思で進んで見たわけではないと思う。2回ならまだしも、わざわざ劇場まで行って、3回も4回も内容のわかってる同じ映画を見るなら、別の映画を見た方が何かしらの糧になると思っているからだ。
5月26日、丸の内ピカデリーまでかがみの孤城再開城舞台挨拶上映を観に行ってきた。これでかがみの孤城は通算7回目の鑑賞となる。どうしてこうなってるのか自分でもよくわからない。
特典商法か追加映像か……今回は追加映像かなと思う。悪どい売り方やでほんま(原監督も今回自虐的に悪どいと言っていた)。流石に8回目はないのではないか……今回からの特典(フィルム風しおりとクリアポスター)も新規絵ではないし。特典にしろ追加映像にしろ要するに追加の新規要素があることでわざわざ行っていた面が強いので……。初回特典でまさかの後日談(3種ランダム)が展開された衝撃が大きかったということだろう。

運良くか、たまたま仕事が早引けの日だったのでとくに有休を取得する必要もなかったのだけれど、あろうことか丸の内ピカデリーを新宿ピカデリーと勘違いするという大ポカをやらかしており、上映直前まで新宿ピカデリー下の無印カフェで優雅にチーズケーキなど食べて時間を潰していた。
上映15分前が近づき、そろそろ開場の時間かと思い食事を切り上げて、QRコードを表示する準備のためにスマホの画面に予約情報を表示し、入場準備は万全とばかりに悠々と新宿ピカデリーへ歩を進めていたのだけど、なんとなく画面を改まって見直したら、丸の内ピカデリー。気持ちがめちゃめちゃに盛り下がり、もう帰りたくなった。
しかしもう2100円は払っているので気を取り直し、その瞬間からあわてて翻って丸の内ピカデリーへ向かった。最寄りの銀座駅へ到着するのは18時1分の予定だ。上映開始時間は18時。徒歩やエレベーターも含めると到着は早くても18時5分くらいだろう。確か閉場の日上映は予告編なしでの即上映だったので今回もその可能性が高い。つまり冒頭5分以上を見逃すことになる。
思ったより新宿ピカデリーから銀座駅って近いんだな(普通に30分以上遅れると思っていた)と思いつつ、やはり気分は落ち込んでいた。いくら何度も観ているとはいえ、いざ改めてまた観るとなると、逃したくないシーンは存在する。かがみの孤城の場合、個人的に最も良かった部分が冒頭5分くらいに集中しているため、それをまるまる逃すと思うと、一体何のために観に行くのか、ただでさえわからないのがなおさらわからない。
とはいえ結果として、運良く最後の予告編くらいの時に着席が間に合った。今回は予告編を上映していたのだ。おかげで助かった。というだけのしょうもない日記。

映画の内容については今さら語るところもないのだけど(何回かがみの孤城について書いてきたのか……)、やっぱり変なところのある映画だなと思う。7回見てもいくらかの飲み込みづらさというかひっかかりがある。例えば細かいところだと嬉野がケガをするところなんかは、即堕ち2コマ感のあるテンポがギャグっぽくて面白いけれど何回見ても複雑な気持ちになる。話がなんか唐突に見えるところは何回見ても戸惑うし、音楽が変なシーンは何回見ても変だ。
でもなんとなくスルッと観れてしまう。当初感じた一番の美点である総合的な物語の良さみたいなものは何度も何度も繰り返し見ることでもうだいぶ褪せてしまって、半ばベルトコンベア式に右から左へ流してしまうのだけど、それを差し引いても観ていてつまらないなと思うことはない。
まあ、前にも書いたとおりこころがめちゃくちゃ可愛らしいので、それだけで観てられるというところはあるのだけど……。

今回からのスペシャル映像「かがみの孤城の前と後」だけれども、代わりにこれまでのスペシャル映像(初回特典を映す映像)がなくなっていた。「かがみの孤城の前と後」は初回特典の内容も意識されているので、これまでのスペシャル映像と合わせるとやや冗長になるか。今回の映像けっこう長いし。
一応、意識されてるとはいえ、初回特典を観なくてもわかる映像にはなっているけれど、かがみの孤城を今回から見るという人は初回特典を観られないことになるため、円盤特典に含まれることを期待というところだろう。余談だが、一応今回の舞台挨拶もBDに含まれる可能性があると司会が話していた。
映像の内容的には、ここで詳しくネタバレをすることはないのだけど、原監督が書いたらしい宮崎あおいさんのナレーションが非常に多く、正直予想していなかったし内容も幾分抽象的だったので内容を理解するほど聴き入ることが出来なかった。絵的にも初見ではわからないワンポイントが各カットごとにあると原監督が言っていたので、何回も観る前提なのかもしれない。悪どいぜ……。
ナレーションについては「運命なんかない」という原監督の好きな下りをアラビアのロレンスから引用した(ことにあとから気づいた)と原監督が言っていて、そこから怒涛のアラビアのロレンスネタバレ解説が始まった挙句、結局ロレンスは運命に抗えないみたいな話のオチで終わって、そのある種のナンセンスさをかがみの孤城に引用した意味のなさを考えるとこの話なんだったんだ?と思わざるを得なかったのだけど、これまでのティーチインとかを聞いて、原監督はそういうところがあるとよくわかった。
原監督はスペシャル映像について「手抜きと言われないか不安だった」らしいのだけど、個人的には思いのほかボリュームがあったと思う。そりゃ本編と同じくらい手間がかかってるという訳ではないのだけど、ディレクターズカットの蔵出しというわけでもなく、上映後に追加された新規映像を出してくるというのは、普通の映画としてはなかなかないのではないか。もう少し手抜きなのを予想していたのでちょっと驚いた。ちなみに先週描き上がったらしい。
スペシャル映像については原監督は「(自分の発想ではなく、人を呼ぼうという)製作委員会的な発想で作られた」というふうなことを言っていたのだけど、製作側のその熱量はどこから来るのだろうか。
今回からの再上映開始は、一応作中でかがみの孤城が5月に開いた設定に合わせているらしいのだけど、わざわざ特典も複数用意して全国で再上映をするというのは割とただ事ではない(大分すら再上映している)。興行収入は10億くらいと言われていた気がするけれど、そんなにこすり倒すほど儲かる作品なのだろうか……。すずめの戸締まりとかならわかるけれど(そういえばすずめの戸締まりは入れ替わるように5月27日で終わりらしい)。

今回の舞台挨拶の司会は日テレアナウンサーの岩田絵里奈さんということで、何しろ彼女がアナウンサーデビューしたらしい頃には既にテレビを見なくなっていたので全く存じ上げないのだけど、どうも喜多嶋先生の同僚役で出演もしていたらしい。原監督からも声優みたいと褒められていたけれど、短いセリフながらキャラクターのよく出た上手い演技だったと思う。
モノマネが得意ということで原監督に無茶ぶりをされてしんのすけの真似をしていたけれど確かにうまかった。かがみの孤城冒頭でもしんのすけのマネがあることを意識したのかはわからない。

當真あみさんは舞台挨拶が初めてだった時と比べて今は成長している気がすると言っていたけど、確かにこの前と比べるとだいぶこなれていた。なんかちょっと寂しさがある。
こなれていく前の良さがあって、當真さんのある時期がかがみの孤城に込められている、ようなことを原監督は言っていたのだけれど、今の當真さんがこころを演じたらまた違うのだろうか。

最後の方で原監督がポロッと言ったところによると、再上映でドルビーシネマ上映が開始するにあたり、作画の手直しが少し入ったらしい。舞台挨拶上映はドルビーシネマではなかったけれど、同じ映像ソースだと思われる(そんなことを原監督が言っていたと思う)。具体的にどういう手直しなのかはわからないけれど、ちょっと気になる。
個人的にはかがみの孤城のキャラ作画についてはけっこう不満があるシーンも多いのだけど、多分そういう意味での作画には修正は入ってなかったんじゃないかと思われる。高画質上映に合わせての細かな調整といったところではないだろうか。あるいは自分が気付かなかっただけで結構描き直されてたりするのかもしれないけれど。前に観たの2ヶ月前だしあまり覚えていない。

全然関係ないけれど、上映後に恐らく無関係のお爺さん客が学生客数名に「若い子は珍しい」などと話しかけてかがみの孤城グッズを何か配っていて、まあ劇場での出会いというのもあってよいとは思うのだけど、ちょっと独特な距離感だなと思った。
今になってかがみの孤城の舞台挨拶を見に来るような人はだいぶ煮詰まってる人が多いので、必然的に独特な観客が多い。確かに周りを見ると年齢層は高めな印象があった。別にかがみの孤城は年齢層が高めの客に特別リーチするというような映画でもないので、監督ファンや當間ファンが年齢層高めなのか。再上映の舞台挨拶を見に来るのは既にかがみの孤城を繰り返し観ている人が多かろうと思うので(実際今回も既に5回以上見たという人が沢山いた)、好んで繰り返し同じものを観るリピーター的性質を持つ人が年齢層高めに多いのだろうか。

そんな感じか。
さすがに自分が観に行くのはこれで終わり……か……?ドルビーシネマくらいは暇な時にもう1回くらい見てもいい気がしなくもない。
なんというか、他の映画と比べて別に特別ハマったわけでもないのだけど、追加要素目当てに繰り返し行くというのは十分ハマってる気もする。多分BDも買うだろう。繰り返し観たい部分は確かにある(どちらかというと作画的な意味で……っていうかこころが可愛いシーン)。
今後、ここまで何回も劇場に行く(行かされる)映画はあるだろうか……。