4月以降いろいろ映画を観たのだけど、感想を書く暇がなく5月も半ばまで来てしまった。
一応観た作品は全て備忘録がてら感想を書いておきたいと思うので、かなり手短にはなるけれど、感想を書いていこうと思う。
Twitterで書いた内容の転載もあり。
以下作品のネタバレを含むので、注意。

4月8日に鑑賞。
他の映画を観るたび予告をさんざん見せられた割に、この時すでに一日一回上映しかなく、上映館自体も少なかった。
そのためか席は満席。ざっと見渡せば若い女性ばかりで男は自分ひとり(に見えた)。上映規模は少なくとも、しっかりしたファン層がついていることを感じられた。
もちろん自分がこの手の映画を進んで観に行くわけはなく、付き合いで観に行ったのだけど、思っていたより楽しめた。

率直な感想を言えば、この作品、欲望に正直すぎるという印象。
冴えない女子の自分に、とにかく都合のいいイケメンが一方的に距離を詰めてアプローチし続けてきてくれる。
それだけの映画と言ってしまえばそれまでなのだけど、それだけでいいという発見がある。こんなのエッチじゃないだけのポルノだよお…と思いながら見ていた。
であれば、幸せで都合のいい出来事を立て続けに見せられて、否応なしにニヤニヤしてしまっていた自分は、もうこの映画に負けている。完敗だ。
冴えない自分と都合のいいイケメンとの甘いやり取り、イケメン同士で自分を取り合う関係になったり、イケメンが父子家庭の寂しさを抱えて幼い妹と二人暮らしみたいになっていたり(家は豪邸)、自分のせいで馬鹿な周囲にイケメンが叩かれる(でもイケメンは動じない)とか、しまいには自分を取り合っていたイケメン同士が実は若干BL的なクソデカ感情関係性だったり、実はイケメン側がこちらに片思いをしていたオチだったり、まあなんか女性の欲望をとにかくめちゃくちゃに刺激してくれる。自分は女性ではないけどこんなものを見せられたらそりゃあねえ…。
欲求を満たすとなると男女が逆ならスケベに振るところなのだろうけど、そこはやはり女性向けとなるとシチュエーションで欲求を満たす方向になるか。
女性の性的欲望直球作品はこんな感じになるのかという発見があった。

千輝くんがとにかくいい子過ぎて、なんて都合のいいやつなんだこいつはと突っ込みながら見ることになる。
最初は傷ついた主人公を守って癒す暖かい庇護者的立場(要するに上の立場)なのが、ストーリーが進むにつれてだんだん守ってあげたいところが出てきて逆に庇護欲・母性を刺激され、ラストでずっと片思いをしていたのは千輝の方だったとなったところでグイッと主人公と対等の立場になる。憧れの男の子でもあり、守ってあげたいボーイフレンドでもあるという、相反しかねない立場を両立している。
千輝くんを好きになってしまえばもう負け。はい負けました。You dont have to worry worry 守ってあげたい…あなたを苦しめるすべてのことから…。そんな気持ちにさせられるね。
だいいち千輝くんが主人公のことを好きなのは片思いごっことか言い出した時点で察しがつくので、そこからはあまりに都合のいいイケメン描写で主人公に感情移入して欲望充足するのと並行して、千輝くん頑張れ!主人公を落とせ!もっと積極的に行け!という千輝くん応援映画にもなるのだ。
どのへんが「なのに」かはわからないけれど、まあ千輝くんが甘すぎるというのはその通りだ。

あと、主人公の初恋の人である一見内気で優しげなオタクくんが、「〇〇ですぞwwブフォww」みたいなドテンプレオタク口調なうえ、告白してきた相手をTwitter的なSNSで陰口言って叩くとかいうネット弁慶最悪野郎なのは、オタク差別に敏感なオタク諸兄ともなれば憤死必至のオタク蔑視描写で度肝を抜かれた。今どきここまでオタクを悪し様に描くのはそうそうないだろう。初恋の人だからイケメンだけれど。
ただ昨今のインターネットを眺めていると、インターネットに染まったオタク君ともなれば実際こんなもんかもしれない、むしろリアルな描写なのかもしれない、少なくとも胸を張ってこんな描写はけしからんと言えるような現実ではないという、なんとも情けない気持ちにもなるのだった。
このキャラ、ターゲット層の女性たちにはどう映っているのだろうか。正直自分はひどすぎて笑ってしまった。

ちなみに上映後の劇場内の感触は上々だった。まあ自分でさえ終始ニヤニヤしてしまうような映画だったし、それが若い女性で満席の劇場内でウケないはずもなく……。