アントマン&ワスプ クアントマニアを観た。

まず書いておきたいのは、まあまあ面白かったということで、決して見て損をするような映画ではないと思う。

ラストの展開は「それでいいのか?」と思ったけれど、まあブラックパンサーWFほどの瑕疵ではないので、許容範囲内。ポスクレも結構気分が上がった。

その上でなのだけど、どうしてもMCUの映画は「観る前の方が面白かったな……」という気分になってしまう作品がわりかし多い。今作も、観る前の期待と比べてそこまで見劣りはしないのだけど、期待以上のものは一切出てこなかったという点で、やはりそうしたMCU作品あるあるの範疇に収まっている。

お金はかかっているしそうそうハズレないのだけど、新鮮味のないストーリーと映像を見ていると、なんだか淡々とした気持ちになる。それが自分にとってのMCU。

今作も新鮮味は全然ない。でもアントマンにコレやって欲しい!っていう作品の個性は出ていたので、けっこう良かった。

以下ネタバレ。

キャラクターについて。
ビル・マーレイは出てきた意味あったかめちゃくちゃ怪しいキャラだったけれど、カメオ出演的なサービスと考えていいでしょうか。予告にもしっかり顔出しといて、ただジャネットと浮気セックスしただけの人でしかなかったように思えたけど……。
量子世界の難民たち、文明レベルが高いのか低いのかよく分からない。難民だから仕方ないのかもしれないけれど、異文化というより文明レベルが低いように見えてしまって、そういうのはけっこう飽きてるんだよなという気持ち。リーダーの女性もあんまりパッとしなかったし。
モードックは頻繁に顔を出すのでどうしてもキモさが気になってしまった。漫画絵なら許容できるけど実際の人間でやられると、汚らしさみたいなものを感じてしまった。なんか取ってつけたように改心して軽いノリで死んでいったけれど、扱いが雑じゃないかしら。1作目のヴィランなのに……。
カーンはロキの時からそうだけどいいキャラですね。ジョナサン・メジャーズの演技がミステリアスな感じでいい。ミッドクレジットでイロモノカーンがたくさん出てきたのは笑ったけど。
キャシーは申し訳ないんだけど前半ウザくて微妙だった。正しいと思うことを貫きたいというのはわかるんだけど、あまりにも時と場合を考えずに主張するので、単に頭が悪いみたいに見えてしまう。時々こういう役回りのキャラいるけどなんでこうなるんだろう。
あとはやっぱりハンク・ピム。初代アントマンの面目躍如といったところで、今作で一番カッコイイなと思った。まあ実際のところアリ任せなんだけど。それでもアリの大群が押し寄せる中で佇んでいる姿はカッコよかった。マイケル・ダグラスのイケメン力が迸ってた。

ストーリーの話。
家族の話ではあるのだけど、特に家族として何かが変わったわけではない。強いて言えば絆の再認識という感じか。可能性の嵐の中でキャシーのためにスコットたちが団結するシーンは熱かった。
全体的にこれまでのアントマンとはうってかわって暗いトーンで、でもアントマンだからユーモアもいれたろというのがちょっと浮いてて微妙だった。モードックはギャグみたいな処理せんといて……。
カーンが量子世界から脱出できない理由が最後までよくわからないまま終わった。現代のスコットたちはあんな装置に頼らず脱出できたのに、それより遥かに進んだ技術のあるカーンが脱出できないのはなぜ?あんな国を築けるのに。ラストでスコットがカーンを道連れにして量子世界に取り残されて終わりかと思いきや、何事もなくキャシーがゲートを開き直して無事帰還。待って待って。さっきのスコット自己犠牲に抱いた感動ちょっと一旦返して。という気分になった。結局なんだったんだこの話。まあいいか。飲み込みづらいけどカーンはとにかく脱出無理だったということで無理やり納得しておこう。

ポスクレはロキシーズン2の予告。なんかまたメビウスと仲良くなってんじゃんよかったね!というところと、映画のポスクレに入れるってことはロキも本筋にガッツリ絡んでるってことでいいのねというところで、気分が上がった。
実際のところ、ロキはなかったことにしてもMCU上成立する話なので、わりとロキを気に入ってた身としては、ちゃんとユニバースの本筋に絡めるのか心配してたところがある。良かった良かった。
ただ内容的にはおそらくロキのワンシーンを切り取っただけの手抜きポスクレな気がするので、ちょっとその点で盛り上がりきらなかった。

ずっと量子世界にいるのでCGだらけなんだけれど、ビジュアル的には特に新鮮味を感じなかったので、特に感動もないまま見ていた。なんか、こういうSF的な世界観ってもうわりと引き出しがなくなってるんじゃないかと思わなくもないので、別に今作がダメというわけではない。ただ、費やされた労力とクリエイティブの割に、自分の感想が「どっかで似たようなの見た」レベルのものになってしまうのが、ちょっと切ない気持ちになる。
あと、MCUのCGについて時々思うこととして、CGで綺麗な絵を作りましたというのはわかるけれど、撮影技巧があまり凝らされていない、素直な映像が多いような気がする。もう少し調理されたものを食べてみたい。

アリの大群はとてもよかったし、巨大化して暴れるのはこれこれこういうのを見に来たんだよという感じで良かった。アントマンは視覚的に楽しいのがいい。

とりあえず簡単な感想はこんな感じ。