マーベルズを観た。11月11日。
まず、観る前の期待値は低かった。そもそもMCUに対する期待感が低くて、別につまらない作品だろうとは思わないものの、そんなにめちゃくちゃ楽しませてもらおうという気持ちでは行っていない。他の映画なら、楽しませてくれよ〜という気持ちがもうちょっとはあるのだけど、MCUとなると、これは信用でもあるのだけど、まあ最低限楽しませてくれるでしょというのがわかっており、それ以上を最近は求めていない。キャプテン・マーベルがすこぶる無難な映画だった事もあり、そのくらいまで行けばいいな、くらい。
インフィニティウォーとかより前の時代ならもう少し期待していたのだけど、エンドゲームがすこぶる微妙で、その後も作品数は重ねつつも「めちゃくちゃ楽しい!」とまでいく作品が全然出てこなかったため、期待するのをやめてしまった。ノーウェイホームは一番期待していたのだけど、そこまででもなかったのが決定打だったように思う。

以下ネタバレ。

いざ観てみると、めちゃくちゃなんとも言えない映画だった。
なーんにも考えずに見たら楽しげなシーンはけっこうある。前後のつながりやそこに至るまでの積み重ねを考えずにぽかんと見ていれば、そこそこリッチで明るいスーパーヒーロー映画として楽しむことができるはず。
ただ細かいことを気にして観ると……というか個人的には全然細かくないことが気になってしまって、散漫な気分で観続けることになってしまった。話の筋道がおかしいのか、複雑なわりに説明が不親切なのか、自分の理解力が足りないかのどれかだ。

まず、ダー・ベンが腕輪を見つけて不安定なジャンプ点を作り始めるのが物語のスタートなわけだけど、ジャンプ点の概念が説明されるのがけっこう後なので、それまで何の話をしているのかよく分からない。記憶にないけど過去作で説明されてたんだろうか。

腕輪がなんなのかも結局最後までよく分からないので、それが最大のキーアイテムということは、つまり話がよくわからないということだ。
2つの腕輪を装着したダー・ベンがなぜ崩壊していったのかも全然わからない。カマラは無事なのに。なんか別の理由で崩壊したのか?

スクラルの住処(名前忘れた)が滅びた時は助けられない者は見捨てるという苦渋の選択をしたわけだけれども、いや、キャプテン・マーベルならあのくらいの規模は高速で助けられるだろ!そういう最強ヒーローじゃなかったっけ?という気がしてしまった。まああそこはキャプテン・マーベルが介入したことによるハラの失敗の再演でもあるので、人が死ぬ必要があったのかもしれないけど……。

アラドナが結局どうなったのかもわからない。スクラルの方はもう滅びたのだけど、アラドナはどうなんだろう。ハラに海ができるほどの水を吸い取られてしまったし。アラドナを放置してめでたしめでたしでいいのか?
あとアラドナの言語設定も、作中の文化的な裏付けが感じられなくて、ただむやみに作品のトーンをコミカルにするためだけのツールにしか感じられなくて、観ていてノイズだった。前から思ってたけど、MCUは明るいヒーロー映画と空気が読めない映画が混ざっているような気がする。DCと比べて明るいからいいとよく言われていたけど。

脱出ポッドで地球に避難するやつに至っては、あの落ち方は全員死んでないとおかしいだろ!と思った。

そして何よりも引っかかるのがニック・フューリーとスクラル。お、お、お前ら、シークレット・インベージョンはどうなった!?時系列いつ!?あれの前だとしてもだいぶ変じゃないか!?気のせいか!?混乱する!
ということで、別にマーベルズ単体のせいではないのだけど、かなり気になって集中が阻害された。シークレット・インベージョン、なかったことにした方がいいんじゃねえかなあ、やっぱり……。

あと、別の客が言ってて気がついたのだけど、ポスクレの「〜は帰ってくる」がなかったね。モニカは帰ってこないのだろうか。

モニカの能力とかもよくわからない。というかそれだけじゃなくて、予習なしに今作だけ見るとマジで意味わからないと思われる要素が多い。
キャプテン・マーベルがどんなヒーローなのかすらよくわからず、モニカやカマラのこともよくわからない。ざっと一言で説明されるけどその説明も飲み込みづらい。まあモニカはワンダヴィジョンから今作にかけて観続けてもよくわからんけど……。
クリー人とスクラル人についても今作だけだと全然どういうやつらかよくわからない。まあ今作だけ見ればクリー人は母星が滅びかけててスクラル人は故郷が滅びて移住先を探してるとかそんな理解でいいのかもしれない。
というか、MCUずっと追ってても宇宙人関連はよくわからない。クリー人ってどのくらい出てきたっけ。ロナンとジュード・ロウしか記憶にない。過去作を見返したりすることがないとこの程度の理解度になってしまう。

とはいえ楽しめなかったわけではなくて、入れ替わりアクションもまあまあ面白かったし(意味はわからんけど一応説明はあったし)、キャロルとモニカとマリアの家族ドラマも結構悪くなかったし、カマラやグースのおかげで明るい雰囲気があったし、観る前に思っていたほど無難に楽しめる映画ではなかったものの、まあつまらなくはなかった。

しかしMCUは本当にこんな調子でいいのか?
ユニバース展開のために複雑になって説明が必要になったり説明すべきところでしなかったり物事をむやみに次回作や他の作品に後回しにしたりして、無駄に見ていて引っかかりが多い。
そこまでして広げようとしているユニバース自体もゴタゴタし始めて、MCUファンは散々DCEUをバカにしてきていたけど、今じゃバカにできない。正直映画単体の満足度だけなら随分前からDCの方が比べ物にならないくらい良いし。今回もアクアマン2の予告が流れて、あまりの画面のリッチさに目眩がした。期待値を上げてくれる。
翻ってMCUの予告でワクワクしたことなど久しくない。リッチさは抜きにしても、ワクワクする絵作りとかそういうのもなくて、ちゃんと練り込んで作られているのか疑問がある。(そういう点ではGOTG3がそこそこ良かったかな……。)
MCUにはもう正直なところ即席大作量産シリーズという印象が強くなってしまっていて、今作もそんな印象のままなんの驚きもなく観終わってしまった。いやあまりに観ていて引っ掛かりが多かったのは悪い意味で驚いたけど……。

てことで、マーベルズは★★★☆☆(普通に楽しめた)。
楽しめるけど、真面目に見る映画ではないかなって感じ。ソファで横になってポテチ食いながらスマホ片手に観るくらいの気楽な感じでちょうどいいかも。