4月以降いろいろ映画を観たのだけど、感想を書く暇がなく5月も半ばまで来てしまった。
一応観た作品は全て備忘録がてら感想を書いておきたいと思うので、かなり手短にはなるけれど、感想を書いていこうと思う。
Twitterで書いた内容の転載もあり。
以下作品のネタバレを含むので、注意。

4月29日鑑賞。
予告をさんざん見た結果期待値は正直けっこう低かったのだけど、思いのほか楽しめた。
非常に優等生的な出来でそつがなく、それでいて終始面白くテンションが高い。
ピーチ姫とか予告の時点ではあんまり魅力を感じなかったのだけど、見てみるとチャーミングでかわいい。
ペンギンとクッパの戦争シーンもクッパの強大さがよく出ていて、予告での印象より良かった。
全体的に予告の印象よりも面白かった。

ストーリーについては、ブルックリンの配管工兄弟が異世界で大冒険ってなるとどうしても基本プロットが実写マリオに寄るなと感じた。(つーか実写マリオはあれで一応マリオシリーズの芯とらえてたんだな)
今作は最先端の3DCGアニメにしてゲーム要素とコメディをモリモリにして、舞台もゲームっぽくすることで十分別物にはなってるけど、どうしてもニューヨークのくだりでは実写マリオを連想しながら見てしまう。
終盤ニューヨークに舞台が移るのも、実写マリオでも終盤ニューヨークに影響が出ていたのと通じる。異世界冒険の結果が元いた世界にフィードバックされるのは定番か。
また、他映画の話で言うと、ポスクレでヨッシーの卵がニューヨーク地下に現れているシーンはローランド・エメリッヒ版ゴジラを思い出さずにはいられない。あれもニューヨーク映画だった。
ラストで急にマリオを救世主のように持ち上げてはしゃぐニューヨーク市民はゴーストバスターズ的な文脈も感じる。
自分はあまり気づかなかったけれど、その他たくさんの映画ネタを盛り込んでいそうだ。

劇場が笑いで包まれるシーンがしばしばあり、子供も楽しそうで、外国人客が体感二割くらいだった。
観客の反応が良いとこちらも楽しい感じになる。これを狙ってわざわざ満員の回を見に行ったわけなんですね。
観客の反応というと上映後の拍手もその一つだけども、マリオでは拍手は起こらなかった。この前行ってたかがみの孤城のイベント上映ではだいたい拍手が起こってたし、この前観たシン・仮面ライダーだと一部の観客が満場拍手ムードにしたくて拍手するけど誰もついていかずいたたまれない空気になるとかいう厳しい状況もあった。ただ、拍手なんてなくても、むしろない方が観客の満足が伝わるということもある。この前観た千輝くんも上映後好感触だった。
そういう意味で、拍手こそなかったものの、ここ最近観た映画の中で上映後の感触は最高だったと思う。
ちなみに外国人客がやたら多かったのは、おそらく上映回数の少ない字幕版だったからだろう。

ゲームの映画化という点で非常によくできていると思う。
それはゲームの要素がふんだんに盛り込まれているというのもあるけれど、途中のマリオの修行シーンがゲームそのもの。最初はうまくできないけれど、あきらめずに何度もチャレンジして課題を解決し、着実にうまくなっていく。対ドンキーコング戦でもそう。マリオに感情移入していれば、まさにスクリーン上で繰り広げられるゲームの擬似体験。

一方、確かに面白かったけど話はたしかに物足りないところがあるし、それを一部の人が中身がないと表現するのもまあわかる。中身がないというのは高尚でないというニュアンスより、満足感が足りないということだろう。たぶん。
端的に言うと物語上でのキャラ達(特にマリオ)の変化が乏しくて、これはエンタメ的には王道ではなくて特殊なことをやっていると思う。特にマリオについては、当初からヒーローの素養を持った諦めない男であるというのはゲーム的映画にする上で重要だったのかもしれない。
物語の中で人物の劇的な変化がわかるシーンは鉄板で盛り上がるので、基本的にどんなエンタメもその要素がある。たまにそれがない淡々とヒーローが活躍するだけの作品が(漫画の読切とかで)あり、そういうのはかなり物足りなさがある。
コメディならその点の物足りなさは補えるけど、基本的にコメディもその要素は入れる。鉄板だから。不条理ギャグで有名なボーボボも、それをギャグ・パロディの文脈でふんだんに盛り込んでいる。
この映画ではラストのルイージくらいしかそのシーンがなく、ルイージについて十分掘り下げられたとは言いにくいため、ストーリーの感情的な盛り上がりが乏しいと言えるかもしれない。

でも上述したとおり、マリオはめっちゃみんな楽しんでたのが劇場中から伝わってきたのでそれで十分だと思う。
そういう映画はいい気分で劇場を出られるし、その体験こそ自分が映画に求めてるもののひとつではある。
上映後、また満席の中で、今度は吹き替えを見てみたいという気持ちになった。