ロボット・ドリームズを観た。11月18日、グランドシネマサンシャイン池袋にて、BESTIA enhanced上映。

オススメ度★★★★★

しみじみといい映画だった。
誰が見ても感じ入るものがあると思うので人を選ばずオススメ出来る。

ただ個人的にはあんまり語れることがないなあと思う。
ネタバレになっても嫌だし。
「こういう映画でした!」もけっこう危ういところがあるように感じるし、ラストで自分は〜というのはかなりライン上な気がする。
予告編の範囲で言うと、Septemberの使い所がめちゃくちゃいい。

あとこの映画にはセリフがないのだけど、それが余計な感情を生じさせなくてよかったと思う。

以下ネタバレ含む。

本当に最悪の感想なんだけど、相互NTRだよねこれ?
大筋のストーリーそのまま18禁にできそうな気がする。まあビーチに取り残されるくだりと最後自分の体のラジカセでSeptember流して踊るのはさすがにセックスロボットじゃ難しいか。じゃあ無理じゃねえか!
本当に最悪だよ……。

まあそれは半分冗談としても、犬がどこかで諦めて浮気するんじゃないかとずっとハラハラしながら観ていたし、ロボットはそのうち死ぬんじゃないかと思ってずっとハラハラしながら観ていた。
結局犬は別のロボットを買うわけだけども、まああれだけ尽くして無理なら流石に一生一途に想って生きろとは言えない。ロボットは一回死んだ。本当に死ぬとは……。
そしてロボットは助けてくれた相手に浮気するわけだけども、まあそれもしかたがない。いい人だし。

正直ビーチに取り残されたくらいでそこまで致命的な別れになる問題かというと直観的には理解し難いのだけど(融通きかせて回収させてやれよそのくらい)、社会と行政の無理解で引き離された二人という見方もできる。

タイトルにもあるように、夢の描写がいいですね。本当に嫌な夢だなあと思う。
謎のボート野郎たちに油さされて助けられたと思った時の夢なんて本当に夢と気づかなかった。
最後犬を追いかける白昼夢なんて本当にオイオイどうするんだそれで、と思ってびっくりした。
花がダンスする夢とか一見してそれとわかるものもあるんだけど、基本的には今見ているものが夢なのか現実なのかわからないまま話が進み、途中まで見てたものが夢だと判明する。小さな夢オチの集まりみたいな映画なのだけど、その夢に願望や恐怖が投影されているから、夢オチでも無かったことにならない。
ロボットが破壊される悲惨な展開も万が一で夢なのかもしれないと思いながら見るもやっぱり現実だったり。油断がならない。

個人的には、途中で犬がソリに乗って友達探ししたり、ダックとかいう超良い奴に友達になってもらったり、あるいはロボットが小鳥と交流したり、そういう現実のエピソードの間話が停滞して浮いているような気もしたのだけど、別れてる間も二人はそれぞれの人生を送って互いに知らない人と知らないことを積み重ねているということなのかもしれない。

感動作と聞いていたのでもっとボロボロ泣けるのかと思って見に行ったのだけど、しんみりするくらいで全然そうでもなくてちょっと肩透かし……と思っていたら、ラストのロボットの選択とその演出にSeptemberも合わせてめちゃくちゃ映えていて、さすがにそこでは落涙を禁じ得なかった。あそこはすごい。

人の縁というものの不思議さ、ままならなさを感じる映画だなと思う。切ない。
自分は現実での人の縁には恵まれていないので(人と関われてないという意味)、それでもこれだけ切なさを感じるなら、濃密な人間関係を経て生きてきた人ならより胸が締め付けられるような気持ちになるんだろうな。

そういやBESTIAで上映してる意味なんなんだろうと思っていたけれど、音楽を強調するためなのかな。

良い作品でした。